なぜ、アイリスオーヤマがお米なのか? 大山健太郎会長を直撃!

食品事業の売上が大きく伸長

 ─ 関税政策やベネズエラ侵攻など、トランプ米政権の振る舞いに世界が混乱していますが、足元の景況感を大山さんはどのように感じていますか。

 大山 われわれは約40年前から米国をはじめ、欧州、中国、韓国に工場を建設してきたから分かるのですが、ロシアとウクライナの戦争で欧州での個人消費は一気にダウンしました。

 ですから、欧州はそんなに景気が良くないですし、米国もウォルマートのような食品スーパーは堅調ですが、それでも伸びが鈍化していて、いわゆる一般消費財は伸びがあまり良くない。これはやはり、ウクライナ戦争によって物価高の影響が世界中に広がっているということだと思います。

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 それと何より、トランプ関税に世界中が振り回されて、特に中国は右往左往して輸出ができなくなっている。供給過剰なのに輸出ができないから、実は中国にとっての出口は日本しかないんですよ。アジアもマーケットはまだまだ小さいですしね。だから、中国も今の日本との関係を早く改善していかないといけないと思っているのではないでしょうか。

 ─ アイリスオーヤマの海外工場は何工場あるのですか。

 大山 海外は全部で18カ所あって、中国10カ所、米国4カ所です。国内は20カ所です(2027年には舞鶴工場と岡山瀬戸内工場を、28年に御殿場物流センターを竣工予定)。

 ─ そうなると、中国の占める割合もかなり高いですね。

 大山 ええ。グループで約1万4千人の社員のうち、中国の大連工場だけでも約4千人が働いています。だから、かなりのウェイトを占めているし、アイリスグループの中核を担う工場です。

 ─ そうなると、基本的には世界を相手に事業を展開していくと。

 大山 それはそうなんですが、ここ5年くらいで当社は製造の国内回帰を進めています。その最たるものが2013年から参入した精米事業です。東日本大震災の後、東北復興を目的にはじめた事業ですが、パックごはんと飲料水の商品展開も行い、食品事業の売上が大きく伸長しています。

 ─ 改めて、なぜ、アイリスオーヤマは精米事業への参入を決めたのですか。

 大山 震災復興について、学者の先生やコンサルタントの人たちが様々な意見をおっしゃっていますが、行動が伴わなければ意味がない。だから、わたしは現実問題として復興に貢献し、東北の強みを発揮するには農業しかないと考えたわけです。

 被災地で最も深刻な影響を受けたのは沿岸部です。ところが、魚というのは回遊魚ですからね。東北でしか捕れない魚もあるかもしれないけど、同じ魚が関東でも東海でも捕れるわけです。

 そう考えた時に、わたしは東北の強みを一番発揮できるのはお米だと思いました。これはどういうことかと言うと、雪解け水のミネラル分を多く含んだ水があって、寒暖の差があるから、当然、美味しいお米ができるんです。

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