2026年1月12日~1月22日に発表されたAI関連の注目すべきトピックを紹介する。VercelがAIエージェント向けのWebブラウジングツール「agent-browser」を公開。Anthropicは新機能「Claude for Healthcare」や「Claude Cowork」を開始したほか、Claudeの新憲法を公開した。GoogleはGeminiの新たなパーソナライズ機能「Personal Intelligence」を発表。OpenAIはChatGPTに新しい低価格プラン 「ChatGPT Go」を追加した。

それぞれ詳しく見ていこう。

Vercel、AIエージェント向けブラウザ自動化ツール「agent-browser」公開

1月12日、VercelがAIエージェント専用の新しいCLIツール「agent-browser」をオープンソースで公開した。これは、Webページ上のコンテンツに対するクリックや入力、ナビゲーションなどの操作をコマンドラインから行うことができるツールである。Webサイトを利用する場合、人間であればGUIで視覚的に操作できた方が便利だが、そのような視覚的なインタフェースはAIエージェントにとっては必ずしも使いやすいとは言えない。CLIでWebページを操作できるようにすることでこの問題を解消するのがagent-browserだ。

agent-browserの大きな利点は、従来のMCP(Model Context Protocol)を利用する自動化ツールと比べてコンテキスト消費が大幅に抑えられる設計になっていることだ。Playwright MCPのようなツールではHTML全体を取り扱うためコンテキストの消費が大きいのに対し、agent-browserはインタラクティブな要素だけを効率的に扱うことで、AI側のトークン使用量を削減しつつ高速に操作できるように工夫されている。

agent-browserはWebサイトのテストや検証、日常的な繰り返し作業の自動化など、さまざまなユースケースで活用できる。ソースコードはGitHubリポジトリー上でApache License 2.0のもとで公開されており、商用利用も可能となっている。

Anthropic、HIPAA準拠のヘルスケアAI「Claude for Healthcare」発表

1月12日、AnthropicはClaudeをベースにした医療およびライフサイエンス分野向けの新サービス「Claude for Healthcare」を正式に発表した。これは医療提供者、保険者、および消費者向けに設計されたツールセットで、米国の医療データ保護規則HIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act)に準拠した製品を通じて、Claudeを医療目的で利用できるようになるという。

Claude for Healthcareは、米国の医療情報システムや標準データベースへの接続機能を備えている。接続先の例としては保険適用情報を確認できるCMS Coverage Databaseや、疾病分類情報を管理するICD-10、医師情報を管理するNational Provider Identifier Registryなどが挙げられている。これにより、医療提供者は保険の事前承認処理、請求管理、医師資格確認などの複雑な手続きをAIの支援で効率化できるようになる。また、患者の健康記録や検査結果についても、ユーザーの明示的な許可を得た上で分析し、平易な言葉で説明する機能も備えている。

Claude for Healthcareは、同社が2025年10月に発表した「Claude for Life Sciences」の延長線上にある取り組みである。AnthropicはClaude for Life SciencesやClaude for Healthcareを通じて、医療従事者の負担軽減や患者とのコミュニケーション強化、医療データの利活用といった課題に取り組む方針を明確にしている。

  • Anthropic製モデルの医療ベンチマークの評価 出典:Anthropic

    Anthropic製モデルの医療ベンチマークの評価 出典:Anthropic

Anthropic、新しいAIアシスタントツール「Claude Cowork」発表

1月12日、Anthropicは生成AIプラットフォームClaudeの新機能として 「Claude Cowork」 を発表した。これは従来のチャット型のAIサービスとは異なり、ユーザーの指定したフォルダーやデスクトップ環境内のファイル操作を自律的に実行できるAIエージェントである。Claude Codeのエージェント機能を非エンジニア向けに一般化したもので、自然言語で指示するだけで、ファイルの読み取り、整理、編集、新規作成を伴うさまざまな作業を自律的に実行できる。

Claude Coworkはタスクを受け取ると計画を立てて自律的に実行し、進捗をユーザーに報告しながら作業を完了させる。Coworkの使用例としては、ファイルの整理、領収書の処理、Web記事や論文などのリサーチ、数式を含むスプレッドシートの作成、プレゼンテーションの作成、レポート作成、統計分析、データの変換や可視化などといった作業が挙げられている。

Claude Coworkは現在、研究プレビュー版として、macOS版のClaude Desktopアプリでのみ利用できる。利用にはClaude ProまたはClaude Maxへの加入が必要。また、一部まだ利用が制限されている機能もある。

Google、「Gemini」の新機能「Personal Intelligence」発表

1月14日、Googleは生成AIアシスタントの「Gemini」に「Personal Intelligence(パーソナルインテリジェンス)」という名前の新機能を追加したと発表した。これはユーザーが明示的に許可したGoogleアプリと連携して、そのデータを元により個人向けにパーソナライズされた支援を提供する機能である。Gmail、Googleフォト、YouTube、Google検索など複数のサービスからデータを収集し、その中から複雑な情報の関係性を推論した上で、個人の好みや行動履歴に基づいた回答や提案を行うことができるという。

例えば、過去の旅行メールや写真を参照して旅程提案を行ったり、検索履歴とYouTubeの視聴データを組み合わせて趣味に合ったおすすめを出すなど、単一の情報源だけでは実現しにくいより深いレベルのパーソナライズを実現する。

ユーザーのプライバシーにも配慮しており、明示的に有効化しない限りはデータは利用されず、どのアプリを連携させるかもすべてユーザー側で選択できる点をGoogleは強調している。また、個人データをAIモデルのトレーニングに用いることはなく、Geminiが回答を生成する際にはどのデータが使われたかを示す仕組みが用意するなど、透明性を高める設計も取り入れているという。

Personal Intelligenceは現時点ではベータ版として提供されており、AI ProとAI Ultraを含む有償サブスクリプションプランに加入する米国内のユーザーのみが利用できる。将来的には対応地域や無料ユーザー向けの拡大も予定しているという。

  • Googleアプリとの連携でパーソナライズを強化する「Personal Intelligence」

    Googleアプリとの連携でパーソナライズを強化する「Personal Intelligence」

OpenAI、月額8ドルの低価格プラン「ChatGPT Go」開始

1月16日、OpenAIはChatGPTの新しい低価格サブスクリプションプラン 「ChatGPT Go」 を全世界で提供開始した。このプランは昨年8月よりインドなどで先行していたものを拡大したもので、月額8ドルで最新モデルのGPT-5.2 Instantが利用できる。無料プランと比べてメッセージ送信、ファイルアップロード、画像生成の利用制限が約10倍に拡大し、より長いメモリやコンテキストウィンドウも使えるようになっている。

ChatGPT Goは、従来の無料版と上位のPlusプラン(月額20ドル)およびProプラン(月額200ドル)の間に位置するエントリー向けサービスとして設計されている。より多くのユーザーが手頃な価格で高度なAI機能にアクセスできるようにすることが狙いだ。OpenAIでは、低価格でのサービス提供を維持する施策として、無料版およびChatGPT Goプラン向けに広告を導入する計画も明らかにしている。

AnthropicがClaude用の新しい「憲法」公開

1月22日、AnthropicはAIモデル「Claude」用の新しい憲法(Claude’s new constitution)を公開した。Claudeの憲法は、Claudeがどのような存在であるべきかや、どのように振る舞うべきかを詳細に説明するもので、Anthropicが掲げるAIの安全性や倫理性、有用性の基準を具体的に示すものになっている。

これまでのClaudeの憲法は、独立した行動ルールのリストとして構成されていた。それに対して新憲法では、なぜそうあるべきかという説明を含む包括的な原則として構成されている点が大きな特徴。Anthropicではこの憲法をClaudeのトレーニングプロセスの中核に位置付けており、モデルの安全かつ倫理的な振る舞いを実現する判断基準として活用するとのこと。

Anthropicは公式サイトでClaudeの新憲法の全文を公開し、CC0 1.0ライセンスのもとで誰でも自由に利用できるようにしている。同社では今後も外部の専門家の意見を取り入れつつこの文書を進化させ、AIが社会に与える影響に対する透明性と信頼性の向上を目指すとしている。

  • Claudeの新しい憲法を発表

    Claudeの新しい憲法を発表