大学生活で欠かせない図書館。
筆者も学生時代はレポート提出の前や卒業論文の執筆時には大変お世話になったものだ。 今回は、筆者の母校がAIを活用した斬新な図書館サービスを導入したと聞きつけて、インタビューさせていただくことにした。

青山学院大学 教育人間科学部 教育学科 教授の野末俊比古氏、富士通Japan Public & Education事業本部 ビジネス変革室 マネージャーの鈴木祐介氏、同事業部 P&Eビジネス変革室の前彩佳氏に、青山学院大学への「Fujitsu AI 探索サービス」の導入について伺った。

  • 左から富士通 前彩佳氏、青山学院大学 野末教授、富士通鈴木氏

    左から富士通Japan Public & Education事業本部 P&Eビジネス変革室 前彩佳氏、青山学院大学 教育人間科学部 教育学科 野末教授、富士通Japan Public & Education事業本部 ビジネス変革室 マネージャー 鈴木祐介氏

富士通Japanと青学の技術が詰まった「Fujitsu AI 探索サービス」って?

青山学院大学と富士通Japanは、AIがキーワードから連想して関連性の高い図書を探すことができる、富士通Japanが提供するクラウド型「Fujitsu AI探索サービス」を青山学院大学の図書館に導入し、2025年7月1日に運用を開始したことを発表した。

「Fujitsu AI 探索サービス」は、タイトルや著者など、図書を特定するための明確なキーワードがなくても、日常的に使用している言葉を入力することで、AIが関連する図書を探索するクラウド型のサービス。

  • 「Fujitsu AI 探索サービス」のイメージ

    「Fujitsu AI 探索サービス」のイメージ

全国で初めての大学図書館における「Fujitsu AI 探索サービス」の導入校となった青山学院大学だが、そもそも、このサービスに使用されている、AIを活用した蔵書探索の技術は、野末教授がリーダーを務める青山学院大学「革新技術と社会共創研究所」の「近未来の図書館と新しい学び」研究プロジェクトにおいて共同開発されたものだという。

「われわれは、図書館を中核とした新しい学習支援の創出を目指して2019年より共同研究を行ってきました。そして、2023年にAIを活用した『蔵書探索AIシステム』を共同開発しました」(野末氏)

  • 富士通と青山学院大学の取り組みを語る野末氏

    富士通と青山学院大学の取り組みを語る野末氏

そして近年、この「蔵書探索AIシステム」に対して、コストを抑えて図書探索機能を導入したいという要望があり、市区町村の図書館や大学図書館などを対象とした、クラウド型「Fujitsu AI 探索サービス」の開発に至ったという。

「従来の図書検索システムでは、タイトルや著者など、図書を特定するための明確なキーワードが必要になるため、初学者ではなかなか目当ての図書にたどり着けないという課題がありました。しかし『Fujitsu AI 探索サービス』を活用することで、利用者は日常的に使っている言葉を入力するだけで、瞬時に関連性が高い図書を探し出すことができるようになります」(鈴木氏)

  • 「Fujitsu AI 探索サービス」について説明する鈴木氏

    「Fujitsu AI 探索サービス」について説明する鈴木氏

「Fujitsu AI 探索サービス」は、従来のキーワード一致型の検索システムとは異なり、学習や研究のテーマ、またシラバス(講義内容)などをキーワードや文章で入力するだけで、AIが入力内容を解釈し、関連性の高い順に図書を提示する。

  • 利用シーンと「Fujitsu AI 探索サービス」の特徴

    利用シーンと「Fujitsu AI 探索サービス」の特徴

また、青山学院大学の従来の蔵書検索システム(AURORA-OPAC)で適切な図書が見つからない場合に、AI探索サービスへ誘導することで、学生の学びや探究心を途切れさせることなく、多様な図書との出会いを提供しているという。

「今回の導入を通過点としてどんどん普及を」

今回、全国で初めて大学図書館における同サービスの導入を決めた青山学院大学だが、「学生の学びを広げる」方向性でサービスを活用していく方針だという。

「Fujitsu AI 探索サービス」は、適切な専門用語や検索キーワードが分からない場合でも、探したい図書に近い言葉を入力することで、AIが関連する図書を瞬時に提示してくれるのが特徴だ。

それに加えて、結果の中から関心のある図書を選択すると、AIが関連する図書を提示するため、容易に読みたい図書に辿り着くことができるという特徴も兼ね備えている。

「この機能により、利用者は、従来のキーワード検索では発見できなかった図書に出会うことができ、また、潜在的な学びへの好奇心や探究心が喚起され読書の意欲が高まることで、図書館の利用促進と価値向上につながる効果も狙っていきます」(前氏)

  • 大学での利用シーンを説明する前氏

    大学での利用シーンを説明する前氏

今後、「Fujitsu AI 探索サービス」の精度向上に向けて、現在まだあまり得意ではない「固有名詞」や「ひらがな」の識別に対するクオリティの向上に取り組む予定だという。

さらに、より使いやすいように見せ方やUIの改善を行うほか、LLM(大規模言語モデル)との連携や、パーソナライズと用途開発(UX)により便利に使えるシーンを増やしていくなど、目標は尽きない。

野末氏は「今回の導入を通過点としてどんどん学校機関でも普及させていきたい」と目標を語ってくれた。

アナログだと思われがちな図書館。そこにAIが必須になる未来はもうすぐそこまで来ているのかもしれない。