サイボウズは2月9日、アプリケーション開発に関する調査を実施し、調査結果を踏まえたホワイトペーパー『市民開発のビジネス価値と成果獲得の秘訣 ~推進体制の適性化と「AI×ローコード/ノーコード」の活用~』を公開したことを発表した。

ホワイトペーパーはアイ・ティ・アールがサイボウズからの依頼に基づき、客観的な調査・分析を行った結果をまとめたものとのことだ。

アプリケーションの市民開発に取り組んでいる企業は38%

国内企業における「内製 / 内製化」と「市民開発」の実施状況を見ると、内製化に取り組んでいる企業は63%を占める一方で、市民開発に取り組んでいる企業は38%だった。この結果は、日本企業において「市民開発がイノベーター段階からアーリーアダプターへと広がり始めた段階」であることを示しているという。

また、「市民開発」という用語については、その意味を理解していない回答者が約3割を占めており、「市民開発」がIT部門視点の用語であるため、非IT部門においてアプリケーション開発を推進している担当者は、自身が「市民開発」を実施しているという認識が低いことを反映していると考えられる。

  • 国内企業における「内製 / 内製化」と「市民開発」の実施状況(資料:サイボウズ)

    国内企業における「内製 / 内製化」と「市民開発」の実施状況(資料:サイボウズ)

アプリケーション開発の内製志向は78%

国内企業のアプリケーション開発担当、またはマネジメントする担当者を対象に、アプリケーション開発の基本方針を確認したところ、外製指向(「外部委託優先」と「完全外製」)の企業は21%であった。

一方で内製指向(「完全内製」と「内製優先」)は78%であり、企業の内製化意欲が高い結果に。ここから、企業が外部委託に限界を感じ、内部での開発力を育成し始めていることがうかがえる。

  • アプリケーション開発の基本方針(資料:サイボウズ)

    アプリケーション開発の基本方針(資料:サイボウズ)

市民開発に利用しているツールで最も多いのは「ChatGPT」

従業員数100人以上で市民開発を実施している企業に対し、市民開発に利用しているフレームワーク / ツール / サービスのうち、自社にとって重要なもの(最大3つ)を質問すると、最多は「ChatGPT」だった。

次いで「Azure AI / Azure OpenAI」「kintone」「Google Gemini」「Power Apps」が上位となった。

「kintone」や「Power Apps」などのローコード / ノーコード・ツールだけでなく、ChatGPTやGeminiなど生成AIサービスも市民開発の現場で採用されていることが明らかになった。

  • 市民開発に利用しているフレームワーク / ツール / サービス(資料:サイボウズ)

    市民開発に利用しているフレームワーク / ツール / サービス(資料:サイボウズ)

市民開発の対象は「業務システム」「基幹システム」

市民開発が対象としている業務とシステムの重要領域(最大3つ)を質問したところ、現在においても将来においても、「業務システム(受注販売、生産管理、在庫管理、品質管理などの業務部門が利用するシステム)」および「基幹システム(経理、人事、給与などの本社管理部門が利用するシステム)」が最も多い結果に。市民開発の対象が周辺業務ではなく、企業の「コア業務領域」に及んでいる。

  • 市民開発が対象としている業務 / システムの重要領域(資料:サイボウズ)

    市民開発が対象としている業務 / システムの重要領域(資料:サイボウズ)

市民開発の成果は「効果がある」と半数以上が回答

市民開発のメリットとや成果について質問すると、いずれの項目も「効果がある」と回答した企業が約半数に上った。日本企業のIT投資は一般的に保守的で、ROI(投資対効果)が不明確な取り組みが定着しづらい環境とされる中、市民開発の成果が可視化され始めている。

特に、日本企業では「業務の細かい例外処理を吸収するための小規模アプリケーション」が膨大に存在するという特徴があるため、市民開発による改善効果は他国以上に大きくなる可能性があるという。

  • 市民開発の成果(資料:サイボウズ)

    市民開発の成果(資料:サイボウズ)

課題は「人材の不足」「部門の役割分担の不明確さ」

市民開発の課題としては、「牽引役を担う人材の不足」とする企業が最も多かった。次いで「IT専門部門と業務部門の役割分担、責任範囲、承認プロセスの不明確さ」であった。

  • 市民開発の課題(資料:サイボウズ)

    市民開発の課題(資料:サイボウズ)