
EVやソフト開発が次の焦点
「『いいクルマをつくって、しっかり届けていこう』。その一心で行動を積み重ねてきたと思う」
2026年頭、トヨタ自動車社長の佐藤恒治氏は一昨年の認証不正問題から改善を図り、品質改善と台数増加を実現できたことを踏まえてこう語った。
トヨタ自動車グループ(ダイハツ、日野自動車を含む)の世界販売台数は25年1―11月の累計で約1032万台で、前年同期比4.8%の増加だった。一方、独フォルクスワーゲン(VW)は1―12月の通年で約898万台(前年比0.5%減)となり、12月の数字を待たずに6年連続でトヨタが首位となった。
25年は世界中の自動車メーカーがトランプ関税に翻弄された。日本の自動車関税も最終的に従来の2.5%から15%に引き上げられた。そんな中でもトヨタの地域別輸出台数の3割を占める米国向け(1―11月)は56万台で、53万台という前年通年の台数を上回っている。
「ハイブリッド車(HV)の供給が間に合っていない」とトヨタ幹部は語る。トランプ関税と共に、もう1つ吹き荒れた潮流が「脱EV(電気自動車)」。米国や欧州を中心にEV退潮が鮮明になった一方で、トヨタが得意とするHVは好調を持続した。
トヨタと同様にHVなどで726万台を販売した3位の現代自動車・起亜(韓国)の足音が近づく中、昨年の秋口になって、それまでEVで主導権を握ろうとしていたVWも本格的なHVの開発を初めて表明。しかし、トヨタも次世代電池の本命とも言われる全固体電池の実用化を27~28年に実現させる考えだ。
また、両社の間で明暗が分かれたもう1つの要因が中国だ。VWは世界販売台数の約3割を中国に依存。だが、中国では現地のEVメーカーとの競争に苦戦した。一方のトヨタは中国で4年ぶりにプラスに転じている。
ただ、26年も順風満帆ではない。関税による利益減が見込まれる上に、長期的にはEVが電動車の本流となるため、巨額投資は避けられない。加えて知能化や自動運転といったソフトウェアの投資も大きい。競争・差別化の軸が変わる変革期におけるトヨタの「いいクルマ」の在り方が問われることになる。