2024年頃に標準テンプレート(Normal.dotm)が改変された結果、新規に作成する文書の「行間が広すぎる」とか、「なぜか左揃えになっている」といった問題が多発しているようだ。そこで今回は、各書式の初期値を以前の状態に戻す方法を紹介しよう。同様の手順で、「白紙の文書」の初期値を自分好みにカスタマイズすることも可能だ。

  • 標準テンプレートの変更方法

不適切な標準テンプレート

今回は、一部のWordで深刻な問題になっている「書式の初期値」に関連する話を紹介していこう。新規に作成する文書の「行間が広すぎる」とか、「なぜか左揃えになっている」といった問題を抱えている方は、これから紹介する手順でWordの初期値(標準テンプレート:Normal.dotm)を修正しておくとよい。

新しい文書を作成するときは、Wordを起動して「白紙の文書」を選択するのが一般的だ。このとき、標準テンプレート(Normal.dotm)と呼ばれるファイルが読み込まれ、各書式の初期値が自動設定されるようになっている。

  • 「白紙の文書」を開く操作

ただし、この初期値が不適切な値に設定されているケースもある。一時期、深刻な問題として話題になっていたのが「行間が広すぎる」という現象だ。これは、標準テンプレートに記録されている書式が「游明朝、11pt」になっていたことが原因だ。

  • 初期値の行間が広すぎる場合の例

前回紹介したように、11pt以上の游明朝は自動的に2行分の行間が確保される。その結果、「行間が広すぎる」という状態になってしまう。

最近は、この問題が解消されているケースが多いようだが、それでも「なぜか左揃えになっている」という問題が残っているかもしれない。この場合、文章の右端が揃わず、ガタガタとした配置になってしまう。

  • 初期値が「左揃え」の場合の例

欧文の文書では、単語同士の間隔(スペース)が開きすぎないように「左揃え」が採用されるケースが多い。しかし、日本語はそうではない。左端だけでなく右端も揃える「両端揃え」で文字を配置するのが一般的だ。にもかかわらず、Wordの初期値が「左揃え」になっていると、そのつど「両端揃え」に修正する作業が発生してしまい、作業効率が悪くなる。

こういった問題を解消するためにも、いちどWordの初期値を見直し、必要に応じて修正しておくとよいだろう。

標準の「文字の書式」の変更

それでは、Wordの初期値(標準テンプレート)を修正する方法を紹介していこう。まずは「文字の書式」を修正する方法だ。Wordを起動して「白紙の文書」を開き、「フォント」グループの右下にある「小さな四角形」をクリックする。

  • 「フォント」ダイアログの呼び出し

「フォント」ダイアログが表示されるので、「サイズ」の設定項目を確認する。この値が「11」になっていた場合は「10.5」に修正する。これで「行間が広すぎる」の根本的原因を解消できる。

※初めから「10.5」に設定されていた場合は何も修正しなくてよい。そのまま「キャンセル」ボタンをクリックしてダイアログを閉じ、「段落の書式」の修正作業へ進む。

  • 文字サイズの指定

サイズを「11」→「10.5」に修正できたら、「既定に設定」ボタンをクリックする。

  • 標準テンプレートを変更する操作(1)

すると、以下の図のような確認画面が表示される。ここで「Normalテンプレートを使用したすべての文書」を選択し、「OK」ボタンをクリックすると、Wordの初期値を変更できる。

  • 標準テンプレートを変更する操作(2)

作業が済んだら、正しく設定を変更できているか確認しておこう。いちどWordを終了する。なお、現在の文書を保存しておく必要はないので、「保存しない」ボタンをクリックしてWordを終了すればよい。

その後、Wordを再起動して「白紙の文書」を選択すると、文字サイズの初期値が「10.5」に変更されているのを確認できるはずだ。

  • 規定値の確認

これで「行間が広すぎる」の問題を解消できるが、ほかにも修正すべき箇所がある。続いては「段落の書式」の初期値を確認していこう。

標準の「段落の書式」の変更

文字サイズを10.5ptに修正できたら、次は「段落の書式」の初期値を修正していこう。「段落」グループの右下にある「小さな四角形」をクリックする。

  • 「段落」ダイアログの呼び出し

「段落」ダイアログが表示されるので、配置を「両端揃え」に変更する。これで「初期値が左揃えになっている」の問題を解消できる。

  • 配置を「両端揃え」に変更

続いて、「段落後」の設定を確認する。この値が「8pt」になっていた場合は「0」に変更する。

  • 段落後を「0」に変更

最後に、行間の設定を確認する。この値が「倍数」になっていた場合は「1行」に変更する。

  • 行間を「1行」に変更

以上が「段落の書式」で修正すべき点となる。もういちど確認しておこう。

  • 配置:両端揃え
  • 段落後:0(0ptまたは0行)
  • 行間:1行

上記のように設定できていることを確認してから「既定に設定」ボタンをクリックする。

  • 標準テンプレートを変更する操作(1)

以下の図のような確認画面が表示されるので、「Normalテンプレートを使用したすべての文書」を選択して「OK」ボタンをクリックする。

  • 標準テンプレートを変更する操作(2)

これで、Wordの初期値を「先ほど指定した段落の書式」に変更できる。念のため、正しく設定できているか確認しておこう。いちどWordを終了する。その後、Wordを再起動して「白紙の文書」を選択すると、配置が「両端揃え」に変更されているのを確認できるはずだ。他の設定は「段落」ダイアログを開くと確認できる。

  • 規定値の確認

このように、Wordの初期値はダイアログボックスで変更するようになっている。通常時と操作手順が異なる部分は、「OK」ボタンではなく、「既定に設定」ボタンをクリックすること。その後、「Normalテンプレートを使用したすべての文書」を選択すると、Wordの初期値を変更できる。

Wordの初期値の変更手順

  1. 書式を設定するダイアログボックスを開く
  2. 必要な個所の設定を変更する
  3. 「既定に設定」ボタンをクリックする
  4. 「Normalテンプレートを使用したすべての文書」を選択する
  5. 「OK」ボタンをクリックする

日本語に不適切な初期値を修正する場合だけでなく、自分好みの初期値にカスタマイズする場合にも応用できるので、この機会に操作手順を覚えておくとよいだろう。ただし、Word本体の初期値を変更する作業になるので、間違えないように慎重に作業を進めていく必要がある。

合字の設定変更

他の設定項目に比べると些細な問題ではあるが、「合字」の設定についても確認しておくとよい。合字とは、複数の文字をつなげて表記する手法のことだ。たとえば、半角の「fとf」や「fとi」、「fとl」などが連続したときに、それらの文字を1文字のように表記する手法となる。

具体的な例を紹介しておこう。合字が有効の場合は、以下の図の(上の行)のように「fとf」や「fとi」がつなげて表記される。一方、合字が無効の場合は(下の行)のように各文字が独立して表記される。

  • 合字の設定による表示の違い

欧米では合字も一般的な表記手法になるようだが、日本ではなじみのない方が多いだろう。合字を使用するか否かは各自の自由であるが、念のため、初期値を確認しておくとよい。

「白紙の文書」を開き、「フォント」グループの右下にある「小さな四角形」をクリックする。

  • 「フォント」ダイアログの呼び出し

「フォント」ダイアログが表示されるので、「詳細設定」タブを選択する。この画面の「合字」の項目が「標準合字およびコンテキスト合字」になっていた場合は、合字が有効に初期設定されている。合字を使用しない場合は、設定を「なし」に変更しておこう。

  • 合字の設定を変更

以降の操作手順は先ほどと同じ。「既定に設定」ボタンをクリックし、「Normalテンプレートを使用したすべての文書」を選択してから「OK」ボタンをクリックする。

  • 標準テンプレートの変更

これで合字の初期値(有効/無効)を変更できる。文書そのものに大きな影響を与える設定項目ではなく、不適切という訳でもないので、あまり気にする必要はないが、念のため、自分のWordがどのような初期設定になっているのか確認しておくとよいだろう。