IBMは2026年、米国でのエントリーレベル(新卒・初級職)の採用を3倍に拡大する方針だという。AIが初級職の需要を縮小させるという見方が広がる中、逆行して大規模採用に踏み切る格好だ。
将来的に中間管理職の人材不足を招くリスクを懸念
具体的な採用人数は非公開だが、特定部門に限らず全社で拡大するとのこと。IBMで最高人事責任者(CHRO)を務めるNickle LaMoreaux氏は2月10日に米ニューヨークでCharterが開催した「Leading With AI Summit」で「2~3年前のエントリーレベルの仕事は、その大半をAIがこなせる」と認めたうえで、職務内容を根本から見直したと説明した。
実際に、IBMではAIツールが定型的なコーディング作業を処理できるようになったため、ジュニア開発者は顧客対応に多くの時間を割くようになったという。人事部門でも、新人スタッフがすべての問い合わせに対応する代わりに、HRチャットボットが対応しきれないケースに介入し、出力の修正やマネージャーとの連携を担う形に変わっているという。
LaMoreaux氏は先のイベントで、初級職の採用を削減すれば短期的にはコスト削減につながるものの、将来的に中間管理職の人材不足を招くリスクがあると指摘。他社からの引き抜きはコストが高く、社内で育成した人材に比べて企業文化やシステムへの適応にも時間がかかると述べたという。
若手採用を強化する動きはIBMだけではない。Dropboxも、若手のAI活用能力を取り込むため、インターンおよび新卒プログラムを25%拡大するという。一方で、AIが新卒の就職機会を奪うとの懸念も根強い。Anthropic CEOのDario Amodei氏は昨年自身のブログで、2030年までにオフィスワークの初級職の半数が消滅する可能性があると警告している。Bloombergが2月12日付で報じた。