
「『正しい』を最優先に実践できる企業として再生を」
「早く再生し、生まれ変わることが私の一番の願いであり、そのことが社会的公器である企業として重要なことであると考えている。ニデックの再生が最重要課題の今、私はニデックの経営から身を引くことにした」
イタリア子会社で貿易取引上の問題が明らかになるなど、不適切会計問題に揺れるニデック(旧日本電産)。昨年10月には東京証券取引所から、内部管理体制等について改善の必要性が高いとして、特別注意銘柄に指定された。こうした事態を受け、創業者で、代表取締役グローバルグループ代表の永守重信氏が辞任することとなった。
永守重信・ニデック創業者
永守氏が同社を創業したのは1973年。たった4人で、小さなプレハブ小屋からスタート。当時、電機業界をけん引していた日本電気(NEC)と松下電器産業(現パナソニック)を追い抜こうという気概で、社名を日本電産にしたという。
それから50年余、永守氏は強烈なリーダーシップの下、組織を細部まで管理、指示し、生産性を引き上げる手法で同社を牽引。一代で売上高2兆6000億円を超える世界一の総合モーターメーカーを築き上げた。
ここ10年近くは後継者の選定に難航し、永守氏の代名詞だった〝モーレツ〟な働き方や〝歯に衣着せぬ〟物言いは度々物議をかもした。モーレツな働き方を自ら実践し、会社を成長させた永守氏自身の努力は決して批判されるべきものではないが、令和の時代にはそぐわなくなっていたのかもしれない。
「今後のニデックの経営は、岸田社長にすべて委ねる。これで、ニデックは、しっかり再生できると信じている」(永守氏)
永守氏は非常勤の名誉会長となり、今後は永年にわたり培ってきた創業精神の伝承などに携わる予定。同社の取締役会議長は、現社長の岸田光哉氏が受け継ぐ。岸田氏は11月の記者会見で「高い倫理観で『正しい』を最優先に実践できる企業として再生する」と訴えた。
同社は1月下旬に改善計画を策定、提出する予定。カリスマ経営者が去った後のニデックがいかに再生し、新たな成長を図ることができるか。岸田氏の真価も問われる。
