
日米両政府が、関税交渉で合意した対米投融資5500億ドル(約85兆円)の第1弾として、三つの事業を選んだ。ガス火力発電と原油輸出、人工ダイヤモンドで、事業規模は計360億ドル(約5兆5千億円)となる。すでに第2弾として原発など複数事業が浮上しており、3月に予定される高市早苗首相の訪米までに日米の調整が進むかが注目される。
対米投融資は、トランプ米大統領が再登板後に打ち出した高関税措置の引き下げの条件となった。幅広い品目に対する相互関税が25%、自動車・自動車部品関税が27.5%だったが、合意によりいずれも15%まで引き下げられた。赤澤亮正経済産業相は、国内総生産(GDP)5兆円の押し下げ効果が2兆円圧縮されたことを強調している。
赤澤亮正・経済産業相
合意のカギとなった対米投融資は、政府系金融機関である国際協力銀行(JBIC)と日本貿易保険(NEXI)が投資、融資、融資保証を提供する内容。経済安全保障上重要な分野に関する米国内のサプライチェーン(供給網)構築を目的とし、日米双方が利益を得るとした。
第1弾では、米国が中国と開発競争を繰り広げる人工知能(AI)分野に巨大な投資をしたい意図が浮かび上がった。AI開発に伴い電力需要が逼迫しており、ガス火力発電事業により学習や運用に欠かせないデータセンター向けの電力を確保する狙いだ。オハイオ州に建設し、事業規模は今回最高となる333億ドルに上る。
この他、原油輸出はテキサス州とメキシコ湾岸で行う。半導体や精密機器の部材の切削・加工に使われる人工ダイヤモンドは、ジョージア州に製造工場を作り、日本が買い取る。
日本国内では、ソーシャルメディアなどで米国による搾取との批判も出ている。政府は、経済安保の観点だけでなく、日本企業が米国に進出したり、部品を供給したりすることで利益を挙げられるというメリットも強調し、理解を得ようとしている。
