【2026年をどう占いますか?】 答える人 日本生命保険社長・朝日智司

「安心の多面体」で介護や保育、健康施策の提供を

 ─ 日本生命保険社長の朝日智司さん、26年の世界・日本経済をどう見通しますか。

 朝日 世界経済は緩やかに回復する中、米国による関税や移民政策の影響で潜在成長率は低水準に留まると見ています。一方で、日本経済は関税引き上げの影響が徐々に減衰し、輸出は持ち直すと期待しています。個人消費や設備投資を中心にして国内の需要が増加し、潜在成長率を若干上回る年率1%程度の成長が続くと予想しています。

 金利も賞与の動向や賃上げのモメンタムの継続などを確認した上で、日本銀行が利上げを実施すると見ています。25年末か年明け頃に0.75%に利上げされ、順調に行けば、26年度中に1%までに利上げを想定するという状況です。

 ─ その中で国内の保険市場をどう掘り起こしますか。

 朝日 メインチャネルである営業職員の提供価値を増大させることに注力していきます。コロナ禍の接触が難しかった時期から、当社はデジタルでお客様とつながるデジタル顧客基盤の拡充に努め、1000万を超えるお客様、もしくは見込み客のお客様の基盤を確立することができました。

 その結果、デジタルとリアルの融合した形でのコミュニケーションが可能となり、交通安全やがんの啓発活動など地域の社会課題の解決に資する活動に尽力できるようになっています。

 ─ 営業職員は何人いるのですか。

 朝日 5万人弱おり、地域に根ざした活動をしています。これまでは保険とそのサービスだけを扱っていましたが、今はがん検診の啓発などの健康増進活動をすることで、例えばがん検診受診においては約4人に1人の行動変容にもつながっています。

 ─ 一方で少子化対策に向けた取り組みはありますか。

 朝日 当社は「安心の多面体」を目指してライフサポート事業として介護や保育事業を手掛けるニチイホールディングスを傘下に入れました。そして同社の着実な成長と革新を推し進めながら、同業の皆さんと非競争領域といわれる人材の採用や育成、備品などを共同購入できる事業モデルの構築の検討を始めました。

 また、介護領域では地方銀行や自治体と協働取り組みに向けた対話を始めていますし、保育でも「保育イノベーションコンソーシアム」を本格稼働させています。少子化でも地域のステークホルダーの皆さんと共に様々な取り組みを進めているところです。

 ─ 「安心の多面体」の具体例になりますね。

 朝日 ええ。もう1つの柱になるのがヘルスケア領域です。『ニッセイ医療費白書』という地域ごとの医療費データを分析した資料を、1200を超える自治体に提供し、各自治体の健康施策に関する議論をスタートさせていきたいと思っています。