
石化は再編で強化、 成長はグローバルで
─ 三井化学社長の橋本修さん、中国の過剰生産が世界の化学市況に影響を与えていますが、26年の見通しは?
橋本 中国の過剰生産はアジアだけでなく世界中で影響が出ています。中国の景気が悪く、中国国内で消化できない石油化学製品が外に出てきていると同時に、未だに国内で増設を進めているので、供給能力過剰が中長期的に続くとみています。
そのため、日本のクラッカーの稼働率は80%を切っていますし、韓国に至っては5割を切る状況です。韓国や台湾等グローバルベースで、関係する化学メーカーとは将来を見据えてどういう動きをしていくのか、情報交換をしています。
中国の化学メーカーは、非常に安い原料を使うと同時に、国から様々なサポートを得ていますから、非常に安いコストで製品がつくれます。そのような安価な製品が他国に流入している状況です。
─ 日本勢としては、どのように対応しますか。
橋本 我々自身が耐性、水際競争力を付けていく必要があると認識しています。そこでまず、日本国内での再編を進めています。それによって、競争力のある誘導品をつくること、そのために必要な上流のクラッカーの設備能力を適正化していく必要があるという視点でいま動いています。
─ 日本に石油化学の製造拠点は必要だと。
橋本 まさにエッセンシャル産業です。我々がつくった素材は半導体、自動車、日用品など、あらゆる産業に使われています。仮に全てを輸入に頼ると、価格が安いうちはいいですが、いつ高くなるかもわかりませんから、産業の根幹を握られる形になってしまいます。
我々は産業を守らなければならないわけですから、強い状態でなければなりません。そのためにも再構築や再編を進めて力を蓄え、次のステップにジャンプできるようにする必要があります。
─ 成長は高機能領域で求めていくことになりますね。
橋本 我々が「成長領域」と呼んでいる「ライフ&ヘルスケア」「モビリティ」「ICT」はここ5年余り、10%を超える高い利益成長を果たし、今後も伸ばしていきますが、この領域はグローバルで自由競争の世界ですから、自らの力で勝ち残っていかなければなりません。自分たちが持つ特徴ある技術やノウハウを活かし付加価値を高め、成長していきます。
また、経済のブロック化への対応も重要です。モビリティで「トランプ関税」の影響はあるものの、すでに計画には織り込んでいます。ただ、地政学によって今後も状況は変わりますから、そのリスクは見ておく必要があります。