半角/全角を切り替えながら文章を入力しなければならないことも、日本語入力ならでは弱点といえる。これが原因で文字入力が遅くなっている可能性もある。そこで今回は、IMEのオン/オフを切り替えるキーのカスタマイズについて紹介していこう。
IMEのオン/オフを切り替えるキー操作
2バイト文字を扱う日本語は、「半角入力モード」と「全角入力モード」を切り替えながら文章を入力していく必要がある。つまり、文字入力の途中でIME(日本語入力環境)のオン/オフを切り替える操作を求められることになる。この切り替えに「半角/全角」キーを使用している人も多いだろう。
「半角/全角」キーはキーボードの左上にあるため、操作しづらい傾向がある。スムーズにタッチタイピングするには、左手の小指を上手に動かす訓練が求められる。
また、キーの役割がトグル方式になっていることも誤操作を招く原因のひとつといえる。「半角/全角」キーを押すごとに、全角入力モード(IMEオン)と半角入力モード(IMEオフ)が入れ替わるため、「現在はどちらのモードになっているか?」を即座に判断しづらい。このため、「全角で入力すべきところを半角で入力してしまった……」というミスを頻発することもあるだろう。
この場合、間違えて入力した文字を削除し、入力モードを切り替えた後、もういちど同じ文字をタイピングしなおす、といった作業を行わなければならない。自分のミスではあるものの「イラッ」としてしまう人も沢山いるだろう。当然ながら、そのぶん文字入力は遅くなる。
こういったミスをなくすには、そのつど「現在の入力モード」を確認するのが確実であるが、いちいち確認している人は皆無に近いのではないだろうか。
そこで今回は、こういったミスを軽減するための改善策を紹介していこう。まずは、カスタマイズ不要で実行できる改善策を紹介する。それは、IMEのオン/オフに「Caps Lock」キーと「カタカナ ひらがな」キーを使用する方法だ。
これらのキーは、それぞれ以下の動作を行うキーとして機能する。
- 「Caps Lock」キー:IMEオフ(半角入力モード)
- 「カタカナ ひらがな」キー:IMEオン(全角入力モード)
つまり、全角で日本語を入力するときは「カタカナ ひらがな」キー、半角で英数字を入力するときは「Caps Lock」キーを押してからタイピングを始めればよいことになる。
「半角/全角」キーのようにトグル方式で入力モードを入れ替えるのではなく、それぞれの入力モードに個別のキーが割り当てられているため、「現在はどちらのモードになっているか?」を勘違いしてしまうケースが格段に減るはずだ。
もちろん、こういった操作方法が用意されていることを「すでに知っていた」という人もいるだろう。ただし、これが自分にとって最適な操作方法になるとは限らない。そこで、IMEのオン/オフを切り替えるキーをカスタマイズする方法を紹介していこう。
キーの役割のカスタマイズ
まずは「Microsoft IME」の設定画面を呼び出す方法から紹介していこう。タスクバーの右端に表示されている「あ」または「A」のアイコンを右クリックし、「設定」を選択する。
「Microsoft IME」の設定画面が表示されるので、「キーとタッチのカスタマイズ」を選択する。
以下の図のような画面が表示されるので、「キーの割り当て」をオンに設定する。これで各キーの役割をカスタマイズできるようになる。
カスタマイズ可能なキーは、「無変換」、「変換」、「Ctrl+Space」、「Shift+Space」の4種類で、それぞれ指定できる動作は異なる。たとえば「無変換」キーの場合、以下の図に示した動作を割り当てることが可能となっている。
これらの設定を変更して、IMEのオン/オフを切り替えるキーをカスタマイズしてもよい。以下の図は、「変換」キーでIMEをオン、「無変換」キーでIMEをオフにするように設定変更した例だ。
これで「変換」キーと「無変換」キーを押すことにより、半角/全角を切り替えられるようになる。いずれも「スペース」キーの隣にあるキーとなるため、「こちらのほうが操作しやすい」と感じる人も多いだろう。
なお、各キーの役割を変更した後も「全角/半角」や「Caps Lock」、「カタカナ ひらがな」といったキーは従来と同じ役割を果たしてくれる。よって、これまでと同じキー操作でIMEのオン/オフを切り替えることも可能だ。
macOSの操作に慣れている人は、IMEのオン/オフを「Ctrl+Space」で入れ替えるように設定してもよい。
この場合も従来のキー操作はそのまま有効になる。よって、「Ctrl+Space」だけでなく、「全角/半角」や「Caps Lock」、「カタカナ ひらがな」といったキー操作でもIMEのオン/オフを切り替えることが可能である。
あとは各自の“慣れ”の問題となる。最初のうちは操作に戸惑うかもしれないが、いちど慣れてしまえば、以前よりも快適な環境でIMEのオン/オフを切り替えられるかもしれない。従来のキー操作が使えなくなる訳ではないので、気軽に試せるのも利点といえるだろう。半角/全角の切り替えミスが多い人は、いちど試してみるとよい。
すべての文字をIMEオンの状態で入力
次に紹介する改善策は、すべての文字をIMEオン(全角入力モード)の状態で入力していく方法だ。というのも、半角の英数字はIMEがオンの状態でも入力できるからだ。
たとえば「iDeCo」という文字を半角で入力する場合は、「i」→「D」→「e」→「C」→「o」とキーをタイピングしていく。アルファベットの大文字は「Shift」キーを押しながらタイピングする。
続いて、「F10」キーを押すと、タイピングした文字を半角の英数字に変換できる。ファンクションキーを操作するのが苦手な場合は、「Ctrl」+「T」のショートカットキーで半角英数字に変換してもよい。
また、「Office」のように日本語でもよく使用される英単語は、通常の操作手順で半角英数字に変換することも可能だ。「o」→「f」→「f」→「i」→「c」→「e」という具合に英単語のスペルをそのままタイピングして「スペース」キーを押すと、以下の図に示したような変換候補が表示される。あとは、この中から最適な表記を選択するだけ。
「Wi-Fi」のように少し特殊な表記にも対応している。以下の図は、「w」→「i」→「f」→「i」とタイピングして「スペース」キーを押した例だ。
変換前の表示が「おっふぃせ」や「うぃふぃ」のように日本語として成立しない表示になっているが、そのまま「スペース」キーで英単語に変換することが可能である。要は、英単語のスペルをそのままタイピングしていけばよいことになる。
そのほか、「おふぃす」→「office」、「てーぶる」→「table」、「きーぼーど」→「keyboard」のように、日本語の“カタカナ読み”をタイピングして、正しい英単語に変換する方法もある。
このように全角入力モード(IMEオン)の状態でも、たいていの英単語を半角で入力できる。この方法に慣れてしまえば、半角入力モード(IMEオフ)に切り替える必要はなくなる。よって、「どのキーで半角/全角を切り替えるか?」も些細な問題になる。
アプリの起動時にIMEをオンにするだけで「半角/全角の切り替え問題」から解放されるようになるため、そういう意味では「IMEオンの状態ですべての文字を入力する」というのが最強の入力方法になるかもしれない。
もちろん、どの方法を採用するかは各自の自由だ。新しい入力方法に慣れるまでは少し戸惑うかもしれないが、半角/全角の切り替えは文字入力の高速化に欠かせないポイントとなるので、この機会にいちど見直してみる必要があるだろう。

















