
住宅設備事業子会社をYKKに売却へ
「国内の新築の住宅着工件数の縮減が進んでいる中で、いかに海外やリフォーム市場の成長を早く取り込むのかが当社の経営課題であった。一方でリソースやスピード感が十分でない中で、われわれの課題解決、ならびに同じ事業の方向性や戦略性を持ったパートナーとのコラボレーションが必要だと考えていた」
こう語るのは、パナソニック ホールディングス(HD)取締役執行役員グループCSO(最高戦略責任者)の隅田和代氏。
パナソニックHDが、住宅設備事業を手掛けるパナソニック ハウジングソリューションズ(PHS)の売却を決めた。パナソニックHDが保有するPHS株式の80%をYKKに譲渡し、残り20%は保有し続ける。譲渡額は公表していないが、営業利益で約600億円のプラスを見込んでいる。
2025年3月期のPHSの売上高は4795億円。YKKグループで建材事業を担うYKK APは5616億円。単純合計で約1兆円の建築資材・住宅設備グループの誕生となる。首位のLIXIL(約1・5兆円)には及ばないものの、両者は今後、国内外のリフォーム市場で競争力を高め、10年後に売上高を1・5倍に伸ばしたい考えだ。
今回の事業譲渡、実は昨年11月にパナソニックHD社長グループCEO(最高経営責任者)の楠見雄規氏から、YKKに提案したものだという。
楠見氏は今年2月、低収益事業を見極めるとした中で、空質空調や家電、そして、ハウジングソリューションの3つを”見極めが必要な事業”に位置付けていた。PHSの営業利益は公表されていないが、今回の決断は、事業構造改革の一環で、収益性の低い事業を売却したものとみられる。
「最終的にPHSは(企業間取引の先に消費者をつなぐ)BtoBtoCの事業ではあるものの、商品をお届けする商流が家電やテレビとは全く違う。受注産業であり、リードタイムも違うということで、この業界で専門的な知見をお持ちのパートナーと組んだ方が成長実効性が高いと判断した」(隅田氏)
楠見氏は2月に「25年度は経営改革に集中」すると宣言。構造改革を進め、26年度には24年度比で1500億円の収益改善を進めるとの考えを示していた。その後、国内・海外で合計1万人規模の人員整理を行うことを発表。グループ全体で従業員は約20万7千人(25年3月末)だから、5%近い人員削減となる。
10月30日の決算説明会で、楠見氏は「各事業の環境変化への耐性を強化し、徹底した効率化でリバウンドしない高収益体質を実現する。この変革を、責任を持ってやり切る」と話した。
近年の同社に対して、「何で稼ぐ会社なのかが見えてこない」との声は多い。黒字でもリストラに踏み切る同社だが、今、問われているのは構造改革の先にある”将来像”である。