Elasticsearchは2月13日、新機能「Agent Builder」「Workflows」を発表し、説明会を開催した。同社代表取締役社長の大谷健氏が説明に立った。

非構造化データ時代における「Search AI Platform」の狙い

冒頭、大谷氏は「2025年に175ZB(ゼタバイト)のデータが生成され、うちエンタープライズデータの90%が非構造化データが占めた。また、1日あたり400EB(エクサバイト)超のデータが作成されているが、7割近くが活用できていない。ただただデータを溜めているだけであり、当社はこうしたデータの活用支援に注力している」と述べた。

  • Elasticsearch 代表取締役社長の大谷健氏

    Elasticsearch 代表取締役社長の大谷健氏

従来から同社ではサイト内検索/社内検索などの「Elasticsearch」、ログ分析の「Elastic Observability」、SIEM(Security Information and Event Management)や脅威検知の「Elastic Security」を提供している。ただ、ここ数年における生成AIの普及により、RAG(検索拡張生成)やハルシネーション(幻覚)などの課題があり、3製品を提供する基盤として「Search AI Platform」を打ち出している。

  • 「Search AI Platform」の概要

    「Search AI Platform」の概要

同氏は「複数のデータソースから入ってきたデータを意味あるものとして処理・保存し、検索ができるようにする。そして、AIで分析可能とし、必要に応じて可視化する。Search AI Platformはエンドツーエンドのソリューションとして提供している」と話す。

また、大谷氏によると「エージェンティックAIは周囲の環境を認識して、観察した内容の推論を行い、一連のアクションを計画・実行まで移して初めて意味を持つ。このループを回していくが、そう簡単なことではない。エージェンティックAIの世界では何を思考しているのかという“場が読める”データの出力が重要になり、当社の出番だと考えている。そのため、コンテキスト(文脈)エンジニアリングに投資する組織が優位性を保つ」と説明した。

  • コンテキストエンジニアリングに投資する組織が優位性を保つという

    コンテキストエンジニアリングに投資する組織が優位性を保つという

エージェンティックAIを支えるコンテキストエンジニアリング

ただ、コンテキストエンジニアリングを実現するためには、コンテキストの不足と設計上の欠陥による脆さがあると、PoC(概念実証)で終わってしまう可能性が高いという。

例えば、必要な社内文書や過去のログ、業務ルールが欠けた状態でAIに判断させると、もっともらしいが誤った結論を導いてしまうケースが少なくない。そのため、同社ではコンテキストエンジニアリングの基盤を提供する。

大谷氏は「すべての問題をLLMで何とかしようと試みるが、これは誤解。当社では組織内に分散しているさまざまなデータをつなぎこめるコネクタを有しており、データを見つけやすい状態にできる」と強調する。

そのうえで、同氏は「MCP(Model Context Protocol)とA2A(Agent2Agent)を介して、モデルと連携する。これにより、自前で複雑なものを構築せずとも、Elasticでコンテキストエンジニアリングが実現できる」と力を込める。

  • Elasticではコンテキストエンジニアリングの基盤を提供する

    Elasticではコンテキストエンジニアリングの基盤を提供する

Agent BuilderとWorkflowsで実現するコンテキスト駆動型エージェント

Elasticsearchを基盤とするAgent Builderは、エンタープライズデータを拡張・検索・分析できるプラットフォーム上で、関連性にもとづくアクションの実行を可能にし、コンテキストエンジニアリングを実現するという。

Agent Builderのネイティブなデータ準備とインジェスト、検索とランキング、内蔵ツール、カスタムツール、ネイティブな会話体験、エージェントオブザーバビリティにより、エージェントワークフロー全体を簡素化するとのこと。開発者は、Agent Builderでデータと対話することや、コンテキスト駆動型のカスタムエージェントを数分で構築することを可能としている。

一方、WorkflowsはAgent Builderの機能を拡張する機能。多くのエージェント構築フレームワークでは、LLMで自動化のすべての段階を計画・管理しなければならないが、AIには企業に不可欠な能力であるルールベースアクションの信頼性が欠けているとのこと。

こうしたギャップを埋めるのがWorkflowsとなり、Agent Builderで構築したエージェントはWorkflowsを活用することで内部システムと外部システムを調整してアクションを実行するとともに、データとコンテキストの収集と変換を高い精度で実行することが可能。Agent BuilderとWorkflowsにより、開発者は正確に推論を行い、予測可能な形でアクションを実行するコンテキスト駆動型のエージェントを構築できるという。

提供については、Agent Builderは「Elastic Cloud Serverless」で一般提供を開始し、既存ユーザーの場合は「Elastic Cloud Hosted」のEnterprise Tier、セルフマネージド版のElastic Stackのリリースに含まれる。