2月19日に、都内で年次カンファレンス「HPE Discover More AI Tokyo 2026」を開催した日本ヒューレット・パッカード(HPE)。同日午後にはHPE Networkingの事業戦略に関する説明会が行われた。
HPEが描くAI時代のネットワーク戦略とセルフドライビング構想
まず、ヒューレット・パッカード エンタープライズ エグゼクティブバイスプレジデント プレジデント兼ゼネラルマネージャーのラミ・ラヒム(Rami Rahim)氏がNetworking事業のビジョンや戦略について説明を行った。同氏はHPEによるJuniper Networks(ジュニパー)買収前は同社のCEOを務めていた。
同氏は「ネットワーキングはAIとハイブリッドクラウドにとって不可欠な基盤であり、HPEの買収により、キャンパス(大規模拠点のネットワーク)/ブランチ(小規模・分散型拠点のネットワーク)やルーティング、データセンター、SASE(Secure Access Service Edge)/セキュリティという4つの重要なネットワーク領域を単一の『セルフドライビング・ネットワーク(自律運用型ネットワーク)』という思想のもとで、エンドツーエンドに制御できる。成功指標は従来の稼働率から、ユーザーやワークロードの体験に転換される」と述べた。
ラヒム氏によると、AIは単一のGPUの性能追求から、大規模並列でネットワーク化されたクラスタ(10万~100万GPU)や分散データセンターへと移行しており、ネットワークは自己修復、自己最適化、体験を認識できる存在でなければならないと語る。
HPE Aruba Networkingとジュニパーとの統合により、HPEはAI、ハイブリッドクラウド、ネットワークを横断する包括的なポートフォリオを有し、パブリック・プライベートクラウドの双方を両立し、簡素化されたハイブリッド導入を実現するという。
これを可能にするものがセルフドライビング・ネットワークだ。これは自己修復や自己最適化、リアルタイム補正により、ユーザー、エージェント、GPU、IoTに対する体験保証を含む自律運用をコンセプトとしている。マイクロサービス上に構築されたAIネイティブなネットワーク運用プラットフォーム「Mist」などを中核に、相互補完と機能開発の加速させるとのことだ。
キャンパスからAIデータセンターまでを支えるHPE Networkingの技術
その根拠として、キャンパス/ブランチ分野における約20%の市場シェアとAIモデルを支える10年以上にわたるテレメトリの蓄積、ルーティング、大規模データセンター事業者による採用実績、SASE/セキュリティを挙げている。
AI時代の体験はエッジ(人がいる場所)で決まり、問題が起きやすいのはキャンパス/ブランチであり、ここをMistやネットワーク機器をクラウドから一元管理できるサービス「Aruba Central」をはじめとした製品で自律運用を可能とし、差別化要因につなげる。
ルーティングではインターネットスケールでシリコンからプロトコルを提供できるベンダーは限られるが、HPEでは可能である点を強調。同社のルーティングは、AIデータセンターやクラウドを大規模かつ安定して結び付けるための中核技術であり、実績を持つ一部ベンダーしか担えない領域だ。製品としてはコアルータシリーズ「PTX」やマルチサービスエッジルータシリーズ「MX」、メトロルータシリーズ「ACX」などがある。
データセンターについては、その具体例としてAIデータセンター向けスイッチ「QFX 5250」は100GbE/400GbEクラスの高速インターフェースを備え、AIワークロードで発生する大量のデータ通信を滞留させずに処理できるという。SASE/セキュリティに関しては「HPE Aruba Networking Unified SASE」、ファイアウォールシリーズ「SRX」、SD-WANシリーズの提供で対応していく考えだ。
日本市場におけるHPE NetworkingのGo to Market戦略
次に、日本ヒューレット・パッカード 執行役員HPE Networking事業統括本部長の本田昌和氏がNetworking事業における国内のGo to Market戦略を説明した。同社では営業体制を「Service Provider」「Enterprise」「Public Sector」「Commercial」の大きく4つのセグメントに再編している。
Service Providerでは、メトロネットワークやAIデータセンター、AI RAN、Networking as a Serviceの提供に加え、本社製品部門連携、次世代技術に取り組む。本田氏は「ジュニパー時代から一番得意としていたミッションクリティカルなルータのビジネス、特にテレコムやサービスプロバイダーのお客さま向けに長年培ってきた大きなフットプリントがあるビジネスのため、継続していく」と話す。
Enterpriseはオフィスビル/大型施設開発やリノベーション、サイバーセキュリティ対策、ハイブリッドワーク、Industrial AI/IoTを狙うとともに、顧客エンゲージメントの深耕、ユーザーコミュニティの構築を進める。
Public Sectorに関してはガバメントクラウド/AI、サイバーセキュリティ対策、教育DX、Next GIGA、ローカルサービスプロバイダーをターゲットとし、大手SIやエリアパートナーとの協業を模索する。
Commercialについては、DX/IT人材不足への対応、クラウドネイティブネットワーク、エンジニアコミュニティの拡大、デジタルマーケティングを推進していく。
本田氏は「当社のビジネスは多くのパートナーに支えられている。パートナーのチャネルをジュニパー製品にも使いながら、ビジネスを伸ばしていく。どのセグメントもそうだが、パートナーとともに取り組む“Partner Centricアプローチ”で進める。また、ネットワークだけではなく、HPEの他部門とも連携していく」と強調していた。




