ソフトバンクは、2026年3月期第3四半期の連結決算を2月9日に発表。売上高は前年同期比8%増の5兆1,953億9900万円で、過去最高を達成した。

  • ソフトバンクの宮川潤一社長兼CEO

    ソフトバンクの宮川潤一社長兼CEO

全セグメント(事業領域)で増収を達成しており、営業利益は同7.6%増の8,841億4,400万円、税引前利益は同10.2%増の8,198万6,400万円。純利益(親会社所有者帰属分)は同11.2%増の4,855億2,300万円で、全体でも増収増益となった。

増収増益と順調な進捗を受け、ソフトバンクは2025年度の通期予想を上方修正。売上高を従来の2,500億円増の6兆9,500億円、営業利益を200億円増の1兆200億円、純利益を30億円増の5,430億円へ、それぞれ引き上げている。

エンタープライズ事業の売上高は、前年同期比596億円(8.8%)増の7,332億円。このうち、モバイルは同205億円(8.7%)増の2,564億円、固定は同15億円(1.2%)減の1,255億円。ソリューション等は二ケタ増収で、同406億円(13.1%)増の3,513億円となった。

エンタープライズ事業の営業費用は同419億円(7.9%)増の5,751億円で、営業利益は同177億円(12.6%)増の1,581億円。通期業績予想に対する進捗率は84%で、目標達成できる見込みとしている。

増減の主要要因については、モバイル売上の増加は契約数の増加に伴い通信売上が増加したことと、端末売上が増加したことによるもの、固定売上の減少は電話サービスの契約数が減少したことによるもの、そしてソリューション等売上の増加は、企業のデジタル化需要をとらえ、クラウドやセキュリティソリューションなどの売上が増加したことによるものと説明している。

宮川潤一社長兼CEOは、今回の決算会見の中で、次世代社会インフラの構築に向けた取り組みとして、ソフトバンクのクラウド戦略を紹介。GPUの計算基盤をクラウドサービスとして提供するのに必要なソフトウェア「Infrinia Al Cloud OS」(インフリニア AI クラウド OS)を開発したことを説明し、「ソブリンクラウドの基盤がようやくできた。海外事業者と戦えるソブリンクラウドの提供をめざす。これは、これから(ソフトバンクが)クラウドサービスをやる会社になる、という宣言だ」と強調した。

ソフトバンクでは“AIとの共存社会”を見据え、分散型のAIデータセンターを構築中だ。今回はBrainデータセンターの進捗について、宮川社長が報告した。

従来はGPUを使ったAIの学習環境の構築が行われてきたが、そのためにまずは事前にハードウェアとソフトウェアの複雑な初期設定を、専門知識を持ったスキルの高いエンジニアが行う必要があった。GPUの貸し出し方法の用語では“ベアメタル貸し”とも言われるが、これは稼働までに数週間程度、規模によっては数カ月かかるということもあったという。

その解決に向け、ソフトバンクが開発したのがInfrinia Al Cloud OS。必要な計算基盤をクラウドサービスとして利用できるため、「企業のエンジニアから見ると、これまでのクラウド利用と同じような感覚で使える」とアピールする。

宮川社長は「これまでのGPUは主に生成AIの学習向けに使われてきたが、今後はAIエージェントやフィジカルAIなどが日常に浸透して、ますます推論の需要が増えてくる。ソフトバンクは、主に学習向けに大規模GPUを設置したBrainデータセンターの構築を進めているが、Infrinia Al Cloud OSが完成したことで、学習に加えて推論の需要にも対応していく。今後はリージョナルブレーン、それからAI RANまで含めた、全レイヤーの計算基盤を共通のソフトウェアにしていく」と述べている。