日建設計とビルポは、1月14日・15日に日建設計東京オフィスにおいて、RMF(Robotics Middleware Framework)を導入し、複数ロボットを統合的かつ協調的に運用する仕組みを検証する実証実験を実施した。
本稿では、実証実験の一部始終を紹介する。説明会には、日建設計 エンジニアリング部門 エンジニアリングコンサルティンググループ デジタルソリューション部の光田祐介氏が登壇し、実証の概要や実証に至った背景を説明した。
数百台のロボットが同時に稼働する未来に向けた実証
今回の実証実験は、近い将来「1つのビルで数十~数百台のサービスロボットが同時に稼働する」ことを見据え、安全かつ効率的な運用に向けた検証を行うことを目的に実施された。
現在、ビル管理の現場では、清掃や館内配送を担う人手不足が深刻化し、人件費の高騰も重なって、必要な人員の確保が難しくなっているという課題がある。
こうした背景から、サービスロボットを活用したビル管理の自動化・省人化のニーズが増加しており、経済産業省も清掃・配送・警備などの機能を持つロボットがオフィスビルなどで円滑に稼働できるよう、ロボットの導入環境の整備を後押ししているという。
一方で日本では、人手不足が深刻でありながら、ロボットに対してもこれまで人にしかできなかったきめ細やかな清掃やスムーズな配送といった高品質なサービスが求められている。
高品質かつ経済的なサービス提供のためには、小型かつ安価な家庭用ロボットと中大型の業務用ロボットなど同一空間内で複数種類のロボットを運用する必要があるものの、メーカーや用途の異なるロボットを無配慮に運用すると、通路や出入口の封鎖、ロボット同士の衝突などのトラブルが発生する恐れがあるという課題があったという。
これらの課題に対して、日建設計とビルポは、システム開発を担当するPanasonic Asia PacificとSolid Surfaceの協力の下、広いエリアを担当する中型清掃ロボット、デスク下など狭いエリアを清掃する家庭用の小型ロボット、フロア間で荷物を運ぶ大型配送ロボットを同時に稼働させることができるシステムを構築した。
今回の実証では、異なる種類かつ複数のロボットを横断的に統合管理するRMFを活用し、接触回避やルート調整、エレベーターとの連携など、建物内でロボットが統合的かつ協調的に運用できるかをそれぞれ検証した。
あわせて、RMFを用いて、複数ロボットを統合・協調管理できる仕組みの有効性を検証し、大規模運用に必要な要件と運用システムの方向性を示していくことや、安価な小型ロボットも適材適所で活用できる体制により、全体のコストパフォーマンス向上も目指すことも目的としている。
3つのロボットを使ったデモンストレーション
今回は、「搬送ロボットと小型清掃ロボットの混在運用(衝突防止)」「搬送ロボットが火災警報を受信して避難場所へ移動」「搬送ロボットと中型清掃ロボットのすれ違い制御」という3つのデモンストレーションが行われた。
利用されたロボットは、医療現場で活躍している搬送ロボット「HOSPI(Panasonic)」、除塵/水しぶき両対応の中型清掃ロボットである「Phantas(GAUSIUM)」、小型の除塵清掃ロボット「D10s Pro(Dreame)」の3台。
「搬送ロボットと小型清掃ロボットの混在運用(衝突防止)」
搬送ロボットが小型清掃ロボットの清掃エリアに接近した場合、小型清掃ロボットが一時停止し、搬送ロボットの回避行動を容易にする実証。
「搬送ロボットが火災警報を受信して避難場所へ移動」
火災報知をRMFで受信した場合、人の避難の妨げになりにくい退避場所へ移動するように制御する実証実験。警報解除後には元の与えられていたタスクに速やかに復帰する。
「搬送ロボットと中型清掃ロボットのすれ違い制御」
狭路などで交通管制を行い、すれ違い制御を実現する実証実験。
これまでの日建設計の社内実証
日建設計はこれまでロボットフレンドリーに向けた社内実証を進めてきた。
「ロボットフレンドリーとは、ロボットが導入しやすい環境のことで、ロボット技術の向上だけに頼らず、利用者側の業務プロセスや施設環境を見直す取り組みのことです。経済産業省が中心となって普及や研究開発を進めるなど、日本の中でも注目度の高い取り組みになっています」(光田氏)
日建設計では、2021年に「ロボット交通実証」として、自律走行ロボットを用いた受付から会議室への物品配送、来客案内の実証を実施。安全に運用するために交通ルールの有効性を実証した。
また2023年には、「ロボットと設備の連携実証」として、エレベーターやフラッパーゲートなどの建設設備とAPI連携し、複数のフロアを移動する配送実証を行ったほか、2024年には、注文システムからオーダーしたドリンクを社内カフェから自席の近傍まで配送を行う「カフェデリバリー実証」を行ったという。
今後は、ロボットを搬入したその日からすぐに使用開始できる「Plug&Play」、ロボット(屋内)版のダイナミックマップを作成する「Dynamic Map」、ロボットからロボットへ人を介さない荷物などの受け渡しを行う「Robot to Robot」の3つに取り組んでいきたい構えだという。











