グローバル版とアジア太平洋版のトレンドは以下の通り。

グローバル版の7つのトレンド

  • 再発明の原動力は「必要性」
  • AIによるROIの実現
  • 業務特化エージェントの本格化
  • マルチエージェントシステムへの移行
  • コマンドセンターの確立
  • ガードレールの強化
  • データのメタ化

アジア太平洋版の6つのトレンド

  • アジア太平洋および日本地域が世界のAI発展基盤として躍進
  • ブームから真価へ:AI投資に測定可能な成果が求められる
  • 収益から売上へ:AIのビジネスインパクトが拡大
  • オーケストレーション:エージェンティックAIが大規模エンタープライズAIを実現
  • 信頼がAI成長の方向性を決める
  • エージェンティックな労働力の時代が到来

以下、プロダクトマーケティング部 部長 夏目健氏が説明したグローバル版の7つのトレンドのポイントを紹介しよう。

  • UiPath プロダクトマーケティング部 部長 夏目 健氏

    UiPath プロダクトマーケティング部 部長 夏目 健氏

トレンド(1)再発明の原動力は「必要性」

IBMの調査では、Cレベル経営層の78%が、エージェンティックAIの価値を最大化するには、新しいオペレーティングモデルが必要であることに同意している。

夏目氏は「従来のオペレーティングモデルは人が中心だった。しかし、エージェンティックAIは自律的に作業してくれるので、人とエージェンティックAIで役割を分担する必要がある。大きな変革が必要になる」と説明した。

2026年はオペレーティングモデルを定義するため、人、ロボット、エージェント間のワークフローとガバナンスを明確化し、それに必要なテクノロジーとアーキテクチャを整理する必要があるという。

同社は変革に向けた課題として、「作業の再配分」「高付加価値プロセスへの進出」「継続的な適応」「境界の曖昧化」を挙げている。

トレンド(2)AIによるROIの実現

企業が新しい技術を導入する際にはPoC(概念実証)を行うことが多いが、2026年はPoCの段階を終え、本番運用へと移行する年になるという。2025年はエージェンティックAIの本番稼働には至らなかった企業が多かったと見られるが、その理由について、夏目氏は次のように説明した。

「技術が不足していたために本番稼働が進まなかったのではなく、どうビジネスの価値に結び付けるかが不足していた。2026年はこれが見えてきている」

また、夏目氏は「技術検証はスモールスタートで行われがちだが、AIエージェントは課題が大きく成果が期待できる領域から始めたほうがよい。横展開もしやすいがあり成果の大きな領域において検証を始めたほうがよい。横展開もしやすい」と述べた。大規模に検証を行うとなると、技術や人手の不足が懸念されるが、生成AIなどを活用することでカバーできるという。

さらに、さらに評価指標についても、従来のコスト削減だけでなく、ビジネスの俊敏性、顧客体験の向上、取引コストの削減といった成果を含めた新たな指標が必要になるとしている。

トレンド(3)業務特化エージェントの本格化

SalesForceなど業務に特化したエージェントを提供する企業が増えているが、2026年は業務特化エージェントのソリューションが台頭するという。

夏目氏は、「PoCに時間をかけている間に業務やテクノロジーが変化し、後れを取る可能性がある。AIエージェントがパッケージ化されたソリューションを使えば、すぐに効果を出せる」と述べた。

トレンド(4)マルチエージェント

2026年は、エージェンティックAIを単独で使うのではなく、束ねて利用するマルチエージェントへの移行がトレンドとなるという。「単一のエージェントに多くの機能を持たせるのではなく、専門エージェントを組み合わせることが有効活用のポイントだ」と夏目氏。

ただし、マルチエージェントを利用するにあたっては、エージェントの連携、権限、パフォーマンスを管理するためのオーケストレーションを設計する必要がある。加えて、特化したサイバーセキュリティとアクセス制御を統合したアーキテクチャも必要となる。さらに、人が複数のエージェントを使いこなすためのスキルも重要となる。

  • マルチエージェントの適用例

    マルチエージェントの適用例

トレンド(5)コマンドセンターの確立

マルチエージェントの利用に伴い、オーケストレーション、ガバナンス、エージェント管理を一元化する「コマンドセンター」の確立が必要となる。

コマンドセンターの主要な機能としては、「オーケストレーション&ワークフロー」「ガバナンス& ポリシー」「可観測性& 監査・追跡」「ライフサイクル& 変更管理」「統合& 拡張基盤」がある。

夏目氏は「RPAなどさまざまなテクノロジーが組み合わさると、分散が生じる。そのため、管理とモニタリングの集約が必要になり、それを実現するのがコマンドセンター」と説明した。

トレンド(6)ガードレールの強化

2025年も、AIを安全に使うための対策としてガードレールの必要性が叫ばれてきた、AIエージェントの自律化に伴い、これまで以上にガードレールが強化される必要があるという。「AIエージェントによってできることが増えるとリスクも生まれる。エージェントを制御するためにガードレールが必要になる」と夏目氏。

夏目氏は、ガードレールのライフサイクルとして「設計」「実行時」「保証」を紹介した。実行時のフェーズでは、リソースへのアクセス権限を最小限に抑えることが、また、保証のフェーズではアクシデントなどに即座に対応できるよう常時モニタリングを行うことがポイントとなるという。

  • ガードレールのライフサイクル

    ガードレールのライフサイクル

トレンド(7)データのメタ化

データ品質や文脈、ガバナンスがエージェントの性能を左右することから、データのメタ化が重要になる。

データ品質と文脈化における5つの重点領域が紹介された。文脈と理解の付与に向けては、「メタデータとオントロジー」「リアルタイム文脈」「専有データの堀の整備」が求められる。また、アクセスとガバナンスの整備に向けては、「適切なデータ提供」と「ガバナンスのコード化」が必要となる。