Windows Latestは2月20日(米国時間)、「Windows 11’s Drag Tray keeps popping up during drag-and-drop, frustrating desktop users」において、Windows 11に搭載された「ドラッグトレイ」が、ドラッグ操作のたびに画面上部へ表示される挙動を巡り、デスクトップ利用者の間で不満が広がっていると報じた。
画面上端に突然出現するトレイ、右クリックより速いという設計思想
「ドラッグトレイ」は約1年前に導入された機能で、ファイルやフォルダーを画面上端へ移動すると共有や転送、アプリへの送信先を示すフローティングトレイを表示する。右クリックから共有を選ぶ手順や、複数ウィンドウ間での移動より迅速な操作を狙った設計だ。既定で有効になっており、ドラッグ開始直後から反応する。
この機能は、デスクトップ上でファイルを整理する利用者にとっては支障となる場面がある。上段に置いたフォルダーへ移そうとした際にもトレイが現れ、目的の位置が隠れて再操作を迫られる例が報告されているという。Windows Latestは、ドラッグトレイは日常的にデスクトップを作業空間として使うデザイナーや開発者にとっては、長年の操作習慣との齟齬があると指摘している。
その技術的な背景には、WindowsのConnected Devices Platformがある。「近距離共有」などのクロスデバイス体験を支える基盤で、ドラッグ動作を広域に監視する仕組みだ。カーソルが所定の領域へ入るとUIが表示されるが、現時点では利用状況を踏まえた文脈判断やアプリ単位の細かな制御は備えていない。そのため、単なる整理作業との区別ができない。
タッチ端末を意識した設計:Windowsの進化と慣習の衝突
機能そのものを評価する声もある。タッチ対応ノートや2in1機では、画面端へ移動させるジェスチャーに近い操作となり、写真の共有や文書の転送を素早く実行できる。スマートフォン連携と連動し、「自分のスマートフォン」へドロップするだけでスマートフォンへ送信できる点は実用的だ。エクスプローラー内の特定フォルダーへ直接移す用途でも有効とされる。
課題は柔軟性の不足だ。表示されるアプリはファイル種別に応じて変化し、任意のアプリを固定表示する機能はない。Telegramなどの通信アプリや外部共有ツールを常設したいという要望も出ている。
こうした反応を受け、Microsoftは2025年12月のセキュリティ更新でドラッグトレイを無効化できる切り替えを追加した。設定アプリの[システム]から[近距離共有]を開き、ページ上部のトグルをオフにすることで停止できる。従来はレジストリー編集が必要だったが、現在は設定アプリから変更できる。
Windowsは長年のマウス操作に根差したユーザーと、タッチやクロスデバイス体験を前提とする新しい設計思想の両立を迫られている。ドラッグトレイはその試行の一例であり、利便性と既存習慣の調整が今後の焦点となる。ユーザーは自らの作業様式に応じて有効・無効を選択できるようになった。小さなUI変更でも、積み重ねた操作感覚に影響を与えることを示す事例だ。
