セキュリティサービスを展開するグローバール企業ゼットスケーラーは1月28日、AIの普及により発生する新しいタイプのセキュリティリスクに対応する新製品「Zscaler AI Security Suite」を発表した。製品管理担当バイスプレジデントによる最新のAIサイバーセキュリティの動向と製品の説明、サイバーレジリエンスに関するグローバル調査結果や日本における事業概況についての記者発表も行われている。
AI時代の新しいセキュリティとは
記者説明会では、ゼットスケーラー 製品管理担当バイスプレジデント ヴェンカット・クリシュナムーティ氏から、新製品「Zscaler AI Security Suite」についての説明と日本法人の代表取締役 金田 博之氏によるサイバーレジリエンスに関する世界と日本の調査結果の発表が行われた。
新商品リリースの背景として、slack、ZoomなどほとんどのSaaSサービスにAIが組み込まれる状況に加え、ほぼ数年で自社開発のアプリやインフラでもAIが活用されるようになった現状が説明された。これについては同時に攻撃者に新しいベクトルを与えるものでもあり、AIエージェントの登場により更にそのリスクが増しているという。日本でのAI環境についても自社での調査から、国内のAI/MLトランザクションが前年比で122%、トランザクション量が世界5位になるなど、日本はAIのグローバルリーダー的存在にあるとクリシュナムーティ氏は明言し、日本でのAIセキュリティの重要性を指摘する。
セキュリティもAIエージェントの登場により大きく変化しつつあると懸念を示し、大きな変化として「AIスプロール」「AIポスチャー」「AI監査」「AIエージェント」を挙げる。
「AIスプロール」は、AIにより攻撃対象領域とデータ露出が拡大することでセキュリティ危機も拡大すること。「AIポスチャー」は、クラウドやSaaS環境には欠かせない従来型のセキュリティポスチャーツールを回避する新しいツールの登場。「AI監査」は、AIが利用する複雑なプロトコルは今までの状態では検出不能でインシデントベースでなければ検出不能であること。「AIエージェント」は自律型エージェントに対応する定義済みフレームワークの不在。と従来のセキュリティの枠組みが通用しないことを端的に示す。AI時代には、これらに対応する新しいAIセキュリティ プラットフォームが必要となると同氏は語る。
ゼロトラスト基盤の上に構築するAIセキュリティプラットフォームとは
そんな現状において、同社が提案するAIセキュリティプラットフォームの中核をなすのが「Zero Trust Exchange」だ。あらゆる場所での攻撃の検出とデータ保護を実現する「データセキュリティ」、エクスポージャーと脅威への対応を自動化する「エージェント型SecOps」、AIアプリとインフラストラクチャーを保護する「AIセキュリティ」。これらを包括的に統合し運用する基盤が同社の提案するプラットフォームだ。
AIシステムすべての状態とリスクを把握する「AIアセット管理」、AIの安全かつ責任ある運用を確保する「AIへの安全なアクセス」、開発や展開からランタイムまでAIライフサイクル全体をカバーする「AIアプリ&インフラの保護」を包括的に管理することで企業のAIガバナンスとコンプライアンスを守ることができると同氏は強調した。
「AIアセット管理」で重要なのは、AI運用にはどのような危険があるかを明確化・可視化することにある。重要なポイントとして「シャドーAI検出」「組み込み型AI検出」「プロンプト検出」を挙げている。
AIインフラの把握について同氏は、「AIスタックの構成」「データとパイプラインのリスク」「セキュリティ リスクの修復」の3点の重要性を指摘する。
「AIスタックの構成」では、企業が導入したAIモデルが適切なものかを把握すること、モデル自体のセキュリティホールへの注意、「データとパプラインのリスク」では、学習に使うデータそのもの安全性や、エージェントのワークフローが適切かの把握。「セキュリティ リスクの修復」では、誤った設定などを発見し適切に修正する。
安全にAIへアクセスするための仕組み
AIに如何に安全にアクセスするかについては、不適切なAIへのアクセスをブロック、許可、分離等で制御すること、利用法についてはビジネスポリシーを設定しユーザーに適切な生成AI利用を指導していくこと、監視の結果を適切に反映してより安全なポリシーを更新していくことが重要だとクリシュナムーティ氏は述べる。これに関しては「Zero Trust Exchange」の「BLOCK」「ALLOW」「ISOLATE(隔離)」システムが効果的だという。
「Zero Trust Exchange」は、顧客のトラクションすべてに高性能なインライン(全数)検査を実行することで機密データの流出やインテントベースのポリシーに基づいたコンテンツ モデレーションと脅威の緩和を実現していると説明している。「コンテンツモデレーション」は、悪意のある投稿や競合情報、ブランド・評判の毀損などの情報への対応で、近年企業ブランド維持のため重要度が増している。
「AIアプリ&インフラの保護」についての重要ポイントは、継続的なレッドチーミングによるAI脆弱性の解消にあると同氏は語る。つまり利用するAIモデルの安全性の確認だ。レッドチーミングは、利用するAIモデルで、敵対的テストを設定し、攻撃シミュレーション実行、これを繰り返すことでその安全性を実証していくプロセス。結果の整理にはAIを活用し要約していくことでシステムをより堅牢化していくことができるという。
実装後の運営局面での「AIアプリ&インフラの保護」については、運用しながらセキュリティを確保する「Zscaler Runtime Protection」による「AIガードレール」で対処を行う。
これは、AIチャットボットの不正利用によるジェイルブレイクやデータ汚染などの攻撃から社内システムを保護する機能で、アクセス制御やデータ保護措置、コンテンツのモデレーション、脅威対策により、安全なプロンプト利用を実現する。
AIアプリおよびモデルを対象としたガバナンスとコンプライアンス
AIアプリおよびモデルを対象としたガバナンスとコンプライアンスついてはどうだろうか。
これについては以下のサイクルを継続的に回していくことで実現できるとクリシュナムーティ氏は語る。
- AI、サービス、データの検出と分類を行う「特定」
- リスクの高いエクスポージャーを継続的にマッピングしていく「測定」
- ガード レールの適用とデータ保護を実行する「管理」
- 定義済みフレームワークに基づく監視と最適化を実施する「ガバナンス」
同社のサービスは、AIに関する「EU AI法」「ISO42001」「OWASP 3」「NIST AI RMF」などの規制についてもその変化にいち早く準拠し、このサイクルに組み込んでいるという。
クリシュナムーティ氏は、他社製品に対する強みついて「世界最大のセキュリティクラウド」「データファブリック」「革新的なAI/MLサービス群」の3つをアピール。
セキュリティクラウドについては世界最大規模を誇り、毎日5,000億件にも及ぶ膨大なトランザクション処理、データファブリックについては毎日500兆件のシグナル処理、これらのデータ基盤に支えられ、革新的なAI/MLサービス群の提供が可能になっていると語った。
そして、最後にAI開発について、学習にデータに顧客データを使用していないことを強調した。












