日本語IMEとして有名なのは、Windowsに標準添付されている「Microsoft IME」、本連載の11〜14回で紹介した「Google 日本語入力」、そして日本語入力システムの先駆者ともいえる「ATOK」の3つが挙げられる。そこで今回から、IMEに「ATOK」を利用する方法を紹介しよう。

  • ATOK Passportの体験版

    ATOK Passportの体験版

ATOK PassportはどんなIMEなのか

「ATOK」はジャストシステムが提供する日本語入力システムであり、パソコンの黎明期から日本語入力を支えてきた長い歴史を持つIMEとなる。ATOKの前身となるKTIS(ケイティス)が誕生したのは1982年。その後、1985年にATOKに改名され、現在まで40年以上にわたってアップデートを重ねてきた、日本語IMEの先駆者ともいえる存在になっている。

2025年のアップデートでは、新エンジン「ATOKハイパーハイブリッドエンジン2」を搭載(Windows版/Mac版)。従来の「ATOKハイパーハイブリッドエンジン」を改良し、新たに変換強度を学習することで、最適な候補を提示できるようになっている。

  • 「ATOKハイパーハイブリッドエンジン2」の紹介

    「ATOKハイパーハイブリッドエンジン2」の紹介

2025年の新機能・追加機能の紹介ページには、「ATOKハイパーハイブリッドエンジン2」の特長として、以下のような具体例が紹介されている。従来のATOKは“直前に確定した単語”を優先して提示する傾向があったが、最新版のATOKは“学習よりも自然な日本語”を優先して提示するように改良されているようだ。

  • 従来のATOKと比較した例

    従来のATOKと比較した例

このほかにも、好きな分野の語彙を追加した“自分専用の辞書”を作成できる「ATOKわたしの辞書プラス」など、日本語をより快適に入力するための改良が施されている。

  • 「ATOKわたしの辞書プラス」の機能紹介

    「ATOKわたしの辞書プラス」の機能紹介

このように先進的な機能が搭載されている「ATOK」だが、最新版を利用するにはサブスクの「ATOK Passport」を契約する必要がある。プランは「プレミアム」と「ベーシック」の2種類があり、プランに応じて「ATOKを利用できるOS」、「クラウド辞典の有無」、「利用可能なクラウドサービスの種類」などが変わる仕様になっている。各プランの詳細は公式サイト内に記載されているので、気になる人はいちど参照しておくとよいだろう。

  • ATOK Passportのプラン

    ATOK Passportのプラン

ちなみに、2025年10月時点におけるサブスク料金(税込)は以下の通りだ。

◆「プレミアム」プラン

  • 年間プラン:7,920円/年
  • 月間プラン:660円/月

◆「ベーシック」プラン

  • 月間プラン:330円/月

有料のサブスクとはいえ、1カ月あたり数百円程度の経費で「日本語入力を高速化できる」=「仕事を効率化できる」と考えれば、十分に利用する価値はあるだろう。

あとは「本当に使いやすいIMEになっているか?」が検討課題といえる。これについては個人差があるので、実際に各自で試してみるしかない。こういったニーズに備えて、無償で30日間だけATOKを試せる体験版も用意されている。続いては、この体験版をパソコンに導入するときの操作手順を解説していこう。

ATOK体験版の導入手順

ATOKの体験版(無償試用版)は、30日間だけATOKを“サブスク契約なし”で試用できるサービスだ。しかも、決済情報の登録なしで試用できる良心的な体験版になっている。導入時に必要となるのは「メールアドレスの入力」のみ。よって、気軽に体験版を試すことが可能となっている。

なお、パソコンに旧バージョンのATOKが存在している場合は、旧バージョンのATOKが自動削除されることに注意する必要がある。すでにATOKの利用経験がある人は、この点を踏まえたうえで作業を進めていく必要がある。

それでは、さっそく「ATOK体験版」の導入手順を紹介していこう。ブラウザでATOK Passport公式サイトを開き、画面の右上(または画面中央)にある「無料体験」ボタンをクリックする。

  • ATOK Passportの公式サイト

    ATOK Passportの公式サイト

以下のような画面が表示されるので、ATOKをインストールする端末(OS)を選択する。ここでは「ATOK for Windows」を例に操作手順を紹介していこう。Windows標準の日本語入力環境(Microsoft IME)と同じキー操作で漢字変換などを行いたい場合は、「体験版(MS-IME設定)をダウンロード」をクリックする。

  • 体験版の種類の選択

    体験版の種類の選択

このような画面が表示されるので「個人情報の取り扱いについて」を一読し、自分のメールアドレスを入力する。続いて、画面を下へスクロールする。

  • メールアドレスの入力

    メールアドレスの入力

簡単なアンケートが表示されるので、これに回答する。その後、「上記個人情報の取り扱いに同意して、ダウンロードを行う。」をチェックし、「ダウンロードに進む」ボタンをクリックする。

  • アンケートに回答してダウンロードページへ進む

    アンケートに回答してダウンロードページへ進む

このような画面が表示されるので「ダウンロードする」ボタンをクリックし、ダウンロードが完了するまで待つ。

  • ATOK試用版のダウンロード

    ATOK試用版のダウンロード

ダウンロード完了後に「ダウンロード」フォルダーを開くと、「at35trym4.exe」というファイルが保存されているのを確認できる。このファイルをダブルクリックする。

  • ダウンロードされたファイル

    ダウンロードされたファイル

ファイルの解凍先を指定する画面が表示される。ここでは特に理由がない限り、そのまま「解凍」ボタンをクリックすればよい。

  • 解凍先フォルダーの指定

    解凍先フォルダーの指定

ATOKのインストーラーが表示されるので、「ATOK for Windowsのインストール」ボタンをクリックする。続いて「ユーザーアカウント制御」が表示された場合は「はい」ボタンをクリックする。

  • ATOKのインストール(1)

    ATOKのインストール(1)

使用許諾契約が表示されるので、内容をひととおり確認してから「同意する」ボタンをクリックする。

  • ATOKのインストール(2)

    ATOKのインストール(2)

あとは「インストール開始」ボタンをクリックするだけ。ATOKのインストールが開始されるので完了するまで待つ。

  • ATOKのインストール(3)

    ATOKのインストール(3)

インストールが完了すると、以下の図のような画面が表示される。「終了する」ボタンをクリックしてインストーラーを終了させる。

  • ATOKのインストール(4)

    ATOKのインストール(4)

インストールしたATOKを試用するにはパソコンの再起動が必要となる。「はい」ボタンをクリックしてパソコンを再起動する。

  • 再起動を確認する画面

    再起動を確認する画面

パソコンを再起動すると「ATOK スタートアップツール」が表示される。ここでATOKの基本設定を行っていく。「次へ」ボタンをクリックする。

  • ATOKの初期設定(1)

    ATOKの初期設定(1)

最初に入力方法を設定する。「ローマ字入力」または「カナ入力」を選択し、「次へ」ボタンをクリックする。

  • ATOKの初期設定(2)

    ATOKの初期設定(2)

次は、漢字変換などを行うときのキー操作を設定する。Microsoft IMEと同様のキー操作にするときは、「Windows付属の日本語入力システム(Microsoft IME)風のキー操作にする」を選択して「次へ」ボタンをクリックする。

  • ATOKの初期設定(3)

    ATOKの初期設定(3)

次は「Microsoft IMEに登録した単語をATOKに引き継ぐか?」を設定する。引き継ぐ場合は、「登録単語を引き継ぐ」をチェックして「次へ」ボタンをクリックする。

  • ATOKの初期設定(4)

    ATOKの初期設定(4)

設定した内容の確認画面が表示されるので、よく確認してから「実行」ボタンをクリックする。

  • ATOKの初期設定(5)

    ATOKの初期設定(5)

続いて、「ATOKを既定のIMEにするか?」を訪ねる画面が表示されるので、これを確認してから「閉じる」ボタンをクリックする。

  • 既定のIMEの設定

    既定のIMEの設定

以上で、ATOKのインストールと基本設定は完了となる。少しだけ手間がかかるが、特に難しい設定項目はないので、画面の指示に従って操作していけば問題なく作業を終えられるだろう。

ATOK体験版の試用開始とIMEの切り替え

最後に、インストールしたATOKを体験版として試用するための操作手順を紹介しておこう。IMEにATOKを選択すると、以下の図のような画面が表示される。ATOKを体験版として試用するときは、ここで「試用する」ボタンをクリックすればよい。

  • ATOKの有効化

    ATOKの有効化

なお、上記の画面が表示されなかった場合は、以下の図に示した手順でIMEを「ATOK」に切り替え、その後「半角/全角」キーを押してIMEをオンにすると、上記の画面を表示できる。

  • IMEの切り替え

    IMEの切り替え

ATOKの試用を開始すると、「カスタムATOK」という設定画面が自動表示される。ここで各種設定をカスタマイズしてから試用を開始してもよい。よく分からない人は、とりあえずは初期設定のままATOKを試してみるとよいだろう。「×」をクリックして設定画面を閉じる。

これでATOKを使った日本語入力が可能となる。ということで、次回はATOKを実際に使ってみた様子をMicrosoft IMEと比較しながら紹介しよう。

  • カスタムATOK

    カスタムATOK