すでに作成されているスタイルの書式を修正したい場合もあるだろう。そこで今回は、スタイルに登録されている書式を変更するときの操作手順を紹介していこう。また、「文字の書式」だけを適用する「文字スタイル」の使い方も紹介する。どちらも長い文書の作成に必須となる操作なので、その仕組みをよく理解しておくとよい。

  • スタイルの書式変更と文字スタイルの活用

    スタイルの書式変更と文字スタイルの活用

スタイルの書式を変更するには?

前回は、スタイルを利用して段落(見出し)の書式を一括指定する方法を紹介した。これで複雑な書式も簡単に指定できるようになるが、ある程度、文書の作成が進んだ後に「やっぱり△△の書式も追加しておけばよかった」と思い直すケースもあるかもしれない。そこで、作成したスタイルの書式を変更するときの操作手順を紹介しておこう。

ここでは「中見出し」というスタイルの書式を変更する場合を例に、具体的な操作手順を示していこう。以下の図に示した範囲内では、赤線で囲んだ3つの段落に「中見出し」のスタイルが適用されている。

  • 「中見出し」のスタイルを適用した段落

    「中見出し」のスタイルを適用した段落

それでは操作手順を示していこう。スタイルの一覧を表示し、書式を変更するスタイルを右クリックする。すると、以下の図のようなメニューが表示されるので「変更」を選択する。

  • スタイルの書式変更

    スタイルの書式変更

「スタイルの変更」という画面が表示される。フォントや文字サイズ、太字/斜体/下線、文字色、文字の配置などの基本的な書式は、この画面で変更することが可能となっている。今回の例では、フォントを「BIZ UDPゴシック」に変更する操作を行った。

  • 基本的な書式の変更

    基本的な書式の変更

この画面に用意されていない書式を変更するときは、「書式」ボタンをクリックしてダイアログを呼び出す必要がある。たとえば「段落」ダイアログを呼び出すときは、「書式」ボタンをクリックして「段落」を選択すればよい。

  • 「段落」ダイアログの呼び出し

    「段落」ダイアログの呼び出し

「段落」ダイアログが表示され、段落の書式を自由に変更できるようなる。今回の例では、段落後の間隔を「0.4行」に変更する操作を行った。書式を変更できたら「OK」ボタンをクリックする。

  • 「段落の書式」の変更

    「段落の書式」の変更

同様の手順で「罫線と網かけ」の書式も変更しておこう。「書式」ボタンをクリックし、「罫線と網かけ」を選択する。

  • 「罫線と網かけ」ダイアログの呼び出し

    「罫線と網かけ」ダイアログの呼び出し

「罫線と網かけ」ダイアログが表示されるので、それぞれの書式を変更していく。今回の例では、背景の色を「薄いグレー」に変更して「OK」ボタンをクリックした。

  • 「罫線と網かけ」の変更

    「罫線と網かけ」の変更

このように「スタイルの変更」に用意されていない書式を変更するときは、「書式」ボタンからダイアログを呼び出して書式を変更していく仕組みになっている。なお、スタイルに指定されている書式は、以下の図の赤線で囲んだ部分に列記されているので、念のため確認しておくとよいだろう。書式変更がすべて済んだら「OK」ボタンをクリックする。

  • 変更した書式の確認

    変更した書式の確認

「中見出し」のスタイルが適用されていた段落の書式が一括変更される。今回の例の場合、以下の書式変更が各段落に反映されることになる。

  • フォントを「BIZ UDPゴシック」に変更する
  • 段落後を「0.4行」に変更する
  • 背景の色を「薄いグレー」に変更する
  • 書式が変更された段落

    書式が変更された段落

もちろん、次ページ以降にある「中見出し」のスタイルが適用された段落にも、同様の書式変更が反映される。このように、文書全体を対象に「書式の変更」を反映できることもスタイルの利点のひとつといえる。

  • 書式が更新された段落(2ページ目)

    書式が更新された段落(2ページ目)

同様の作業を「スタイルを利用していない文書」で行うには、それぞれの段落(見出し)で3つの書式変更を繰り返していく必要がある。これは相当な手間になるはずだ。一方、スタイルを利用している場合は、「スタイルの書式」を変更するだけで、文書全体について書式変更を施すことが可能となる。

このような利点を理解していれば、「スタイルを活用しない手はない」と考えられるようになるはずだ。文書を効率よく作成していくためにも、必ず覚えておくべき操作といえる。

文字スタイルの作成と適用

続いては「文字スタイル」の活用方法を紹介していこう。本文内にある“一部の文字”を強調する場合など、段落全体ではなく、特定の文字だけに書式を指定するときにもスタイルが活用できる。ただし、この場合は「文字スタイル」としてスタイルを作成しておく必要がある。

具体的な操作手順を紹介していこう。まずは、書式を自分で指定する。今回の例では、強調する文字に「フォント:游ゴシック、太字、下線」の書式を指定した。

  • 書式を指定した文字

    書式を指定した文字

書式を指定できたら、その文字を選択し、スタイルの一覧から「スタイルの作成」を選択する。

  • 文字スタイルの作成(1)

    文字スタイルの作成(1)

スタイルの作成画面が表示される。文字スタイルを作成するときは、ここで「OK」ボタンをクリックするのではなく、「変更」ボタンをクリックしなければならない。

  • 文字スタイルの作成(2)

    文字スタイルの作成(2)

スタイルの編集画面が表示されるので、スタイルの種類を「文字」に変更する。これで、これから作成するスタイルを「文字スタイル」として登録できるようになる。

  • 文字スタイルの作成(3)

    文字スタイルの作成(3)

あとは、このスタイルに適当な「名前」を付けて「OK」ボタンをクリックするだけ。今回の例では「本文強調」という名前を指定した。

  • 文字スタイルの作成(4)

    文字スタイルの作成(4)

以上で「文字スタイル」の作成は完了。念のため、スタイルを適用するときの操作手順も紹介していこう。マウスをドラッグして文字を選択し、スタイルの一覧から先ほど作成した「本文強調」のスタイルを選択する。

  • 文字スタイルの適用

    文字スタイルの適用

選択していた文字にスタイルが適用され、「フォント:游ゴシック、太字、下線」の書式が一括指定される。

  • スタイルが適用された文字

    スタイルが適用された文字

このように「文字の書式」を指定するときにもスタイルが有効活用できる。スタイルの作成手順が少しだけ面倒になるが、いちど操作手順を覚えてしまえば、30秒もかからずにスタイルを作成できるようになるはずだ。

なお、先ほど紹介した「フォント」や「太字」、「下線」といった書式は手軽に指定できる書式なので、「いちいちスタイルを作成するのではなく、そのつど書式を指定したほうが分かりやすい」と感じる方もいるだろう。特に初心者ほど、そういった傾向が強いかもしれない。

それでも、作業効率アップを目指すのであれば、スタイルを積極的に活用していくべきである。簡単な書式指定であっても、書式を指定する箇所が多くなると、作業回数が積み重なって意外と大きな時間になってしまう。

また、「一度の作業で該当箇所をすべて修正できる」という利点も忘れてはいけない。たとえば、強調する文字を「赤色に変更してほしい」と依頼されたとしよう。スタイルを使って書式を指定していれば、スタイルに「フォントの色:赤」の書式を追加するだけの修正作業は完了する。一方、スタイルを利用していなかった場合は、すべての強調文字で「フォントの色:赤」の書式を指定する作業を何回も繰り返さなければならない。両者の作業時間が雲泥の差になることは言うまでもないだろう。

このように、スタイルは「書式指定に要する手間」を大幅に改善してくれる機能となる。このスタイルを上手に活用していくことが、Wordの上級者になるための第一歩といっても過言ではない。

ただし、スタイルにも弱点はある。それは「不要なスタイル」がいくつも表示されていて、目的のスタイルを探しにくいこと。そこで次回は、「スタイルの一覧を見やすくする方法」を紹介していこう。