Coltテクノロジーサービスは12月9日、戦略説明会を開催した。グローバルの事業戦略は、英Coltテクノロジーサービス COO(最高執行責任者)バディ・ベイヤー氏が、また、国内の事業戦略はアジア太平洋地域社長 水谷安孝氏が説明を行った。
セキュリティ、XaaS、エッジコンピューティングに注目
ベイヤー氏は、同社が着目している市場として、「セキュリティ」「XaaS」「エッジコンピューティング」を挙げた。いずれも2030年過ぎに二けた成長が見込まれている。
ベイヤー氏はセキュリティについて、「サイバー攻撃が増えており、大きな懸念事項と捉えている。量子コンピューティングが出てきたら、暗号が解読されてしまう可能性があり、量子セキュリティが今後伸びると予測している」と説明した。
同社はネットワークをサービスとして提供しているが、「NaaSはスケーラブルかつアジャイルであり、ネットワークを必要な時に必要な量だけ利用できる」と、ベイヤー氏はNaaSのメリットをアピールした。
エッジコンピューティングについては、「例えば、自動運転ではセキュリティやレイテンシーの問題からエッジで処理したというニーズがあるなど、今後エッジコンピューティングの需要が高まることが考えられるが、われわれはサポートできる」と、ベイヤー氏は同社がエッジコンピューティングに対応できることを紹介した。
3つの柱から成るグローバルの事業戦略
続いて、ベイヤー氏はグローバルの事業戦略の柱として、「InfraCo.」「NetCo.」「ServeCo.」を紹介した。
「InfraCo.」とはインフラカンパニーを意味し、「ダクト」「ダーク・ファイバー」「データセンター用地」「エッジ・ロケーション」「電力敷設権」をスコープとしている。
「NetCo.」はネットワークカンパニーを意味し、「光通信」「IP」「Ethernet」「SDN」「NaaSプラットフォーム」「OSS/BSSスタック」をスコープとしている。
「ServeCo.」はサービスカンパニーを意味し、パートナーと共に接続性、セキュリティ、演算能力、SD-WAN、クラウド相互接続、マネージド・サービスを設計・提供する。
ベイヤー氏は同社のイノベーションの例として、光ネットワークを防御するため、設計段階から耐量子安全性を確保する取り組みを紹介した。例えば、東芝とはNDA(秘密保持契約)を締結し、安全な情報共有と量子ネットワークの共同開発に向けた協業を開始。具体的には、Coltのネットワーク上で、量子鍵配送を用いた耐量子計算機暗号化技術の先駆的なトライアルを2025年第1四半期に完了した。
また、インフラの投資も積極的に行っている。海底ケーブルは大西洋横断の双方向ファイバーを追加し、ひっ迫する帯域幅に即応する。北米においては、ダーク・ファイバーを活用し、拡張している。「米国と日本の接続性が顧客にとって重要」と、ベイヤー氏は語っていた。
グローバル・デジタル・インフラ企業へ向けた施策
日本における事業戦略は水谷氏が説明を行った。同氏は、同社において日本市場が魅力的であるとして、その理由を次のように語った。
「日本は中立的かつポリティカルな動きが少ない。また、クオリティに対する考え方がしっかりしているので、投資がしやすいとグローバルで認知されている」
水谷氏は、同社が通信事業者からグローバル・デジタル・インフラ企業へ進化することを目指していると紹介した。そのために、2024年から2025年にかけて、次のような施策を講じた。
- 東南アジア6カ国へビジネスを拡張
- 自社ネットワークをシドニー都市部に拡大
- 福岡・北九州、広島、岡山へサービスエリアを拡張
- 大西洋横断海底ケーブルで米国のインフラを拡張
東南アジアにおいては数十件の発注をもらっており、スムーズにビジネスを拡大できたという。
国内で注力する3つのエリアとは
水谷氏は、国内における注力エリアとして「ハイパースケーラー」「エンタープライズ」「キャピタル・マーケット」を挙げた。
ハイパースケーラー
ハイパースケーラーに関しては、AI関連を筆頭に、2025年の設備投資は約40兆円(3,000億ドル)規模に到達見込みという予測もあるが、水谷氏は「データセンター間の接続など、ネットワークの使用量が加速度的に増えている。陸揚げ局向け接続、その先の長距離ネットワークに力を入れる」と説明した。
具体的には、西日本、特に九州へのニーズが増えていることから、それに応えるため、関西以西において、22拠点の新設を通じて地域インフラを強化しているという。
「太平洋側のケーブルに被害が起きた場合、どうやってデータを退避するかを大きな課題と考えている。東京だけでなく、大阪、その先の福岡までネットワークを提供する。福岡は来年1月から正式販売するが、すでに引き合いをもらっている」(水谷氏)
エンタープライズ
エンタープライズに関しては、クラウドやAI向けなど、ネットワークの接続先が変わってきているという。
「00GBの接続が当たり前になってきているほか、専用回線をクラウドごとにいて、マルチクラウドに接続できるようにする企業もある。ゼロトラストを展開するためにSD-WANを導入してネットワークを制御し、さらに、海外拠点を入れるという動きが出てきている」(水谷氏)
加えて、水谷氏は同社の強みとして、一社で海外のネットワークを統一できることを紹介した。同社は今年10月、イーサネット接続サービス(Colt Ethernet)のアクセス回線としてNTT東日本・NTT西日本が提供する、ビジネスネットワークサービス「Interconnected WAN」を活用することを発表した。2026年1月より日本全国へのサービス提供が開始される。これにより、海外の企業が日本に入ってくるとき、ネットワークを統合した形で利用できるようになり、「世界で同じサービスを提供できる」(水谷氏)という。
キャピタル・マーケット
同社は金融業界に専用のネットワークを提供しているが、マーケット・データをネットワークとセットした形でも提供している。データはカスタマイズして提供することも可能だ。
水谷氏は、「ネットワークを接続するだけでなく、どの取引所のどの形式でデータが欲しいかまで踏み込んで提供できる事業者は少ない」と、同社の独自性をアピールした。
キャピタル・マーケットの施策として、同日、韓国の代替取引システム(ATS(Alternative Trading System)であるNextradeとのマーケット・データ提供契約を締結したことを発表した。これにより、指定されたパートナーとして、KTの汝矣(ヨイド)島データセンターを介してリアルタイムでマーケット・データを提供する。
水谷氏は、「2026年は今までとは異なるスケールで、日本の大企業が外に出ていくためのパートナーになることに軸足を移したい」と語っていた。



