
世界経済フォーラムのスイス・ダボス会議に社長時代、毎年、出席していた。世界中から経営者、元首や閣僚政治家、中銀総裁、学者、ジャーナリスト等、2000名が集まり世界課題を議論する大国際会議だ。
IMF世銀総会等多くの国際会議があるが、参加者・参加国の多さ、取扱う課題の多さ&広さではダボス会議が世界で最大最強だろう。
設定が賢い。
開催する1月は新たな年の課題共有には最適な時期だ。チューリッヒから車で2時間かかる雪山の中。まさに雪隠詰めで会場に籠り議論する以外、他にすることもない。世界中から著名人が集結しており、効率的にほとんどの著名人との面談設定も容易になる舞台だ。
個人的にいくつか気付きがある。第一に日本の存在感。日本が主課題になっているセッションが少ない。舞台上で種々主張するパネリストに日本人の姿がほとんどない。中国人は多数、パネリストに選ばれているのに。
現在の日本が世界で影が薄いこと、日本人の英語力が弱い故だ。日本の明るい将来のためには一層の海外展開が必須のはずだが、ダボスで見る限り誠に心もとない。
第二に日本人の滞在期間が短い。1、2泊の方も多い。ダボスの最大利点は「狭い会場で遭遇する多くの著名人との廊下立ち話的意見交換機会」が膨大にあることだ。短期滞在ではこの機会を活かし切れない。
1泊では『ダボスに行った』という箔付だけになってしまう。講演は今やWebで視聴可能。超高価な参加費と海外出張時間を考えると費用対効果、大丈夫か。
第三点。実はダボス等の大会議を敢えて評価しない著名人もいる。『俺は会いたい人にはいつでも会える』という実力者なら『カネと時間の無駄』と敢えて合理的に欠席判断するかも知れない。
例えば、KKRのHenry Kravisをダボス等国際会議で見たことは一度もない。具体的Dealに集中したいHenryにしてみれば国際会議での外交努力など時間の無駄なのだろう。
大イベントにしばしば顔を出し、多くの人に愛嬌を振りまき世間話に耽る経営者と、Henryのように無駄を完全排除する人と、どちらが優れた戦果を挙げるのか。個人的には無駄排除派の方が賢明かな、と感じている。
そう言えば、ユニクロ・柳井氏や孫正義氏、豊田章男氏、伊藤忠・岡藤氏ら所謂・勝ち組企業の経営者がパーティでカクテルグラスを片手に会場を練り歩き、長々と世間話をしている姿をあまり見たことがない。
トランプも来るダボスだ。出席者には上記も踏まえ、本来メリットを十分に享受して来て頂きたい。