
キャリアの約29年は海外
「本年より新たな中長期経営計画をスタートし、生産性革新の断行と新たなる成長を実現するため、実行を担うパートナーとして小川副社長を任命した」
こう語るのは、キヤノン会長兼社長CEO(最高経営責任者)の御手洗冨士夫氏(90)。
キヤノンは3月27日付けで、副社長の小川一登氏(67)が社長COO(最高執行責任者)に昇格する人事を発表。御手洗氏は会長CEOとなる。
御手洗氏は1995年に社長へ就任。現在までの約30年間で同社の売上高を約2.2倍、時価総額は約4倍、売上の8割を海外が占めるグローバル企業へと成長させた。
次期社長の小川氏は1958年東京都生まれ。81年早稲田大学第一文学部を卒業後、キヤノン入社。それまで英語も話せず、海外に行ったことも無かったが、「世界を飛び歩くメーカーの営業になりたい」と考えての入社だった。
入社後は営業経験が長く、シンガポール、香港、カナダ、米国など、約45年間のキャリアのうち29年間を海外で過ごした。その後、2011年に執行役員、16年専務、24年から取締役副社長としてグローバル販売戦略推進本部長となっていた。
キヤノンは2026年度から新たな中長期経営計画『グローバル優良企業グループ構想 フェーズⅦ』がスタート。30年度に売上高5兆6000億円(25年度は4兆6247億円)、営業利益率15%以上(同9.8%)を目指す。
キヤノンはここ数年、一連のM&A(合併・買収)により、医療機器や監視カメラ(ネットワークカメラ)などの事業を育成してきた。今後、小川氏は注力する医療機器や半導体製造事業のさらなる強化に加え、新規事業に位置付ける宇宙関連事業の育成などが課題となる。
小川氏は「まさに身の引き締まる思い。当社が世界の各地域で親しまれ、一層飛躍できるよう全力で取り組む。粉骨砕身の覚悟で職責を果たす」と語る。
小川氏の趣味はマラソン。過去15回のフルマラソンを経験。サブ4(4時間切り)を達成したスポーツマンである。