
欧州と手を携えて
政治は何も決められない─という状況は、当然のことながら好ましくない。第2次トランプ政権は発足から1年が経ち、世界秩序は様変わりしている。
2025年は、トランプ政権の高関税策に世界中が振り回されたが、経済面では何とか対処してきた。しかし、既存の国際秩序が崩壊し、国連は無力化している。
〝力の論理〟が横行し、80年余前の、第2次世界大戦前の帝国主義的振る舞いが幅を利かせる時代に舞い戻ったようだ。それでも、中には冷静さを失わないリーダーたちもいる。
1月中旬のスイス・ダボス会議で、欧州の首脳たちは、言うべき事を言い、正すべきは正すという姿勢を示した。
自国の安全保障上の観点から、グリーンランドを「領有したい」としていた米トランプ大統領も、そのトーンを弱め、今後、欧州側と協議していくという姿勢に〝転換〟したが、情勢は流動的だ。
戦後秩序が崩れる中……
第2次世界大戦後の80年余、国際連合設立の中心的役割を担い、経済面ではIMF(国際通貨基金)体制を主導したのは米国である。
敗戦国・日本の戦後復興も、この戦後の国際秩序の中で進められた。
この間、日本はGDP(国内総生産)で米国に次ぐ2位の座についた。その後、バブル経済が崩壊し、〝失われた30年〟と呼ばれる低迷期に突入。今は、そこからどう脱出し、新しい国づくりをどう進めるかという岐路にある。
国(社会)と国民の関係はどうあるべきか? それを人口減、少子化・高齢化というマイナス環境の中で考え直さなければならない。
自らの国は自らの手で守るという国の安全保障、また、年金・医療・介護といった社会保障制度の持続性についても、解決策を早く見出していかねばならない。
こうした国の大きなビジョンづくりが必要な今、今回の総選挙では与野党間での議論・対話が十分に噛み合わなかったことは否めない。
基本原則を保持しつつ
ビジョンを構築し、それを実現していくには、政治が安定化しないといけない。事を前に進めるには、どうしても〝数の論理〟が出てくるので、多党化の中では連立が避けられないのが現実。
そうした状況では、妥協する局面も出てくるわけだが、基本原則は曲げないというスタンスも不可欠だ。原則を保持しつつ妥協し、物事を現実的に進めるために民主主義は存在する。
トランプ政権はこの点を喪失。米国ファーストの〝独りよがり〟が世界全体にマイナスの影響を与え、ひいてはそれが米国自身にもマイナスの影響としてハネ返ってきているという現実である。