伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は1月27日、デジタル証明書技術「Verifiable Credentials」をコンポーネント化した「VC Knots」を開発し、オープンソースソフトウェア(OSS)として2025年12月に公開したと発表した。
近年、インターネット上ではなりすましやデータの偽造といった被害が増加しており、Verifiable Credentialsの活用がデータ信頼性の向上に有効とされている。欧米ではすでに実用化が進み、日本国内でも一部の大学や企業でデジタル学生証や社員証として利用が広がっている一方、Verifiable Credentialsは仕様が複雑で導入や実装の難易度が高い技術と指摘されている。
CTCは2024年から慶應義塾大学SFC研究所とともに、データ流通の信頼性向上を目的とした共同研究プロジェクト「Trust Knots」を進めてきた。今回、同プロジェクトで得られた知見を活かし、慶應義塾大学の学生とともにVC Knotsを開発したという。
VC Knotsは、Verifiable Credentialsの発行者(Issuer)、保管用アプリ(Wallet)、検証者(Verifier)といったそれぞれの立場の主要機能を、開発者が利用しやすい形で提供する。これにより、企業や組織ごとに同様の仕組みを個別に開発する必要がなくなり、開発コストの低減や導入までの期間短縮につながるという。また、欧州や日本で関心が高まっている複数の国際標準規格に対応しており、国際基準に準拠した仕組みを容易に構築できる点も特徴だ。
OSSとして公開しているため、本番環境の構築前に行う実証実験やPoC(Proof of Concept、概念実証)にも活用しやすく、Verifiable Credentialsを活用した仕組みの検討を効率的に進められるという。
CTCは今後、海外を含む開発コミュニティや標準化団体と連携し、VC Knotsを活用したシステムインテグレーションやソリューション開発を進めるとともに、開発者からの意見や改善提案を取り入れながら、信頼性の高いデータ流通の社会実装を支援していく考えだとしている。
編集部メモ
Verifiable Credentials(VC/VCs)は、「検証可能な資格情報」などと訳される、デジタル化されたアイデンティティに関する属性情報が信頼できる機関によって検証されていることを証明するデジタル証明書のこと。対象となる属性情報は、年齢や名前・住所といったものから、学歴を示す学位記やキャリアを示す受賞歴・職歴、運転免許証のような資格情報などを含む。Verifiable Credentialsの普及のためには、グローバルな相互運用性の確保、利用者にとって使いやすいインタフェース/ユーザーエクスペリエンスが必要となるため、VC Knotsがコンポーネント化されたOSSとして提供されることで開発・検討が進むことが期待される。
