米Microsoft(マイクロソフト)は3月9日(現地時間)、企業向けAI活用を本格的な成長フェーズに導く新たな枠組みとして「Frontier Transformation(フロンティア・トランスフォーメーション)」を掲げ、その実装形となる統合ソリューション「Microsoft 365 E7: The Frontier Suite」を発表した。AIを単なる生産性向上ツールではなく、組織の意思決定や価値創出を支える基盤として位置付ける点が特徴だ。
CopilotでAnthropicの「Claude」が利用可能に
Frontier Transformationは、従来の「AI Transformation」が重視してきた効率化や自動化を超え、人間の判断や創造性とAIを結び付け、持続的な事業成果につなげることを目的とする。その中核に据えられているのが「知性(インテリジェンス)」と「信頼(トラスト)」だ。
ここでのインテリジェンスは、高性能なAIモデルそのものではなく、企業固有のコンテキスト(業務文脈)やデータ、コラボレーションの履歴と結び付いた、使えるインテリジェンスを指す。一方のトラストは、AIやエージェントが可視化・管理・統制され、セキュリティやコンプライアンスを満たした状態で運用されることを意味し、同社はAIが業務の中核へ入り込むほど、この両立が不可欠になると強調している。
インテリジェンスの基盤として位置付けられるのが「Work IQ」だ。これはMicrosoft 365上のメールや文書、会議、チャットといった業務データを理解し、CopilotやAIエージェントに深い仕事の文脈を与える知能レイヤとのこと。単なる生成AIではなく「誰が、誰と、何の目的で仕事をしているか」を理解した支援が可能になる点に狙いがあるという。
このWork IQを前提に進化するのがMicrosoft 365 Copilot Wave 3。Wave 3はCopilotの機能進化フェーズを指す名称でWordやExcel、PowerPoint、Outlookといった日常業務アプリの中で、高度なチャット体験や成果物の作成・拡張、ユーザー自身がエージェントを構築できるエージェント指向の機能が追加される。
また、Copilotは単一モデルに依存しないモデル多様性を前提に設計されている。OpenAIの最新モデルに加え、AnthropicのClaudeなど、複数の先進モデルを用途に応じて活用できる点が特徴で、Frontierプログラムを通じてClaudeもCopilotのメインチャットで利用が可能になった。
価格は1ユーザーあたり月額99ドル
一方で、AIエージェントの急増に伴うリスクに対応するため、AIエージェントを一元管理するための統制基盤「Microsoft Agent 365」の提供を開始。
これは、組織内で稼働するAIエージェントを可視化し、管理・ガバナンス・セキュリティを統合的に担うコントロールプレーンで、IT部門は人のIDやアクセス管理と同様の感覚でエージェントを管理できる。価格は1ユーザーあたり月額15ドルで、2026年5月1日に一般提供開始を予定している。
こうした知性(Work IQ)、業務への組み込み(Copilot Wave 3)、信頼と統制(Agent 365)を一つに束ねたのがMicrosoft 365 E7: The Frontier Suiteというわけだ。
E7は、Microsoft 365 E5、Microsoft 365 Copilot、Agent 365を包括した統合SKUであり、さらにE5でバンドルしていたMicrosoft Entra、Defender、Intune、Purviewといった高度なセキュリティガバナンス機能群を含む。価格は1ユーザーあたり月額99ドルとなる。