2022年11月にOpenAIが公開したChatGPTが火付け役となり、「生成AI」は急速に話題となった。以降は複数の生成AIサービスが登場し、一般生活にも対話型のサービスが浸透している。AIの利活用は専門知識を持つエンジニアや先進企業の社員に限られたものではなく、日々の業務のパートナーや日常の気軽な相談相手としても活用されている。
AIナレッジデータプラットフォームを提供し企業のAI活用を支援するHelpfeelはこのほど、AIを利用したことがある全国の20代以上の男女1203人を対象に、「日常の悩みや困りごとを『AI』と『人』のどちらに相談するのか」をテーマとした実態調査を実施し、その結果を公表した。
生活シーンでAIを積極的に活用しているのは「60代女性」
調査結果から、上司への不満、恋人・パートナーの相談、キャリア・お金の悩みなど、内容によってAIと人を使い分ける傾向も見られたという。また、特に「60代以上の女性」が幅広いシーンでAIを積極的に活用していることが示されたとのことだ。
いやな上司や同僚への対応策
「いやな上司や同僚への対応策」に関する相談は、全体では「AIに相談する(53.9%)」が「人に相談する(46.1%)」を上回った。年代別では、20代(男性64.2%・女性56.2%)、30代(男性61.7%・女性63.3%)でAIへの相談が過半数となった。
その一方で、「AIに相談する」と回答した50代(男性47.5%・女性45.5%)や60代以上の男性(44.2%)は「人に相談する」を下回った。60代以上の女性(52.5%)はAIに相談する人の方が多かった。
恋人やパートナーに関する悩み
「恋人やパートナーに関する悩み」は、全体では「AI(48.6%)」と「人(51.4%)」とほぼ同程度だった。20~30代では男女ともAIへ相談する人が過半数となったが、40代~60代以上では男女とも「人に相談する」が過半数を占めた。
今日の献立を決めたいとき
「今日の献立を決めたいとき」は、全体の69.2%が「AIに相談する」と回答し、全世代でAIへ相談する人が多数派となった。特に60代以上の女性は83.3%が「AIに相談する」と回答しており、すべての年代・性別の中で最も高い割合を示した。
自由記述の回答で、「レシピの組み合わせが人では思いつかないことを教えてくれる(30代女性)」や「よく検索で出てくるもの以外、と指定すると初めて見る郷土料理を(AIに)教えてもらったことが印象に残っている(50代女性)」などのコメントがあったとのことだ。
目的地に行く際に道に迷ったとき
「目的地に行く際に道に迷ったとき」は、全体の69.2%が「AIに相談する」と回答。年代別に見ると、男性では30代(76.7%)、女性では60代以上(75.0%)が最も高い結果に。
おすすめのおいしいお店を知りたいとき{#id6}
「おすすめのおいしいお店を知りたいとき」は、「人に相談(42.4%)」よりも「AIに相談する(57.6%)」と回答した人の方が多かった。60代以上の女性では66.7%が「AIに相談する」を選択していた。
Excelなどの関数の使い方
「Excelなどの関数の使い方」について知りたいときは、全体の81.2%が「AIに相談する」と回答。今回の調査においては、すべての設問の中で最も高いAI利用率となった。年代・性別に着目すると、30代男性が91.7%と「AIに相談する」人が最も高い割合だった。
愚痴を言いたい・疲れてしまったとき
「愚痴を言いたい・疲れてしまったとき」の相手は、全体で「AI(50.5%)」と「人(49.5%)」で同程度となった、しかし性別によって傾向が分かれ、男性では40~60代を中心に「人に相談」(40代:58.3%、50代:57.5%、60代以上:53.3%)が多数派だった。
しかし女性では、「AIに相談する」と回答した20代(60.3%)を筆頭に、多くの年代で「AI」が多数派となり、性別による傾向の違いが見られた。
キャリアプラン(転職・退職など)について相談したいとき
「キャリアプラン(転職・退職など)」については、全体では「AI(46.8%)」「人(53.2%)」と、人へ相談する人がやや多い結果になった。男性では40代(58.3%)、50代(60.8%)、60代以上(63.3%)で人への相談が多数派だった。
女性でも30代(54.2%)や50代(57.0%)で「人に相談する」と回答した人が「AIに相談する」と回答した人を上回った。転職や退職といったキャリアの節目には人にアドバイスを求める人の割合が高いこと示された。
お金の増やし方や投資に関する相談
「お金の増やし方や投資」に関する相談は、全体の65.8%が「AIに相談する」と回答した。男女ともにすべての年代で「AIに相談する」という回答が「人に相談する」よりも多かった。
中でも60代以上の女性は80.0%が「AIに相談する」と回答しており、すべての年代・性別の中で最も高い割合となった。資産形成に関する相談相手としてAI活用が広がっていることがうかがえる。
ダイエットに関する悩み
「ダイエットについての悩み」でも、全年代で「AIに相談」が多数派(67.4%)だった。男性では20代(65.8%)、30代(75.8%)、50代(64.2%)で「AIに相談」の回答が比較的高く、一方で40代(55.8%)と60代(57.5%)はやや低め。
女性では20代(64.5%)、30代(69.2%)、40代(70.2%)、50代(71.9%)と年齢が上がるにつれ「AIに相談する」という回答の割合が増え、60代以上の79.2%が最も高い割合となった。
相談内容に応じて人とAIを自然に使い分ける傾向が
続いて、「AIと雑談をしたことがありますか」と質問すると、全体では「ある(45.4%)」を「ない(54.6%)」がわずかに上回った。男女差は見られなかった。年代別では、20代では男性63.3%、女性66.1%が「雑談経験あり」と回答した。
一方で、年代が上がるとその割合は低下し、60代以上では男女とも雑談経験ありは約3割(男性:30%、女性:28.3%)にとどまり、年齢による差が表れた。
身近な生活シーンにおけるAIの相談行動では60代以上の女性のAI利用率が最も高かったことから、「雑談」と「具体的な相談場面での活用」には異なる傾向があることがうかがえる。
「『AI』または『人』に相談するとき、どんなことを期待していますか」と聞くと、AIに求めることとして、「正確で信頼できる情報がほしい(60.8%)」「新しい視点がほしい(48.0%)」「論理的・客観的に判断してほしい(37.2%)」など、情報や判断に関する項目が上位に入った。その他、「短時間で効率よく解決したい(34.5%)」「24時間相談したい(30.7%)」「お金をかけずに相談したい(35.7%)」といった効率面でも、AIの割合が高かった。
一方、人に対しては、「感情を受け止めてほしい・共感してほしい(48.4%)」が最も多かった。次いで「自分の立場や状況を理解して考えてほしい(34.7%)」「励ましがほしい(34.2%)」など、感情面のサポートや文脈理解に関する期待が多く集まった。
これらの結果から、「情報や選択肢を素早く提示してくれる相手」としてのAIと、「気持ちを受け止め、状況を理解したうえで寄り添ってくれる相手」としての人、という役割分担が自然に形成されつつあることがうかがえる結果となった。












