≪ピンチがチャンス !≫アイリスオーヤマ会長・大山健太郎の「消費者目線の商品開発で、景気に関係なく成長を!」

清掃ロボットでは国内トップシェア

 今、日用品大手、アイリスオーヤマが『成長の一番のエンジン』と位置付けるのがロボット事業。

「清掃ロボットでは、当社が国内トップのシェアを持っています」と同社創業者で会長の大山健太郎氏は語る。

 同社がロボット事業に参入したのは2020年。翌年にはソフトバンクと合弁会社を設立し、ロボット事業をスタートさせた。ロボットを動かすためのソフトはソフトバンクが担当し、ハードづくりをアイリスオーヤマが担うというものだった。

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 国内に20工場、海外に18工場を構える同社は、当初、ロボットのハード生産は中国工場で行っていた。その後、第2世代のロボットは、ソフトもハードもアイリスオーヤマが手がけ、「今は完全内製化が図れるようになった」という。

 同社のロボット開発は現在、第3世代(清掃ロボット『Whiz i(ウィズアイ)』など)となり、主に日本国内での事業展開だが、2、3年後には中国、韓国、台湾などの海外市場にも積極的に展開していく考えだ。

 昨年(2025)10月末には、新型業務用清掃ロボット『JILBY(ジルビー)』を発表。今年(2026)半ばから本格販売していく。

 これまで、同社のロボットは清掃用を中心に、約6500社が採用。累計約2万台の導入実績をあげてきた。今、人手不足が産業界の共通課題となっているが、ロボット需要が多いのはどういった業種なのか。

「一番多いのはホテルです。レストランはまあ、清掃で言うとあまりない。一方で、配膳のニーズは根強くありますね。ただ、日本のレストランは通路が狭いんでね。欲しいと言う所はいっぱいあるんですが、焼肉屋さんのように、通路に余裕のある所は大丈夫なんです」

 店舗の事情、店舗経営の規模によって、ロボットの需要動向も変わってくる。焼肉店でも高級店にはウェイターが居て、丁寧な客対応をする。一方、零細店では、人手不足解消のために配膳や清掃にロボットを導入したいのだが、過当競争で倒産する店もあり、その見極めが難しいという。

 人口減、少子化・高齢化が進み人手不足は年々、深刻度を増している。そうした状況にあって、医療、介護の領域でもロボット需要が高まりつつある。大山氏も、医療・介護での需要について、「着実に増えています」と語る。

「ロボットを一回使い始めると、やめられない。これはどういうことかと言いますとね、人間のほうが要領がいいので、掃除はテキパキやると言うんですけど、これ嘘なんです。なぜかと言うと、人間は汚れている所を掃除するんですね。ロボットは決められた所をきちんとやるんですよ」

 大山氏はこう人とロボットの違いを説明しながら、「1時間の仕事をしたとして、比較すると、ロボットのほうが人の3倍位ゴミを取るんです」。結果的に、エアコン(空調機)の目詰まりも少なくなるなど、室内の環境浄化にロボット活用の効果は高いという。

 同社は先述の『JILBY』の販売目標を今後3年間で1万5000台とし、清掃ロボット関連で売上高1000億円を目指す計画だ。ちなみに、同社の連結売上高は約8640億円の見通し(2026年12月期)。

 ロボットを今後の成長エンジンにしたいとする同社は、東京大学発のスタートアップ『スマイルロボティクス』(現シンクロボ)をすでに子会社化している。

 また、NTT西日本とも提携。AIの情報基盤『AIロボティクスプラットフォーム』を活用して、AIが清掃の最適ルートや清掃頻度を提案する仕組みを導入するなど、他社との連携による開拓も積極的に進む。

ユーザーイン思想

 高市早苗・政権は〝強い経済〟づくりのために直ちに実行すべき重要施策として、17の戦略分野を挙げる。この中には、造船や量子、合成生物学・バイオ、航空・宇宙などと並んで、AIロボティクスが挙げられている。

 先述のように、同社が清掃ロボット分野でトップシェアを保ち先行しているのはなぜか?

 ユーザーイン思想でのモノづくり―─。同社は、消費者(顧客)の立場や目線に立っての製品開発で実績をあげてきた。

「われわれは、お客様の立場に立った製品開発に徹しています」と大山氏。

 ユーザーイン思想の徹底は、同社創業(1971年=昭和46年)以来の考え方であり、変化の激しい中、さらに言えば、〝失われた30年〟の間に同社が成長発展してきた要因でもある。

 内外に生産拠点や販売ネットワークを持つ同社だが、今、国内投資・国内回帰を重点的に推進している。

 同社は、有力ブランド『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングなどと並んで、日本がデフレに陥り、〝失われた30年〟と言われる低迷期に成長・発展してきた。この間に成長・発展できた理由とは何か?

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