これまで3回にわたって「Google 日本語入力」の使い方や特長などを紹介してきた。今回は「Google 日本語入力」の最終章として、さまざまな設定変更について紹介していこう。自分好みのIMEになるように、「どのような設定項目が用意されているか?」を確認しておくとよいだろう。

  • Google 日本語入力の設定変更

    Google 日本語入力の設定変更

Google 日本語入力の設定画面

まずは「Google 日本語入力」の設定画面を呼び出すときの操作手順から紹介していこう。タスクバーに表示されている「あ」または「A」のアイコンを右クリックし、「プロパティ」を選択する。

  • 設定画面の呼び出し

    設定画面の呼び出し

すると、以下の図のような画面が表示される。これが「Google 日本語入力」の設定画面となる。各タブに用意されている主な設定項目を紹介していこう。

「一般」タブには、「ローマ字入力・かな入力」の切り替え、「句読点」や「記号」の種類、「スペースの入力」を半角/全角のどちらにするかなど、日本語入力に関する基本的な設定項目が用意されている。特徴的なのは「選択候補ショートカット」という設定項目が用意されていることだ。

  • 「一般」タブに用意されている設定項目

    「一般」タブに用意されている設定項目

この設定項目には、初期値の「1-9」のほかに「A-L」を指定できるようになっている。「A-L」を指定すると、漢字変換時の表示が以下の図のようになり、変換候補を「A、S、D、F、G、H、J、K、L」のキーで選択できるようになる。

  • 候補選択ショートカットを「A-L」に変更した場合

    候補選択ショートカットを「A-L」に変更した場合

これらのキーはホームポジションと同じ段に配置されているため、「1~9」のキーより操作しやすいのが利点となる。タッチタイピングが得意な人は、このように設定変更しておくと、漢字変換を高速化できるかもしれない(多少の慣れは必要ではあるが……)。

設定画面の「辞書」タブには、「学習機能」の有効/無効、同音異義語の用例表示、変換時に表示する候補の種類を指定する設定項目が並んでいる。

  • 「辞書」タブに用意されている設定項目

    「辞書」タブに用意されている設定項目

仕事だけに使うパソコンで「絵文字や顔文字は使用しない」という場合は、ここで「絵文字変換」と「顔文字変換」のチェックボックスをオフにしておくとよい。すると、変換候補に絵文字や顔文字が表示されなくなり、よりシンプルな表示にカスタマイズできる。

  • 「絵文字変換」と「顔文字変換」のオン/オフ

    「絵文字変換」と「顔文字変換」のオン/オフ

「入力補助」タブには、以下の図に示したような設定項目が用意されている。設定内容を把握しにくいと思われる「自動英数変換」と「句読点変換」について補足しておこう。

◆自動英数変換

かな入力で「http」や「google」(ごおgぇ)、「android」(あんdろいd)などとタイピングしたときに、半角の「http」、「google」、「android」などに自動変換してくれる機能。「Tab」キーや「Space」キーを押す必要はない。

◆句読点変換

この機能をオンにすると、「。」や「、」、「?」、「!」をタイピングした時点で「Space」キーを押さなくても自動的に漢字変換が行われる。

  • 「入力補助」タブに用意されている設定項目

    「入力補助」タブに用意されている設定項目

「サジェスト」タブには、予測入力に関連する設定項目が用意されている。予測候補の数は3個に初期設定されているが、このままでは少なすぎる、と感じる人も多いだろう。こういった場合は、サジェストの最大候補数を「5」などに変更しておくとよい。予測候補の数は最大9個まで増やすことが可能となっている。

  • 「サジェスト」タブに用意されている設定項目

    「サジェスト」タブに用意されている設定項目

なお、この設定画面にある「リアルタイム変換」は「変換結果を予測候補として表示するか?」を指定する設定項目となる。少しわかりにくいので、具体的な例を紹介しておこう。

以下の図において、左側は「リアルタイム変換」が有効の場合(初期値)、右側は「リアルタイム変換」が無効の場合となる。タイピングした文字が少ないときは、両者とも差は生じない。どちらも予測候補の一覧が表示される。

  • 「リアルタイム変換」の有効/無効(文節)

    「リアルタイム変換」の有効/無効(文節)

差が生じるのは、もっと多くの文字を一気にタイピングしたときだ。この場合、“予測候補なし”になってしまうケースが多いが、「リアルタイム変換」を有効にしていれば、代わりに“変換結果”が表示されるようになる。一方、「リアルタイム変換」を無効にすると、予測候補に何も表示されなくなってしまう。

  • 「リアルタイム変換」の有効/無効(文章)

    「リアルタイム変換」の有効/無効(文章)

よって、特に理由がない限り、「リアルタイム変換」は有効(初期値のまま)にしておくとよい。

続いては「プライバシー」タブについて紹介していこう。この設定画面は、人前で文字を入力するとき(自分の入力履歴を見られたくないとき)に活用する。「シークレットモード」をオンにすると、学習機能/入力履歴をもとにした予測入力/ユーザー辞書が一時的に無効化される。「プレゼンテーションモード」をオンにすると、すべての予測入力が一時的に無効化される。

  • 「プライバシー」タブに用意されている設定項目

    「プライバシー」タブに用意されている設定項目

なお、これらのモード切り替えは、後ほど紹介するコマンド機能でも実行できるようになっている。

「その他」タブには、「Ctrl+Shift」キーの有効/無効などを設定する項目が用意されている。IMEの切り替えを「Ctrl+Shift」キーで行いたい場合は、赤線で囲った設定項目をオフにしておく必要がある。

  • 「その他」タブに用意されている設定項目

    「その他」タブに用意されている設定項目

以上が「Google 日本語入力」に用意されている主な設定項目となる。使いやすいIMEになるように、必要に応じてカスタマイズしていくとよいだろう。

コマンド機能の活用

急な来訪者が現れた場合など、即座に「シークレットモード」や「プレゼンテーションモード」に切り替えたいケースもあるだろう。このような場合は、コマンド機能を使ってモードを切り替えるとよい。

適当なアプリに「こまんど」とタイピングして「Space」キーを押すと、以下の図に示したような変換候補が表示される。この一覧から【シークレットモードをオン】を選択すると、即座に「シークレットモード」に切り替えることができる。同様に、【サジェスト機能の一時停止】を選択して「プレゼンテーションモード」に切り替えることも可能だ。

  • 「こまんど」の変換候補

    「こまんど」の変換候補

もちろん、同様の手順で通常モードに戻すことも可能となっている。もういちど「こまんど」とタイピングして「Space」キーを押すと、「シークレットモード」や「プレゼンテーションモード」を解除する選択肢が表示される。

  • 設定変更を元に戻す操作

    設定変更を元に戻す操作

このように、いちいち設定画面を呼び出すことなく、即座にモードを切り替える方法も用意されている。過去の入力履歴を見られたくない人は、ぜひ使い方を覚えておくとよい。

規定のIMEを変更するには?

「Google 日本語入力」をインストールすると、「Microsoft IME」と「Google 日本語入力」の両方をIMEとして使用できるようになる。続いては、Windowsの起動時に自動選択される「規定のIME」を変更する方法を紹介しておこう。

スタートメニューから「設定」を選択する。Windowsの設定画面が表示されるので、「時刻と言語」→「入力」→「キーボードの詳細設定」を選択する。

  • キーボードの詳細設定

    キーボードの詳細設定

規定のIMEを変更するときは、この画面にある「規定の入力方式の上書き」を操作すればよい。

  • 既定のIMEの変更

    既定のIMEの変更

そのほか、アプリに応じて使用するIMEを自動変更する機能も用意されている。この機能を有効にするときは、「アプリ ウィンドウごとに異なる入力方式を設定する」をオンにすればよい。

  • アプリごとにIMEを使い分ける場合

    アプリごとにIMEを使い分ける場合

すると、各アプリで「最後に使用していたIME」が記録され、そのIMEが次回も自動選択されるようになる。たとえば、「Microsoft IME」を選択した状態でWordを終了すると、次回にWordを起動したときに自動的に「Microsoft IME」が選択されるようになる。同様に、「Google 日本語入力」を選択した状態でメールアプリやブラウザを終了すると、次回にメールアプリやブラウザを起動したときに自動的に「Google 日本語入力」が選択されるようになる。

このように、アプリに応じて使用するIMEを自動的に切り替えることも可能となっている。それぞれの得意分野を活かしながら、IMEを使い分けたい場合に活用できるだろう。

Google 日本語入力のアンインストール

最後に「Google 日本語入力」のアンインストールについて説明しておこう。「Google 日本語入力」を試してみたものの「どうしても好きになれなかった」という場合は、以下の手順で「Google 日本語入力」を削除してしまえばよい。

スタートメニューから「設定」を選択する。Windowsの設定画面が表示されるので、「時刻と言語」→「言語と地域」を選択する。続いて、「日本語」の項目にある「…」をクリックし、「言語のオプション」を選択する。

  • 「言語と地域」の設定画面

    「言語と地域」の設定画面

オプション画面が表示されるので、画面を下へスクロールしていく。すると、キーボードの分類に「Google 日本語入力」という項目が見つかる。ここにある「…」をクリックして「削除」を選択する。

  • Google 日本語入力を削除する操作

    Google 日本語入力を削除する操作

その後、パソコンを再起動すると「Google 日本語入力」を削除できる。とはいえ、「Google 日本語入力」のアンインストールはいつでも実行できるので、あせって削除する必要はない。

「Google 日本語入力」を使い始めたばかりの頃は、まだまだ学習機能が鍛えられていないため、使いづらさを感じる部分もあるだろう。しかし、学習が進むにつれて不満な部分が解消されていくかもしれない。IMEの性能を見極めるには、それなりの期間が必要となる。よって、ある程度、使い込んでみた後に「やはり使いづらい……」となった時点でアンインストールすればよい。

これはあくまで個人的な感想だが、「Google 日本語入力」は「Microsoft IME」と比べても遜色のない、使いやすいIMEだと思われる。あとは“慣れ”と“好み”の問題だ。気になる人はこの機会に一度、いや数週間ほど試してみるとよいだろう。