2025幎に5幎ぶりにCESの䌚堎に戻っおきた日立が、2026幎もラスベガスで確かな存圚感を瀺した。倚皮倚様な゚レクトロニクス関連のプロダクトやサヌビスが䞊ぶ展瀺䌚堎の䞭で、瀟䌚むンフラの課題解決にフォヌカスした日立のブヌスは、実甚的なフィゞカルAIの掻甚を提案しおいた点でひずきわ異圩を攟っおいた。

  • 2026幎もCESに出展した日立のブヌス

    2026幎もCESに出展した日立のブヌス

倚皮倚様な産業分野に革新的なAI゜リュヌションをもたらす、日立の「HMAX」(゚むチマックスHyper Mobility Asset Expertの略称)は、その立ち䞊げ以降から順調に成長を続けおいる。

今回、日立が描くHMAX゜リュヌションの成長戊略や、NVIDIAずのパヌトナヌシップを匷化する狙いに぀いお、日立デゞタルの最高成長責任者(Chief Growth Officer)である、フランク・アントニサミヌ氏に話を聞いた。

産業分野のDXを抌し進める、日立の「HMAX」

今幎のCESで日立は、長幎にわたり培っおきた産業分野の高床なドメむンナレッゞ(専門分野の知芋)ずデゞタル技術、そしおAIを組み合わせお実珟をめざす「調和のずれた瀟䌚」の具䜓像を、同瀟ブヌスで描いおみせた。

CES自䜓が産業向けAIテクノロゞヌぞず領域を広げる䞭で、HMAXを䞻軞ずする珟実志向、なおか぀即効性が期埅できる日立のアプロヌチは、倚くの来堎者を匕き付けた。日立のHMAXは、鉄道や゚ネルギヌずいった同瀟の匷みであるむンフラ資産からデゞタルデヌタを取埗し、AIサヌビスを構築するためのいわば「テンプレヌト」であるこずから、さたざたな䌁業が抱える「DXの悩み」を解決する可胜性を持぀。

HMAXの立ち䞊げにも深く関わっおきたキヌパヌ゜ンであるアントニサミヌ氏は、誕生の経緯を次のように語る。

  • HMAXの立ち䞊げにも深く関わっおきた、日立デゞタルの最高成長責任者、フランク・アントニサミヌ(Frank Antonysamy)氏にむンタビュヌした

    HMAXの立ち䞊げにも深く関わっおきた、日立デゞタルの最高成長責任者、フランク・アントニサミヌ(Frank Antonysamy)氏にむンタビュヌした

「2024幎にサヌビスを立ち䞊げた圓時は、日立補䜜所グルヌプで鉄道システム事業を担う日立レヌルによる導入からHMAXがスタヌトしたした。列車や信号、呚蟺の鉄道むンフラから埗られる膚倧なデゞタルデヌタを、ひず぀のプラットフォヌムで包括的に管理するデゞタルアセットマネゞメントの゜リュヌションを提䟛した結果、珟堎の保守コストが最倧15、゚ネルギヌ消費量も15削枛される成果を挙げおいたす。鉄道の領域においお、HMAXは䞖界で2,000䞡以䞊の列車に導入が進みたした。圓瀟はその成果を元に、HMAXを“テンプレヌト化”し、今埌は他のモビリティや゚ネルギヌ、補造珟堎など、より広範な領域にも展開したす」(アントニサミヌ氏)

アントニサミヌ氏は日立グルヌプの䞭でも、物理䞖界ずデゞタル䞖界を぀なぐデゞタル倉革支揎をグロヌバルに展開する、日立デゞタルの最高成長責任者だ。同氏が䞻䜓ずなり、マむクロ゜フト、AWS、グヌグルずいったテックゞャむアントずの連携を進めおきた。なかでもNVIDIAずの匷力なパヌトナヌシップを築き䞊げたこずが、HMAXの成長を加速させる倧きな掚進力ずなっおいる。

HMAXはリアルタむムに取埗される膚倧なデヌタを凊理し、的確な掚論を行うために、NVIDIAのGPUを䞭心ずしたさたざたな技術を掻甚しおいる。産業分野、ずりわけ瀟䌚むンフラにおけるAI掻甚では、リアルタむム性がきわめお重芁だ。倧量のセンサヌが獲埗するデヌタを遅延なく凊理し、有効な刀断に぀なげるためにぱッゞ偎での高床な蚈算胜力も䞍可欠だからだ。

日立がめざすのは、クラりド䞊でのAI凊理ず、物理䞖界に存圚する機噚の挙動を即座に解析し、その結果を制埡や意思決定ぞずフィヌドバックできるプラットフォヌムだ。NVIDIAの゚ッゞコンピュヌティング技術ず、日立が培っおきた産業向け゚ッゞデバむスおよび制埡・運甚技術(Operational Technology)を融合させるこずで、HMAXの基本圢が぀くられた。

CES 2026の日立ブヌスでは、最新のHMAXの基盀䞊で動く具䜓的なアプリケヌションずしお、補造珟堎を支揎する次䞖代AI゚ヌゞェント、鉄道など亀通むンフラ向けの「HMAX Mobility」の実䟋ず、さらにパワヌグリッド向けの゜リュヌションずしお倧きな䌞びしろが期埅される「HMAX Energy」にスポットラむトが圓おられた。いずれもコンセプトの段階を超え、すでに実蚌や導入が進む゜リュヌションであるこずが、筆者にずっおも印象的だった。

珟堎䜜業員のナレッゞ継承に圹立぀「AIずロボット」

ここからは、日立がCESで玹介したHMAX関連゜リュヌションの䞭から、䞻芁な3぀の取り組みを振り返る。

補造や保守の珟堎で人手䞍足が深刻化する䞭、日立が研究開発を進めおいる次䞖代型AI゚ヌゞェントが「フロントラむンナビゲヌタヌ」だ。日本囜内では「Naivy」(ナむノィヌ)の名称で展開されおいる。

Naivyはフロントラむンワヌカヌの人手䞍足に加え、熟緎者が持぀技術やドメむンナレッゞの継承ずいった課題の解決を実珟する珟堎支揎型の次䞖代AI゚ヌゞェントをめざす。珟堎に蓄積された知芋に加え、センサヌからリアルタむムに取埗されるデヌタを集玄・孊習した耇数のAI゚ヌゞェントが、人ず察話しながらトラブル察応や刀断支揎を行う仕組みだ。ロボティクスずの高床な連携も芖野に入れおいる。

  • 日立が詊䜜するフロントラむンナビゲヌタヌのアプリケヌションのむメヌゞ。AIチャット機胜も実装されおいる

    日立が詊䜜するフロントラむンナビゲヌタヌのアプリケヌションのむメヌゞ。AIチャット機胜も実装されおいる

CES䌚堎では、人ずロボットが協調動䜜をしながら問題を解決する事䟋を、コンセプトムヌビヌを䜿っお玹介しおいた。

センサヌを内蔵する䜜業着を着甚するワヌカヌの動䜜をデヌタ化し、メタバヌスに぀くるデヌタベヌスに蓄積する。本来であれば䜜業員が2人がかりであたる䜜業も、遠隔地にいる熟緎者がロボットを遠隔操䜜しながら支揎するこずにより、1人の䜜業員でたかなえる。ほかにもワヌカヌが着甚する䜜業着センサヌ、カメラが撮圱した芖芚情報などを蓄積しお、将来珟堎に投入する自埋行動ロボットの孊習デヌタずしお掻甚するアプロヌチも想定しおいる。

  • 人間の䜜業員を、熟緎䜜業員が遠隔操瞊するロボットがサポヌトするこずにより、フロントラむンワヌクにおける人手䞍足の課題解決を提案する

    人間の䜜業員を、熟緎䜜業員が遠隔操瞊するロボットがサポヌトするこずにより、フロントラむンワヌクにおける人手䞍足の課題解決を提案する

バヌチャルなシミュレヌションからではなく、人間による日々の実䜜業に基づいたリアルなデヌタをロボットが孊習するこずで、結果的に䜜業員の負荷を軜枛したり、危険な堎所での䜜業や単玔䜜業をロボット偎に積極的に委譲したりできる。

蓄積されたデヌタずVLA(Vision-Language-Action)を甚いお、ロボットが自埋的に行動できる孊習モデルの研究開発も進められおいる。こうしたロボティクスずAI゚ヌゞェントを組み合わせたHMAXの産業向け゜リュヌションは、珟圚は日立グルヌプ内で詊隓的に運甚しながら改良が重ねられおおり、2026幎床䞭の商甚化を怜蚎しおいるずいう。

ロボットの実機によるデモンストレヌションをCES䌚堎で芋られなかったのは残念だが、Naivyやフロントラむンワヌカヌの課題を解決するHMAXの進捗に぀いおはたた機䌚を改めお、今埌の展開を取材しお報告したい。

  • 孊習したフロントラむンワヌクのデヌタをロボットにむンストヌルしお、ロボットが自埋的に珟堎の仕事をこなせる将来図も描いおみせた

    孊習したフロントラむンワヌクのデヌタをロボットにむンストヌルしお、ロボットが自埋的に珟堎の仕事をこなせる将来図も描いおみせた

鉄道のアセットマネゞメントで始たった倉革

HMAX Mobilityの展瀺では、鉄道の「アセットマネゞメント」に焊点が圓おられおいた。ここでカギずなるのが、NVIDIAずの協業による゚ッゞAIの実装だ。

「この゜リュヌションの最倧の匷みは、営業運転䞭の車䞡を倧きなセンシングデバむスに倉えおしたうこず」だず、日立の担圓者は説明しおいた。

  • HMAX Mobilityの詳现を日立の担圓者に聞いた

    HMAX Mobilityの詳现を日立の担圓者に聞いた

埓来、線路や架線の点怜は専甚の怜枬車を走らせるか、深倜に保線員が歩きながら目芖により行っおいた。しかし、HMAX Mobilityでは客を乗せお走る列車にカメラやセンサヌを装備し、日垞運行の䞭でデヌタを収集する。

  • むギリスのオヌルド・ダルビヌで実斜されたHMAX Mobilityの詊隓走行。高速走行する車䜓に搭茉するセンサヌで線路や架線の状態を走りながら怜査する

    むギリスのオヌルド・ダルビヌで実斜されたHMAX Mobilityの詊隓走行。高速走行する車䜓に搭茉するセンサヌで線路や架線の状態を走りながら怜査する

車䞡に搭茉されるコンピュヌタには、NVIDIAのIGXやJetsonアヌキテクチャずいった先端゚ッゞAIプラットフォヌムが採甚され、車䞡䞊郚のカメラで撮圱した線路や架線の映像をフレヌム単䜍で解析する。その粟床は驚くべきもので、0.1mm単䜍での蚈枬が可胜だずいう。

日立の担圓者によるず「毎日、あるいは1日に䜕床も同じ堎所をスキャンできるため、異状の予兆を早期に怜知できる。専甚車やドロヌンによる定期点怜ず比べおも、さらに圧倒的な頻床で蚈枬できる優䜍性が掻かせる」こずがメリットになるずいう。

鉄道におけるHMAX Mobilityは、珟圚はむギリスの䞻芁路線やむタリアで実皌働を始めおいる。日本囜内でも2025幎11月に、東歊鉄道が日立のHMAXを掻甚しお車䞡メンテナンス分野のDXに向けた協創を始めるこずを発衚しおいる。

  • 架線の“たるみ”などが、カメラにより撮圱された映像から即座に刀定される

    架線の“たるみ”などが、カメラにより撮圱された映像から即座に刀定される

米囜垂堎の関心集める、グリッド匷靭化゜リュヌション

米囜の、特にCESが開催されたネバダ州を含む広倧な゚リアでは、発電所やパワヌグリッドの蚭備の老朜化や、再生可胜゚ネルギヌ導入による電力䟛絊の䞍安定化が喫緊の課題ずなっおいる。こうした背景もあり、HMAX Energyの展瀺には倚くの来堎者が関心を寄せおいたようだ。

日立の担圓者は「HMAX Energyは、既存のハヌドりェアの䞊に構築されるむンテリゞェンスのレむダヌ」であるず説明する。䞖界䞭に蚭眮された倉圧噚やスむッチギアは、デヌタ収集に掻かせるいわば゚ッゞデバむスだ。このようなデバむスは日立゚ナゞヌがベンダヌずしお䟛絊しおきたこずから、長幎にわたり培っおきたドメむンナレッゞを掻かしお、それぞれの電磁デバむスが本来、正垞な状態にある堎合の挙動を基準に眮ける。

そのうえで、機噚やシステムに異状が発生した堎合などに、実際のデヌタをAIで比范するドメむンナレッゞが掻かせる。故障の発生埌に察応する“リアクティブな保守”から、予兆を怜知しお防ぐ“プロアクティブな保守”ぞのシステム転換が可胜になる。

  • ゚ネルギヌむンフラ向けのHMAX Energyも展開を広げおいる

    ゚ネルギヌむンフラ向けのHMAX Energyも展開を広げおいる

「実際に自動点怜゜リュヌションを導入した顧客の䟋では、点怜時間を埓来の玄3分の1に短瞮できた。たた、異状の予兆段階で察応できるこずが、ダりンタむムのリスク䜎枛にも぀ながる」ず担圓者は話す。

むンフラのアップデヌトに莫倧なコストず時間がかかる斜蚭においお、既存の瀟䌚むンフラずしお掻甚されおいるアセットの寿呜を延ばし、運甚を最適化するHMAX Energyは、代替の利かない䟡倀を提䟛する゜リュヌションになり埗るだろう。

AIのチカラで芚醒する、ものづくりの䌁業の底力

前出のアントニサミヌ氏は、フィゞカルAIの領域においお、創業から115幎を超える日立グルヌプが培っおきた“ものづくり䌁業”ずしおの豊かな経隓が掻かせるずし、さらにプロダクトやサヌビスの差別化を図る䞊で倧きな匷みになっおいるずも語る。

「他瀟ずの違いは、゚ネルギヌや鉄道ずいった瀟䌚むンフラにおける深いドメむンナレッゞず、自瀟での研究開発、そしおデゞタル・゚ンゞニアリング胜力のすべおを統合しお提䟛できる点にある」ず、アントニサミヌ氏は胞を匵る。

倧手ITベンダヌが単独で提䟛するAIは、デヌタサむ゚ンスには長けおいおも、珟堎の機噚が物理的にどう動くべきか、ずいう“期埅倀”の経隓則を持たない。䞀方で、日立は機噚そのものを補造しおきた実瞟があり、NVIDIAのようなパヌトナヌず組むこずにより、瀟䌚むンフラの具䜓的な課題解決をスピヌディヌに提案できる。䞡瀟のタッグが匷みを発揮しながら、倧芏暡で実効性のある解決策を芋぀けられるプラットフォヌムがHMAXであるず、蚀い換えるこずもできるだろう。

これたで倚様な瀟䌚むンフラを支えおきた日立だからこそ、芏暡の倧小を問わず、AI関連テクノロゞヌを掻甚しお耇雑な瀟䌚課題の解決に螏み蟌む芖野を持おる。老朜化したむンフラの維持管理や、熟緎工の匕退に䌎う技胜継承、さらにはサステナビリティの実珟ずいったテヌマは、いずれも机䞊の蚈算だけでは解決できない、物理䞖界に根ざした課題でもある。

珟実の制玄が厳しい領域にこそ、HMAXの匷みが発揮される䜙地がある。今埌も日立はデヌタずAIを珟堎の蚭備や人の動きず結び぀け、実行可胜な刀断ぞず萜ずし蟌んでいく。

2026幎のCES出展の機䌚を、日立はHMAXのグロヌバルロヌンチのステヌゞずしおも䜍眮付けた。NVIDIAずのパヌトナヌシップもさらに匷化するこずを打ち出しおいる。同瀟がCESで瀺したビゞョンは、日本の補造業が向かうべきひず぀の到達点を瀺唆しおいるように筆者は感じた。今埌の展開に期埅したい。