
財界賞に亀澤宏規さん
令和7年度(2025年度)の『財界賞』・『経営者賞』が決まった。 『財界賞』は三菱UFJフィナンシャル・グループ社長の亀澤宏規さん(1961年=昭和36年生まれ)。2026年3月期の連結利益が2兆円超えになる見通しであるなど、グループを高収益な体質にしてきたことが評価された。投資銀行の米モルガン・スタンレーと提携した後、メガバンク改革に尽力。銀行、信託、証券などの各機能を統括し、IT(情報技術)を駆使し、「AI(人工知能)と人との連携」を推進。AI人材の育成も高く評価された。
亀澤さんは東京大学の理学系大学院の出身。情報と金融の融合を実践しているが、座右の銘は『先義後利』。筋道を立てた経営で、社会のためになる道をたどっていけば、〝利〟は後から付いてくるという考え方である。
財界賞特別賞は茂木友三郎さん
『財界賞特別賞』には、日本生産性本部前会長でキッコーマン取締役名誉会長の茂木友三郎さん(1935年=昭和10年生まれ)が選ばれた。
茂木さんは本業・キッコーマンのグローバル化を推進。今や同社の売上の7割以上は海外であげ、利益は8割を占める。日本の味であるしょう油を世界に広げ、多くの人たちに愛される調味料にしたことへの評価は高い。
大豆や小麦の産地である米国ウィスコンシン州に同社初となる海外工場ができたのは1973年(昭和48年)のこと。当初、現地の農業関係者の間には工場建設反対派もいたが、当時30代前半の茂木さんは現地責任者として粘り強く対話を重ね、最後には彼らの理解を得るまでに至った。
実際、しょう油はステーキにも合い、米国の消費者にも浸透していった。今では、オランダ・フローニンゲンでも工場が稼働しているなど、グローバル化が進む。
米国進出当初は、第1次石油ショックが起きるなど、経営環境は悪く、赤字続き。「本当に予想以上の赤字で苦しかったが、需要には根強いものがあり、耐えしのいできました」と茂木さん。リスクを考慮しながら、「挑戦し続けることが大事」という茂木さんの挑戦者魂である。
悲観もせず、楽観もせず……
茂木さんはチャレンジ精神が旺盛な方だが、当然、リスクを考慮しつつ、投資判断をする。 「悲観もせず、楽観もせず、需要創造の精神で」ともおっしゃる。 また、茂木さんは日本生産性本部会長として、付加価値の高い商品・サービスづくりを推奨されてきた。
戦後、日本は〝いいモノを安く〟で成長・発展してきたが、これだけでは厳しいグローバル競争を生き抜いてはいけない。
付加価値の高いものは、それなりの適正価格で売るという姿勢も必要だ。日本および日本人が本来持つ潜在成長力を適正に評価してもらうことも必要である。もっと日本は自信をもって世界と人々と交流していきたいものだ。