Wordには、文書に挿入した画像の位置を自動調整できる機能として「位置」や「オブジェクトの配置」といったコマンドが用意されている。今回は、これらのコマンドの使い方を紹介していこう。また、画像のサイズを数値で指定する方法も紹介する。画像を効率よく配置できるように、これらの機能の使い方も覚えておくとよい。

  • 「オブジェクトの配置」を使った画像の整列

    「オブジェクトの配置」を使った画像の整列

「位置」コマンドを使った画像の配置

まずは、「位置」コマンドの使い方から紹介していこう。文書に挿入した画像を選択し、「図の形式」タブにある「位置」コマンドをクリックする。すると、以下の図のようなメニューが表示され、画像の位置を9個のアイコンで指定できるようになる。

  • 「位置」コマンドに用意されている配置

    「位置」コマンドに用意されている配置

たとえば「右上に配置」を選択すると、「本文の領域」の右上に接するように画像が移動される。また、画像の配置方法が自動的に「四角形」に変更され、画像の周囲に本文が回り込んで配置される。

  • 画像を右上に配置した例

    画像を右上に配置した例

念のため、「どのように設定が変更されたか?」を確認しておこう。「レイアウト オプション」を開くと、配置方法が「四角形」に変更されていることを確認できる。

  • 「四角形」に自動変更された配置方法

    「四角形」に自動変更された配置方法

さらに「詳細表示」をクリックして「レイアウト」ダイアログを表示すると、画像の位置が「余白」を基準に「右揃え」&「上」に設定されていることを確認できる。

このように、余白を除いた範囲の「四隅」や「上下左右」に画像を配置するときに活用できるのが「位置」コマンドとなる。画像の配置を手軽に指定できるコマンドとして、覚えておくと役に立つだろう。

  • 「レイアウト」ダイアログの「位置」タブ

    「レイアウト」ダイアログの「位置」タブ

用紙の端に合わせて配置するには?

続いては、用紙の端に合わせて画像を配置する方法を紹介していこう。この場合は「オブジェクトの配置」コマンドが活用できる。ただし、このコマンドを使用するには、あらかじめ配置方法を「行内」以外に変更しておく必要がある。今回は、配置方法を「前面」に変更した状態で解説を進めていこう。

  • 配置方法を「前面」に変更

    配置方法を「前面」に変更

「図の形式」タブを選択して「オブジェクトの配置」をクリックすると、以下の図のようなメニューが表示される。最初は、基準位置が「余白に合わせて配置」に設定されているので、これを「用紙に合わせて配置」に変更する。

  • 基準の指定

    基準の指定

これで基準位置を変更できた。あとは“画像を揃える位置”を指定するだけだ。もういちど「オブジェクトの配置」をクリックし、「右揃え」を選択すると、用紙の右端に接するように画像が移動される。

  • 「右揃え」の指定

    「右揃え」の指定

さらに「オブジェクトの配置」をクリックして「上揃え」を選択すると、用紙の上端に接するように画像が移動される。

  • 「上揃え」の指定

    「上揃え」の指定

これで用紙の右上に接するように画像を配置できた。このように、用紙の端に合わせて画像を配置したいときに「オブジェクトの配置」が活用できる。

  • ページの右上に配置された画像

    ページの右上に配置された画像

そのほか、先ほど紹介した「レイアウト」ダイアログの「位置」タブを使って画像の位置を指定することも可能だ。用紙の端に合わせて画像を配置するときは、基準に「ページ」を選択して、水平方向と垂直方向の配置を指定すればよい。なお、「レイアウト」ダイアログは、「図の形式」タブの「サイズ」グループにある「小さい四角形」をクリックして開くことも可能となっている。

  • 「レイアウト」ダイアログを使った位置指定

    「レイアウト」ダイアログを使った位置指定

画像のサイズを数値で指定するには?

続いては、画像のサイズ変更について解説していこう。通常、画像のサイズを変更するときは四隅にあるハンドルをドラッグするが、これをミリ単位の数値で指定することも可能だ。この場合は「図の形式」タブを選択し、「サイズ」グループにある「幅」または「高さ」に数値を入力してあげればよい。以下の図は、画像の「高さ」に60(mm)を指定した場合の例だ。

  • 画像のサイズを数値で指定(1)

    画像のサイズを数値で指定(1)

「Enter」キーを押すと、元の縦横比を保つように「幅」の数値が自動調整され、それに合わせて画像のサイズも拡大/縮小される。今回の例の場合、画像の「幅」が90.03mmに自動変更されている。

  • 画像のサイズを数値で指定(2)

    画像のサイズを数値で指定(2)

なお、上図をよく見ると、「高さ」に60と入力したのに、その数値が勝手に59.99に変更されていることに気付くと思う。このように若干の誤差が生じてしまう原因は、Wordが扱える最小の数値が0.05ptに設計されているためだ。

先ほど紹介した例の場合、以下の処理が内部で行われていることになり、この結果、入力した数値が少しだけ小さな値になってしまう場合がある。

  1. 60mmをポイント単位に換算して約170.079ptにする
  2. この数値の0.05pt未満を切り捨てて170.05ptにする
  3. 170.05ptをミリ単位に換算すると約59.99mmになる

0.01mm程度の誤差なので、実際には無視できるような微小な誤差といえるが、切りの悪い数値になってしまうことが気になる人もいるだろう。でも、これはWordの仕様なので仕方がない。

Wordが扱える最小の数値は0.05ptであり、これをミリ単位に換算すると約0.0176mmになる。この数値は0.01mmより大きい。にもかかわらず0.01mm単位まで指定できることに矛盾が生じているわけだ。このため、どうしても微小な誤差が生じてしまうケースがある。

複数の画像を整列させるには?

続いては、「オブジェクトの配置」を使って“複数の画像”を整列させる方法を紹介していこう。

以下の図は、「四角形」の配置方法で4枚の画像を文書に挿入した例だ。現時点では、それぞれの画像を大雑把な位置に配置してある。これらの画像を同時に選択するときは、「Shift」キーまたは「Ctrl」キーを押しながら各画像をクリックしていけばよい。

  • 複数の画像を同時に選択

    複数の画像を同時に選択

このように“複数の画像”を選択した状態で「オブジェクトの配置」をクリックすると、整列の基準に「選択したオブジェクトを揃える」が自動選択される。あとは、画像を揃える方法を指定するだけだ。たとえば、「右揃え」を選択すると、選択した画像の“右端”を揃えて配置できる。

  • 「右揃え」を指定

    「右揃え」を指定

  • 「右揃え」で整列された画像

    「右揃え」で整列された画像

同様の手順で、複数の画像を等間隔に配置しなおすことも可能だ。この場合は、「左右に整列」または「上下に整列」を選択すればよい。ここでは「上下に整列」を選択して、上下に等間隔で配置した場合の例を紹介しておこう。

  • 「上下に整列」を指定

    「上下に整列」を指定

  • 上下に等間隔で配置された画像

    上下に等間隔で配置された画像

このように“複数の画像”を配置するときは、それぞれの画像をドラッグ操作により移動するのではなく、「オブジェクトの配置」を使って整列させると、効率よく作業を進められる。

さらに「どこを基準に整列されるか?」を学んでおくと、より効率的に作業を進められるようになる。「オブジェクトの配置」は画像だけでなく、図形の整列にも活用できるので、今度は図形を整列させる場合を例にして解説していこう。

以下の図は、3つの図形を「左揃え」で整列させた場合の例だ。この場合、“最も左にあるオブジェクト”を基準に整列が行われる。今回の例の場合、「青色の四角形」を基準に各図形が整列されることになる。つまり、「青色の四角形」の位置は移動しないで、他の図形の位置を移動することにより「左揃え」が実現されることになる。

  • 「左揃え」で整列させた場合

    「左揃え」で整列させた場合

「右揃え」や「上揃え」、「下揃え」を指定したときも同様の挙動になる。「右揃え」の場合は“最も右にあるオブジェクト”、「上揃え」の場合は“最も上にあるオブジェクト”、「下揃え」の場合は“最も下にあるオブジェクト”を基準に整列される仕組みになっている。

「左右中央揃え」や「上下中央揃え」を指定したときの挙動は少しだけ複雑で、“選択しているオブジェクト全体の中央”にあたる位置が整列の基準になる。以下の図に示した例の場合、最も左にある「青色の四角形」と、最も右にある「緑色の三角形」の中間地点を基準に図形が整列される。このため、すべての図形が移動されることになる。

  • 「左右中央揃え」で整列させた場合

    「左右中央揃え」で整列させた場合

オブジェクトを等間隔に配置する「左右に整列」を指定した場合は、“左端”と“右端”にあるオブジェクトの位置は移動されず、その間にあるオブジェクトを移動することで左右等間隔が実現されるようになっている。「上下に整列」も基本的な考え方は同じだ。

よって、“右端と左端”または“上端と下端”にあるオブジェクトの位置を決定してから「左右に整列」や「上下に整列」を実行すると、思い通りの位置にオブジェクトを配置できる。

このようなルールがあることを学んでおけば、より効率よく画像や図形を整列できるようになると思われる。よく分からない人は、適当な図形を3〜4個ほど描画して、実際に試してみるとよい。ほんの数分で済む作業なので、この機会にいちど実践しておくと、より理解が深まるだろう。