NTTドコモビジネス(旧 NTTコミュニケーションズ)と福島県昭和村は12月1日、セルラードローン「Skydio X10」を活用したクマ対策を10月に開始したことを発表した。昭和村は7月に山岳遭難対応や設備点検を目的にSkydio X10を導入しており、今回はその運用範囲を拡大する。

NTTドコモビジネスは講習や導入後の技術支援を通じて自治体職員による運用実現をサポートしており、地域の安全確保とICT活用による効率化に貢献する。

実証の背景

昭和村ではクマやイノシシなどの有害鳥獣への対応を強化するため、有害鳥獣ダッシュボードを作成し、村内での情報共有を積極的に進めてきた。こうした情報連携の取り組みをさらに高度化するため、昭和村とNTTドコモビジネスは、夜間の山岳遭難捜索やドローンポートを活用したレベル3.5無人巡視実証など、ドローンを活用したプロジェクトを協働で推進している。

  • 福島県昭和村の有害鳥獣ダッシュボード

    福島県昭和村の有害鳥獣ダッシュボード

これらの実績を踏まえ、昭和村は2025年7月にSkydio X10を導入し、山岳遭難や設備点検で運用を開始している。10月にはクマ対策でのドローン運用を開始。セルラードローンSkydio X10を活用した探索によるクマの早期発見と効率的な対策に向けた取り組みを開始した。

アメリカではドローンを活用したDFR(Drone as First Responder:緊急事態発生時にドローンを迅速に展開し速やかな状況把握を行う仕組み)が盛んに導入されており、今回の昭和村の取り組みはクマ対策におけるDFRモデルに相当する。

NTTドコモビジネスによると、同社には国内で唯一Skydio認定のDFR Program Managerが在籍し、山岳遭難を想定した実証から福島県昭和村と連携した運用構成を構築しているという。

運用フローとセルラードローン Skydio X10 活用の効果

今回の実証では、昼夜を問わず昭和村内のクマ目撃情報を受けてドローンによる探索を実施する。現地にクマなどがいる場合には、スピーカーを活用した追い払いや、ドローンの位置情報をもとにした罠設置を実施。さらに、出没ポイントを「有害鳥獣ダッシュボード」へプロットし村内の情報共有を強化する。

セルラードローンSkydio X10を活用することで、有害鳥獣が活動しやすい夜間においてもNightsenseによる夜間の自立飛行が可能となる。また、Skydio X10に搭載された可視光カメラとサーマルカメラの併用により、発見頻度や探索効率が向上する。

ドローンの機体やカメラの緯度経度情報を活用し、有害鳥獣および獣道の位置特定による罠設置の効率化および住民への速やかな情報連携に貢献する。クマ発見時にスピーカーを活用した追い払いを実施し、追い払い後もドローンで追尾し獣道を特定することで、捕獲効率が向上するという。

Skydio X10を用いた対策の導入後、約14分のフライトでクマ1頭とイノシシ3頭を発見した事例もあるとのことだ。従来のクマ探索と比較して、安全面の向上に加えて効率化にも寄与している。

  • ドローンを活用して発見した獣道(矢印が獣道)

    ドローンを活用して発見した獣道(矢印が獣道)