「GMO-6」廣惠次郎・元陸将が語る「日本のサイバーセキュリティ」

国家全体のサイバー強化には民間企業との連携が必要!

 「インターネットの世界はすでに戦場になっている。ここをしっかりやらないと、他の領域でいくら頑張っても日本を守ることはできない。サイバー領域の強化は国家として非常に重要なことであり、官民連携によって日本のサイバーを強くすることがとても重要になっている」

 こう語るのは、GMOインターネットグループ グループサイバー防衛事業推進本部「6」 (略称:「GMO-6」)本部長の廣惠次郎氏。

「被害の最小化を目指しつつ、事業継続計画の策定を」 大企業のサイバー被害が相次ぐ中、企業に求められる対応策

 陸上自衛隊の元陸将で、通信・サイバー分野の責任者だった廣惠氏が、2025年11月から、GMOに参画した。

 陸将とは、陸上自衛隊の階級で最上位のポジション。また、「GMO-6」の「6」という数字は、統合幕僚監部の機能別組織コードで情報通信システムやサイバー防衛などを表す「J6」にちなんだもので、廣惠氏の就任に伴って設立された新しい部署である。

 グループ代表の熊谷正寿氏は、「国家の安全保障の最前線で長年にわたり日本を守ってこられた廣惠氏が持つ、国家レベルのサイバー防衛の知見と戦略的視点は、わたしたちのセキュリティ事業をさらに強化し、前進させるものと確信している」と期待を寄せる。

 同氏が国家レベルの安全保障分野で培った知見を社会全体のサイバーセキュリティ向上に活かそうという発想はわかるのだが、なぜ、今、廣惠氏はGMOを選んだのか?そして、新設された部署は何をする組織なのか?

 廣惠氏は1966年奈良県生まれ。防衛大学校を卒業後、指揮通信システム部長や陸上自衛隊通信学校長、教育訓練研究本部長など、通信・サイバー領域の中枢ポストを歴任。自衛隊全体の情報通信ネットワーク強靭化に尽力してきた人物である。

 同氏は2020年2月に、ウクライナを視察。戦地であるドンバス地方にも「扉もシートベルトも無いヘリに乗って、命がけで行ってきた」(同氏)。現地では今も、戦地や軍参謀本部を訪れた最初の日本人として知られている。

 日本人の中には、2022年2月からロシアとウクライナの戦争が始まったと思っている人も多いが、現実には2014年から始まっている。まさに緊張感ある戦禍のウクライナを訪れ、同国の高いサイバー防衛能力を視察してきた。廣惠氏はこうした経験や独自のネットワークを活かして「国家を強くしたい」という。

「民間では学生時代からずっとサイバーに関わっている人が何人もいるが、自衛官は組織上、異動もあるし、サイバーの専門家、しかも、トップレベルの専門家を育てるのは現実になかなか難しい。その意味でも、民間企業との連携が必要」(廣惠氏)

 それが防衛分野と民間技術開発の架け橋として、GMOが廣惠氏を招へいした理由であり、「GMO-6」本部設立の目的である。

 去る12月27日、GMOインターネットグループが1995年に、インターネット事業を開始して30周年を迎えた。そんな同社が近年、強化しているのがセキュリティ対策だ。

 昨年はアサヒグループホールディングスやアスクルなど、大企業のサイバー被害が相次いだ。アサヒの某幹部が「ここまで来ると一企業では対応できない面もある。国を巻き込んでのセキュリティ対策が必要」と訴えるほどで、今こそ官民連携によるセキュリティ対策の構築が求められているのではないか。

「まさに今は、国と企業が連携して対策を考える体制づくりが必要だ。民間企業は被害が出た際に国にしっかりと報告し、国もまた民間企業へフィードバックして、情報を共有していく。

 これを〝スレット(脅威)インテリジェンス〟と言うが、単なるガイドラインづくりに留まらず、きちんと各界、各層で遂行できるような仕組みをつくっていくことが必要。そこにわれわれも協力するし、国家のためにGMOインターネットグループのソリューションやサービスを使ってほしい」(廣惠氏)

 サイバー空間の脅威は日々高まるばかり。官民一体となったサイバー対策強化に向け、今、GMOと廣惠氏の〝つなぐ役割〟が期待される所以である。

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