生成AIや自動運転、量子コンピュータ、AR・VR技術――近年のテクノロジーの進化は目覚ましく、30年前には考えられなかったような体験をたくさんできるようになってきた。
一方で、「当たり前の存在」となって、私たちに生活に溶け込んでいるテクノロジーも数えきれないほどあるだろう。そこで、本連載では、その当たり前になっている存在にスポットライトを当て、読者が抱いているかもしれない「そういえば、この技術ってどういう仕組みなの?」という素朴な疑問に答えていく。
第2回目は、多くのビジネスパーソンが「乗らない日のほうが少ない」であろう「エレベーター」について詳しく紹介していく。
ボタンを押すだけで行きたい階に連れて行ってくれるエレベーターは、子どもからお年寄りまで、誰もが免許なしで操作・運転できる大きな乗り物の一つだ。「縦の交通機関」とも呼ばれるこの革新的技術は、一体どのような仕組みで動いているのだろうか。
前回と同様、自分の目で確かめたいと思ったので、エレベーターの設計開発・製造・販売などを手掛ける日立ビルシステムの開発研究施設「亀有総合センター」に足を運んでみた。同社が2019年に中国の超高層ビルに納入した分速1260m(秒速21m)で走行するエレベーターは、世界最高速エレベーターとしてギネス記録に認定されている。
取材中、100年以上の歴史を持つ同社の革新的なエレベーター技術に終始圧倒されていた筆者。普段は見ることができない“エレベーターの内部”をお届けしよう。