昨年の年次カンファレンス「INSIGHT 2025」においてストレージベンダーから、あらゆるデータ形式に対応する統合型のデータプラットフォーム「NetApp Data Platform」の構築を目指すと宣言した、NetApp CEOのGeorge Kurian(ジョージ・クリアン)氏。今回、日本法人であるネットアップのイベント「INSIGHT Xtra Tokyo」で来日し、メディア向けのラウンドテーブルを1月29日に開催した。
NetAppの事業変革とクラウド連携強化
冒頭、クリアン氏は「過去数年にわたり、NetAppは自社のビジネスを継続的に変革し、データストレージおよびデータマネジメント市場における将来性の高い分野への注力を強化してきた」と話す。
同氏によると、オールフラッシュストレージに注力するなど、高成長分野へプロダクトのポートフォリオをシフトさせているほか、AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azure、Google Cloudなど主要クラウドプロバイダーとともに、クラウドのソリューションも構築してきたという。
そのため、クリアン氏は「クラウドパートナーとの協業によって、多くのイノベーションを生み出し続けており、お客さまは自社データを使ってクラウドベースのAIソリューションを利用できるようになる」と強調した。
また、データが存在する場所で、高度なサイバー保護とサイバーレジリエンス技術の統合や、顧客が最先端のアプリケーション、例えばAIなどで自社データを容易に活用できるようにするために取り組んできたとも語る。こうした取り組みの結果、業績も好調に推移しているとのこと。
同氏は「高度なサイバー保護としてAutonomous Ransomware Protection(自律型ランサムウェア防御)などを有しているほか、ストレージを保護するための耐量子暗号(量子耐性暗号)を備え、業界を代表する認証団体から『The best data protection product of the year(年間最優秀データ保護製品)』として選出されている」と力を込めた。
昨年6月に日本法人の新社長に就任した斎藤千春氏は「就任から7カ月半が経過し、オールフラッシュのマーケットシェアにおいて四半期ではNo.1のポジションにいる。AIの成長に加え、お客さまから当社の優位性を認めてもらってロ位、市場のシェアもますます高まっている」と国内においてビジネスが堅調に推移している点をアピールした。
AI案件の急拡大と「NetApp AFX」「AI Data Engine」
一方、昨今ではAIを採用する企業が多くなっていることから、同社の決算発表によればAI関連の案件獲得数は四半期あたり200件に到達し、1年半前の四半期の50件から大幅に増加しているという。
クリアン氏は「このような中でNetAppにおける成功要因は、お客さまのために長期的なイノベーションを継続してきたことが挙げられ、信頼のおけるセキュアなデータプラットフォームを利用できる点にある」と語る。
そのうえで、同氏は「データがどこに存在しようとも、グローバルすべてのロケーションの中で統一することを可能とし、高度なアプリケーションを駆使しつつ、同時にデータの活用ができるようになっている」と胸を張る。
こうした状況を加速していくために、昨年のINSIGHTにおいて同社では「NetApp AFX」と「AI Data Engine」を発表している。
NetApp AFXは、ストレージコントローラに「AFX 1K」、ストレージエンクロージャは「NX 224」、データコンピュートノードに「DX50」と新たにハードウェア3機種を開発し、3つのコンポーネントを組み合わせてAI向けワークロードをサポートする製品だ。
そして、AI Data Engineはデータの取り込みや前処理から、生成AIアプリケーションへの提供までを支援し、データ資産全体を可視化。高速な検索やキュレーションを可能にしており、オンプレミスとパブリッククラウドを横断してモデルやツールにデータをシームレスに接続するというもの。
クラウド統合と競合への姿勢
現状ではAFXを構成するコンポーネントの1つであるコンピュートノードのDX50への搭載のみだが、将来的にはすべてのONTAPシステムへの搭載、そしてソフトウェアアプライアンスとしての提供も想定し、顧客の自社サーバで展開を可能にしていく方針を示している。
AI Data Engineに関して、クラウドでの提供の可能性を聞いたところクリアン氏は「ファイル配信を高速化するリモートキャッシュ機能である『FlexCache』を使えば、AWSやMicrosoft Azure、Google Cloudと統合しており、複数のクラウド環境でも使える。まずは、すべてのONTAPを対象に搭載し、オブジェクトストレージのソリューションも統合されていく」と説明した。
ただ、AI DAta Engineをクラウドサービスで提供した場合、他のデータプラットフォームベンダーとの競合も考えられる。
その点について同氏は「お客さまが求めることは、複数のテクノロジーを統合できるソリューションだ。例えばクラウドが登場した際もベンダーと競合するのではなく、クラウドプラットフォームがお客さまにとってより良く機能するためには、そこに組み込める機能を当社は開発した。つまり、お客さまの課題に向けて、ともにソリューションを提供するというスタンスであり、同じことをデータプラットフォームでも考えている。データプラットフォームは幅広く、多くの分野が含まれることから、各社とともに連携しながら、お客さまの課題を払拭していく。そのため、他のマーケットのプレイヤーと組んで製品を提供していくことを想定している」と展望を述べていた。
NetAppはデータプラットフォームの統合とAI活用を軸に、クラウド連携やセキュリティ強化を加速させている。AFXやAI Data Engineを中心とした製品は、データ管理の複雑化が進む企業にとって価値をもたらすものだ。クラウド事業者や他ベンダーとの協業を前提に進化を続ける同社が、データ活用の未来をどのように切り開くのか、今後の展開が注目される。

