
国内線は苦境が続く
守りから攻めへ─。ANAホールディングス(芝田浩二社長)が新たな中期経営戦略を発表。柱は、国際線事業では拡大路線を敷き、国内線事業は機材の小型化で収益を生み出すというもの。コロナ禍で大型投資に踏み切る機会がなかった中、今後5年間で機材をはじめ、DXなどに過去最大規模の2.7兆円の投資を計画する。
同社の26年3月期第3四半期の連結決算は増収増益で、売上高は過去最高。好調な訪日需要とレジャー需要が業績を牽引しており、「26年も基本的にはこの基調が続く」(首脳)と見る。日本航空も25年度から33年度にかけて約1兆8700億円の機材投資を計画。どの路線にどんな機材を使うかという戦略で差が付くことになりそうだ。
一方で国内線事業では景色が一変する。コロナ禍を名目とした航空会社への支援が26年度に終了するからだ。単価の高いビジネス客が減った分、運賃を割り引いたレジャー客が増えても、円安で燃料費や整備費などの費用の高止まりが続くため、両社とも「国内線の収益性を高めなければ、27年度から赤字を垂れ流す」(航空会社幹部)ことになる。
そこでANAHDは28年度以降にエンブラエル製の小型機材を活用し、路線に応じた機材の小型化を進めて収益性を担保する方針。また、空港ハンドリング分野では両社の垣根を超え、協業を進めていく。
両社の差が付く要因となりそうなのが貨物事業だ。ANAHDは日本貨物航空の買収で事業規模が1.3倍に拡大する。経営破綻時に事業を縮小した日本航空とは差がつきそうだ。一方で非航空事業では後れをとる。
国内線の止血をしながら他の事業をどれだけ伸ばせるかが勝負の分かれ目になりそうだ。