【経済産業省】中小企業にロボット導入を 人手不足解消へ支援組織

人口減少や若者の流出で、製造業を中心に地方の人手不足が深刻化する中、経済産業省は自治体と連携して中小企業のロボット導入を後押しする体制づくりを進めている。産官学が連携する支援組織を立ち上げ、人材育成などに着手。作業の自動化による生産性の向上や労働環境の改善につなげる狙いだ。

 経産省が好事例として挙げるのは、金型製作やプレス加工を手掛ける有川製作所(金沢市)だ。同社は従業員を確保できずフル稼働できない状況だったが、部品や材料をプレス機に設置、取り出す作業を自動化するロボットを導入。生産能力の9%増加や品質の安定に加え、4年間で10人の新規採用につながったという。

 一方で、多くの中小経営者にとってロボットの活用は、デジタルツールの導入、作業工程や従業員の配置の見直しが必要で、ハードルが高い。エンジニアに導入の計画を丸投げし、完成品がイメージと違い使いこなせないといった失敗例もある。

 相模原市(神奈川県)など、一部の地域はこの課題を解決するため、ロボット導入を検討する企業に対して、伴走支援する専門家を派遣するなどの施策を進めてきた。同市担当者は「作業の標準化が不十分で自動化のイメージが湧かない企業が多く、ロードマップを一緒につくることもある。多角的なサポートが必要だ」と指摘する。

 こうした取り組みを全国に広げようと、経産省は「全国ロボット・地域連携ネットワーク」を昨年6月に設立した。北海道から九州までの約30地域の自治体などが参加。各地域がロボット導入まで企業に伴走する「コーディネーター」を育成できるよう、研修の開催やオンラインの学習コンテンツの提供を行っている。

 また、先進事例を全国で共有できるよう、今年度末までにデータベースを整備する見通しだ。ロボット関連の技術を持つ企業と各地域をつなげるマッチング支援も今後取り組む。

 製造産業局幹部は「地方に良質な雇用の場が少なく、都市に人材が流出する悪循環を食い止めたい」と意気込む。

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