Microsoftは2月3日(米国時間)、「Building Toward a Sustainable Content Economy for the Agentic Web|Microsoft Advertising」において、パブリッシャーとAI事業者間のライセンス契約を解決するソリューション「パブリッシャー・コンテンツ・マーケットプレイス(PCM: Publisher Content Marketplace)」の導入開始を発表した。

これは、2025年9月に開催された招待制パブリッシャーサミットにて試験運用を行うことが発表されていた取り組みの正式発表となる。

  • Building Toward a Sustainable Content Economy for the Agentic Web|Microsoft Advertising

    Building Toward a Sustainable Content Economy for the Agentic Web|Microsoft Advertising

AIが求める情報の質と透明性のあるフレームワーク

近年、AI事業者が提供するサービスは社会の多様な場面で判断のサポートに活用されており、その回答の精度向上はサービスの重要な差別化要因となっている。医療や金融政策の判断など、誤りが許されない領域では、信頼性の高い情報源を参照できるかどうかが性能を左右する。

Microsoftは自社のCopilotで検証を進め、質の高い情報を参照した場合に回答品質が向上する傾向を確認したと報告している。

このようにAI事業者はサービスの向上に高品質のコンテンツを求めているが、一方で情報提供形態の変容がパブリッシャーに新たな課題を生み出している。AIは会話形式による情報提供を可能にしており、従来型のWebコンテンツ配信とは一線を画する。検索サービスおよび広告配信の仕組みは機能しなくなり、パブリッシャーの収益構造に影響。無償コンテンツの配信ビジネスを困難にしている。

パブリッシャーは方針変更を余儀なくされ、有料コンテンツへの移行が加速。高品質のコンテンツが有料化または専用のアーカイブに保管され、個別のライセンス契約を必要とする状況に至った。この契約にはコンテンツの価値評価と利用頻度の把握など、透明性の高いフレームワークを構築することが欠かせない。

結果、各事業者間で個別の契約およびフレームワークを構築しなければならないという新たな課題が生まれた。この課題に対処するため、Microsoftは「パブリッシャー・コンテンツ・マーケットプレイス(PCM)」を設計した。パブリッシャーに新たな収益源を提供し、AIシステムに高品質なコンテンツへのアクセスを提供し、消費者への対応を改善する新しい取り組みを開始する。

PCMではパブリッシャー自らがライセンスと利用条件を設定する。AI事業者は用途に応じて必要な情報を選び、契約を結ぶことで参照可能となる。利用状況をレポートとしてパブリッシャーに報告し、どの情報がどのような価値を生んだかを把握できる仕組みも提供する。これにより、パブリッシャーは事業戦略に必要となる判断材料を得られる。

試験運用からパイロット段階へ移行

Microsoftは米国の主要メディアと共同でPCMの設計を進めてきたという。試験運用の参加メンバーにはAssociated Press(AP通信)、Business Insider、Condé Nast、Hearst Magazines、People、USA TODAY、Vox Mediaなどが含まれ、各企業の意見はライセンスや価格設定、ガバナンス、分析機能などの検討に活用された。

現在は試験運用を終え、パイロット段階に移行。Yahooを含む需要側パートナーの受け入れを開始している。今後はパートナーを拡大し、市場の供給側および需要側のライセンス契約に寄与する方針だ。

PCMの参加は任意。パブリッシャーの規模の大小を問わず世界中から参加できるよう設計されており、コンテンツの所有権および編集上の独立性は維持される。Microsoftは「高品質のコンテンツを尊重するAIサービスを提供し、コンテンツ制作者の持続可能性を保証する」との考えを示し、この理念に賛同する企業の参加を呼びかけている。