
社会インフラの更新は 待ったなしの状況
─ 大成建設社長の相川善郎さん、26年の建設業界の見通しは?
相川 26年は個人消費なども徐々に回復するでしょうし、建設需要は安定的に推移するものと見ています。
また、高市首相の総合経済対策には期待しています。今、「危機管理投資」「成長投資」が打ち出されていますが、その中で私ども建設業が貢献しなければならないことが、明確になっていると思います。
特に国土強靭化対策、減災・防災対策、社会インフラの更新・リニューアルといった課題は、待ったなしの状況にあります。例えば、不幸にして過日発生した、埼玉県八潮市の下水道管の破損に起因すると考えられる道路の陥没事故ですが、当社は埼玉県からの要請を受けた日本建設業連合会からの派遣要請に基づき、復旧工事を担っています。
─ 復旧の見通しはいかがですか。
相川 完全な復旧には今年度いっぱいはかかる見通しです。一度、あのようなインフラの事故が起きると、地域の皆様のご負担はもとより、その復旧には多大なるコスト、手間がかかります。やはり、いかに同様の事故を防ぐかということが、これからの社会的課題だと思います。それはまさに、私ども建設業の重要な使命だと考えています。
─ 資材高騰、人手不足も深刻な課題です。
相川 ええ。建設物価が急激に上がってきた中、現在でもなお、資材関係の価格は高止まりしている状況です。ただ、今後の課題は労務費です。建設業に携わる技能者、職人さんの年収が、他の業種と比べて、まだ低い水準にありますから、そのギャップを解消するためには、今後5年以上、労務費を上げていかなければならないでしょう。
国土交通省をはじめ、建設業界としても、社会インフラを持続させ、その担い手を確保するためには、技能者の年収を上げることが、最も重要な課題だと捉えています。
また、年収のアップに加えて「4週8閉所」と言いまして、技能者に完全週休2日を取ってもらうなど待遇を改善することで、若い人たちに来ていただく。遅ればせながら、これを業界一体となって取り組んでいます。
─ 大成建設は東洋建設を買収しましたが、業界再編への考え方を聞かせてください。
相川 東洋建設をM&A(企業の合併・買収)したのは、規模の拡大ではなく、企業価値向上、企業としての質を上げることを狙いとしたものです。そして、事業変革の戦略ツールとして位置づけていますから、その考え方の中で、今後さらにM&Aを進めていくというのが我々の方向性になります。