
万博で唯一のデモ飛行に成功 「空飛ぶクルマ」の商業化へ
─ 今はインバウンドを含めた人やモノの移動が活発です。ANAホールディングス会長の片野坂真哉さんの25年の航空業界の振り返りは?
片野坂 25年の航空需要は旅客も貨物も基本堅調ですね。国際線に関してはインもアウトも好調で、インバウンドも増えています。国が目指す4000万人には確実に届きそうです。
一方で国内線はビジネス需要がコロナ前比の約8割の水準です。オンラインで会議ができる上に、東京のホテルが高くて出張に行きにくいからです。ただ、レジャー需要は堅調で、総じて座席数に占める有償旅客の搭乗率は約8割となっています。
─ モノの動きは。
片野坂 貨物は少し単価が下がったりしていますが、重量ベースでは順調に伸びています。トランプ関税による影響も懸念されましたが、それも少し落ち着きました。当社の念願だった日本貨物航空がANAグループ化し、大型の貨物専用機の機数も2機から10機以上となります。成長に向けた再スタートです。
─ 需要が堅調でも人手不足という課題がありますね。
片野坂 ええ。航空業界ではグランドハンドリング(空港地上業務)の人材が不足しています。これに対しグラハン業界で協会を設立し、従業員の待遇改善や環境改善などを行っています。また、省人化も行っており、羽田空港では空港車両の無人走行実験を継続してきました。いよいよ完全無人運転の「レベル4」というステージに進みます。
それから空港内でもチェックイン時にお客様が自分でオンライン経由で確認できたり、バゲージ(手荷物)を自分で預けたりといった具合に自動化を進めています。人手不足については業界を挙げて対応していくことになります。航空業界は人で成り立っていますから、しっかりとエンゲージメントを高めていくことが大事だと思っています。
─ 大阪・関西万博では「空飛ぶクルマ」がデモ飛行し、大きな話題を呼びましたね。
片野坂 そうですね。当社は米国のジョビー・アビエーションという空飛ぶクルマを開発する企業をパートナーとし、デモ飛行を実施しました。同社にはトヨタ自動車さんも出資しています。騒音も少なく安全性も高い非常に優れた機材になります。万博で唯一、2週間のデモンストレーションができたことは何よりも良かったと思います。
空飛ぶクルマについては、東京で社会実装に向けた計画が進んでいます。滑走路を必要としませんから瀬戸内海や鹿児島・奄美大島など、離島を結ぶ移動手段として非常に相性がいいと思います。日本全国で新しいモビリティとして期待が集まっています。当社も27年の商業化を目指していきます。