IFSとNECは1月16日、日本の基幹産業が直面する課題に対応し、AIを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)の基盤となる基幹システムのモダナイゼーションを促進するため、日本市場向けIFSのクラウドサービス展開と産業用AI開発に向けた取り組みを開始したことを発表した。
具体的には、経済安全保障に対応した国内データセンターにおける「IFS Cloud」のクラウド基盤構築と、これを活用した日本市場向けマネージドサービス「IFS Cloud Kaname」の展開、産業用AIサービスの共同開発などを行う。
説明会には、IFS 最高経営責任者(CEO)のマーク・モファット氏、NEC 取締役 代表執行役社長 兼 CEOの森田隆之氏らが登壇した。
NECとの協業を発表したIFS
IFSは、製造、資産管理、サービス運用を通じて、地球を支え、守るハードコアなビジネスを支援している企業。
そして、協業が進められる「IFS Cloud」は、AIを活用した完全にコンポーザブルなプラットフォームであり、顧客の特定の要件やビジネスの進化に柔軟に対応できるよう設計されているサービス。
また、「IFS Cloud Kaname」は、「要(かなめ)」という信頼性の高い基盤の概念に基づき、日本国内での運営・管理および日本法準拠を前提として提供されるクラウドサービス。高水準の信頼性、セキュリティ、ガバナンスを兼ね備え、日本の企業および公共分野における安全・安心なクラウド活用を支援する。
さらに両社は、戦略的協業による新サービスを通じて、製造業、航空宇宙、エネルギー、交通輸送、公共インフラなど、日本の資本集約型産業の顧客に対し、サプライチェーン管理、設備資産管理、現場サービス管理といった基幹業務のモダナイゼーションとDXを促進する。加えて、顧客が製品とサービスを融合させ、新たな収益源を創出する「サービタイゼーション」の実現にも貢献していく。両社は、新サービスの提供を2026年度中に開始を目指す。
マーク・モファット氏は、今回の協業にあたり「私たちは、NECとの長年にわたるパートナーシップを、次の協業フェーズへとさらに深化させられることを大変嬉しく思います。私たちはNECと共に、日本およびグローバルの企業に向けて、レジリエンスの強化、競争力の向上、そして持続可能な成長の実現に取り組み、イノベーションを行動へ、行動を測定可能な成果へと転換していきます」と述べた。
両社の取り組み
近年、企業の基幹システムを含むミッションクリティカルな領域においてもAIを活用したDXの推進が必要になる一方、セキュリティの確保が喫緊の課題となっている。
特に資本集約型産業では、生産・流通への影響を防ぐため、高度な安全性と可用性が求められている。このため、基幹システムのクラウド化には、データガバナンスや経済安全保障の観点から、日本国内に完結したオペレーションや各種法規制に対応したセキュリティが必要だ。
今回の協業は、日本が強みを持つこれらの産業に対し、IFSの実績とNECの技術を結集し、安全・安心なクラウド環境を提供し、基幹システムのクラウド展開とDXを推進することを目的としている。
改めて、具体的な取り組みの概要としては以下の通り。
国内完結型のクラウドインフラとマネージドサービス「IFS Cloud Kaname」の展開
「IFS Cloud Kaname」では、日本における経済安全保障およびデータガバナンスに対応するため、データを日本国内で保管・処理・バックアップし、日本の法律やコンプライアンスの枠組みに基づいて管理できる環境の実現を目指す。
これにより、パートナーおよびユーザー企業は、セキュリティやデータガバナンスの懸念から解放され、日本市場向けに最適化されたIFS Cloudのマネージドサービスを活用し、基盤上でイノベーションやDXを加速させることができる。
なお同サービスは、Microsoft Azure のプラットフォーム上に構築される予定だ。
「クライアントゼロ」による共創・検証を通じたIFS クラウドサービスの高度化
日本市場向けのIFSクラウドサービス「IFS Cloud Kaname」の共同開発にあたり、NECは自社をゼロ番目の顧客とする「クライアントゼロ」として、自社およびグループ会社で開発・検証を段階的に進める。
サプライチェーン管理や現場のDX、資産投資計画などの領域で導入効果や活用可能性を検証するとともに、現場で得た知見をNECの独自アセットとして整備し、IFS Cloudの標準機能とセットで提供する。
これにより得られた実績とノウハウを基に成功への最短ルートとしてフレームワーク化し、顧客のモダナイゼーションを安全・安心に推進する。NECは、IFSのソリューションを「BluStellar Scenario」として提供する予定。
AIサービスの共同開発とサービス拡充
両社は、IFSのAIサービス「IFS.ai」およびAIエージェントプラットフォーム「IFS Loops」に、NECのAI技術を組み合わせ、産業用AIサービスの共同開発・サービス拡充と日本およびグローバル市場への展開を進めていく。
特に、これまで熟練者の経験と勘に頼ってきた、サプライチェーンにおける納期や数量の交渉や調整といった自動化不可能とされてきた領域に、NECの自動交渉AIを適用する。
これらの新たなAIサービスにより、社内業務プロセスのみならず、企業間に渡るグローバルサプライチェーンのDXを加速し、人とAIの共創によるイノベーションを実現する。


