Microsoft専門のニュースサイト「Windows Latest」は12月17日(現地時間)、「Microsoft says AI in Windows 11 will empower people "securely," but it also warns of malware risk at the same time」において、MicrosoftがAIに関する矛盾した声明を発表したと伝えた。
AIは誤った出力を生成する可能性があると警告する一方で、「Windowsは人々がAIを簡単かつ安全に、自信を持って活用できるように支援します」と述べたという。
MicrosoftのAI戦略とWindowsの将来像
MicrosoftはAI開発を幅広く推進し、Windows開発においてはAI OSの実現を掲げている。マウスやキーボードを必要とせず、AIエージェントとの会話を通して業務を遂行する映画で語られるような世界が目標だ。その道のりは険しく、ハルシネーションの問題、間接プロンプトインジェクション対策など困難な課題が待ち構えている。
また、現状の生成AIは大量のコンピューティングリソースおよび電力を必要とし、半導体不足、電力不足を引き起こしている。同社が依存するOpenAIの優位性も揺らぎ始め、これら要素が投資家の熱を冷まし最近の株価の下落につながったとの意見がある。同社はこの状況の立て直しが急務となっており、今回の矛盾した発言につながった可能性がある。
ユーザーの意識改革を促す戦略に冷ややかな視線
前述の安全利用に関する発言は、Windowsに強力なガードレールが実装され、AIの諸課題を解決できるのであれば矛盾は生じない。しかしながらWindowsのAI機能を有効にすると警告を表示するなど、Microsoft自身も問題があることを認めており矛盾が生じている(参考:「Windows 11をエージェント型OSに進化させたいMicrosoft、セキュリティと信頼性をどう確立するか | TECH+(テックプラス)」)。
Microsoftはこの発言に続きWindowsがAIのキャンバスになると述べ、その詳細を伝える文書「Copilot+ PCs developer guide | Microsoft Learn」を公開している。内容はCopilot+ PCの宣伝と、ニューラルプロセッシングユニット(NPU: Neural Processing Unit)を用いたAI開発の指南書となっている。
NPUを活用するサードパーティアプリケーションの開発を促し、多数のAIアプリケーションの登場を求めている。この投稿の真の目的は何なのだろうか。Microsoftの置かれた状況を考えると1つの推測が成り立つ。
投稿が直接期待する結果は人気の高いAIアプリの登場だ。これらアプリが当たり前の存在になれば、AIは市民権を得られる。その結果、AIに否定的なユーザーの意識改革につながっていく。時間はかかるが最近のAIに対する厳しい意見を減らし、逆にAI市場の活性化をもたらす可能性がある。つまり、この投稿はAI戦略の一環として行われたと推し量ることができる。
Microsoftの意識改革は、過去に成功した例がない
この戦略について、Windows Latestは否定的な見解を伝えている。Microsoftは過去にも新しい方向性を試しては失敗を繰り返しており、WindowsのAIキャンバスも同様の結果に終わるだろうとの予想だ。
その例としてWindows 8のタイル状のスタートメニュー、Windows 10 Creators Updateを挙げている。これら変革はユーザーの求めに応じたものではなく、同社の一方的な押し付けだと指摘。ユーザーに受け入れられる可能性は低いとして、戦略の再考を促している。
