前回では、より実践的にGA4を活用できるよう、基本的なレポートの見方と初期設定について解説しました。最終回となる今回は、現在、GA4がユニバーサルアナリティクスと併用できる中で、いつ導入したらいいのかを迷っている方に向けて「GA4導入の最適なタイミング」と、これまでお伝えしきれなかったさらなる「導入メリット」についてご紹介します。

導入のタイミングはいつがベストか

企業のご担当者や社内から「GA4の導入タイミングはいつがいいのか?」と聞かれることがよくあります。

現在、GA4とユニバーサルアナリティクスは併用可能です。例えば、新たにGA4を利用する場合、ユニバーサルアナリティクスとは違う別のタグを新しく作成し、GTM(Googleタグマネージャー)などを使って設定する必要がありますが、この際、ユニバーサルアナリティクスのデータには支障なく、また干渉することなく利用することができます。

このように併用可能であるものの、旧バージョンであるユニバーサルアナリティクスがいつサービス終了になるかわからなかったため、GA4を導入するタイミングを聞く方がこれまで多かったのかもしれません。

  • ユニバーサルアナリティクスとGA4は同時利用が可能(Googleタグマネージャーのタグが別)

ユニバーサルアナリティクスは2023年7月1日で計測停止

そうした矢先、本稿を執筆していた2022年3月16日、ついにGoogleからユニバーサルアナリティクスのサポートを終了するというアナウンスがありました。

これまで、いつかなくなる可能性があるとお伝えしていたユニバーサルアナリティクスですが、その計測は2023年7月1日で停止されます。その後、少なくとも6カ月間はユニバーサルアナリティクスで処理されたデータにアクセスできるようですが、いつ完全に見ることができなくなるのかというアナウンスは今回ありませんでした(2022年3月16日時点)。

(参考:アナリティクス ヘルプ) https://support.google.com/analytics/answer/11583528?hl=ja

つまり、来年2023年内はデータを見ることのできる猶予はありますが、それ以降のどこかの時点で見れなくなってしまう可能性があるので、早めの準備が必要になってくるでしょう。

このニュースを受け、GA4に興味を持ったり、導入を検討したりする企業や社内部署も増え、GA4へのシフトがますます加速していくと思います。

導入のタイミングは今がベスト

では、導入のタイミングはいつが良いか。それはまさに「今」が最も良いと考えています。ユニバーサルアナリティクスのサービス終了のアナウンスも踏まえ、その理由は3つあります。

  1. (今なら)ユニバーサルアナリティクスとGA4の同時利用が可能
  2. データを貯める時間が必要
  3. 慣れる時間が必要

ユニバーサルアナリティクスとGA4の同時利用が可能

先ほども申し上げたように、GA4とユニバーサルアナリティクスは、今なら同時で利用可能です。つまりこのメリットは、ユニバーサルアナリティクスのデータや設定が“今ならまだ見られる”ということです。

これまでに説明した通り双方には大きな違いがあると言えど、逆に共通している面も多くあります。今のうちにユニバーサルアナリティクスの設定を見ながら、イベント、コンバージョン、カスタムディメンションをGA4で設定したり、重要なレポートを(後述する)GA4の探索機能を使って残したりしておくことをおすすめします。

  • イベントは、GA4で設定できるようになった。またユニバーサルアナリティクスと違い、コンバージョンを設定する際にはイベントから設定するよう変更された。

データを貯める時間が必要

GA4への移行にはある程度のデータ蓄積期間が必要だと考えています。サポート終了(2023年7月)間近になってGA4を導入しても、特に導入しただけでは、ユニバーサルアナリティクスと同じようなデータは当然取得できません。

そのためには、事業やプロジェクトにあわせ、手探りでGA4を設定していく必要があります。前回にお伝えしたものも含め、最低限これだけは見直した方がよい初期設定はありますが、そこから先は各会社によって違ったり、癖があったりもします。ですので、できるだけ早くGA4を導入し、ユニバーサルアナリティクスのサポート終了に向けて準備を進めるのが良いと思います。

また、昨年対比などを重視している企業はユニバーサルアナリティクスが閲覧できなくなるため、今のうちからGA4でデータを貯め始めていかないと、比較の効果測定ができなくなってしまいます。こうした企業やプロジェクトも、少し急いで導入を進めたほうが良いです。

慣れる時間が必要

GA4は、これまで使い慣れていたユニバーサルアナリティクスと比べると、異なる点が多々あり、新しく学ぶ時間を必要とします。出したいデータが出せなかったり、どのように設定したらいいかわからなかったり、今まであった指標がなかったりと、ツールの操作で戸惑うこともあるでしょう。また、指標もユニバーサルアナリティクスとGA4では定義が異なるものが多いです。私自身もそうでしたが、どうしてもGA4に慣れるには時間が必要です。

変わることによるいろいろな弊害はもちろんありますが、広告運用やオウンドメディアを運用をしている方は、これからもGoogleアナリティクス(GA4)が必要であると私は考えます。ぜひGA4ならではの違いや新機能を楽しみながら、実践で活用できるようになっていただければと思います。