このセキュリティ関連ニュースのまとめ

・NVIDIAがAIエージェントを安全に運用するOpenShell Reference Architectureを発表
・Vera Rubin、Vera CPU、BlueField-4、Sentryを統合してエージェントを監視・制御
・許可範囲を外れたエージェントをハードウェア側からミリ秒単位で隔離・停止

NVIDIAは10月21日(独時間)、「GTC Berlin 2026」において、企業やエッジ環境でAIエージェントを安全に開発・運用するための「NVIDIA OpenShell Reference Architecture」を発表した。

AIエージェントを隔離された環境で実行するオープンソースのセキュアランタイム「NVIDIA OpenShell」を、演算基盤、CPU、DPU、セキュリティソフトウェアと組み合わせ、産業規模で導入できる参照アーキテクチャとして提供する。

AIエージェントはファイル、ネットワーク、認証情報、ツール、APIなどへアクセスし、長期間にわたって自律的に作業する可能性がある。このため、AIモデル自体の安全対策だけでなく、エージェントが実行できる操作をインフラ側で制限する必要がある。

OpenShell Reference Architectureでは、AIエージェントを明確に定めた境界内で動作させ、その行動を継続的に監視。許可されていない操作を試みた場合には、ソフトウェアとハードウェアから制御する。

Vera Rubin、Vera、BlueField-4で役割を分担

アーキテクチャの中核には、AIモデルの推論を担う「NVIDIA Vera Rubin」、エージェントハーネスやツール操作を実行する「NVIDIA Vera CPU」、インフラ側から安全性を強制する「NVIDIA BlueField-4 DPU」を配置する。

ラックスケール・スーパーコンピュータである「Vera Rubin NVL72」が、企業が使用するオープンモデルやクローズドモデルの推論を担当。NVIDIAによると、エージェンティックAIのワークロードにおいて、1MW当たりのスループットを30倍へ高めるという。

Vera CPUはOpenShellを動作させ、AIエージェントを隔離するセキュアな実行境界を提供する。NVIDIAは、Vera CPUがx86プロセッサ比で2倍の性能を、より高いエネルギー効率で実現するとしている。

BlueField-4 DPUでは、NVIDIA DOCAを基盤とする「NVIDIA Sentry」を実行する。AIエージェントやホストOSとは独立した場所から動作を監視し、設定されたソフトウェア境界をエージェントが越えようとした場合、ミリ秒単位で隔離・停止する。

エージェント自身から変更できない制御層を構築

AIエージェントは、LLMなどによる推論を基にツールを選択し、ファイル操作やコード実行、API呼び出しなどを行うが、確率的に判断するAIへ安全な動作を委ねるだけでは、曖昧な指示やツールの不具合、予期しない実行結果によって、当初の目的や制約から動作が外れる可能性がある。

OpenShellは、AIエージェントと企業のデータ、ネットワーク、ツール、認証情報などの間に配置され、アクセス可能な範囲をエージェントごとに制御する役割を担うもので、制御機能をエージェントの実行環境から分離することで、AIエージェント自身がポリシーを書き換えたり、監視機能を停止したりできない構成とする。BlueField-4とSentryは、ソフトウェア層が侵害された場合にも、ハードウェア側からポリシーを強制する役割を担う。

クラウドからエッジまで展開

OpenShell Reference Architectureは、Canonical、SUSE、Red HatによるLinuxおよびKubernetes基盤のほか、Microsoft Execution Containersを使用するMicrosoft Windowsに対応する。また、Amazon Web Services、Google Cloud、Microsoft AzureのクラウドOSでも利用可能としている。

さらに、NVIDIA RTX Spark、DGX Spark、DGX Stationへの拡張も可能で、小売、医療、製造、ロボティクス、ソフトウェア開発、通信などのエッジ環境で動作するAIエージェントにも適用するほか、Anthropic、Google、Meta、OpenAI、Perplexityなどが提供するモデルをOpenShell基盤上で動作させることも想定しているとする。

セキュリティ分野では、Cisco、CrowdStrike、Microsoft、Palo Alto Networksなどが対応を進めるほか、Cadence、Dassault Systèmes、IBM、SAP、Siemens、Synopsysなどがエージェント基盤の開発へOpenShellを活用する。

NVIDIAは、OpenShell Reference Architectureを通じ、AIエージェントに有用な作業を行う自由度を与えながら、その行動を企業が定めた境界内へ制限する。AIエージェントの演算、実行、監視、ポリシー強制を一体化し、企業における本番導入を支援するとしている。