東電が過去最大7千億円の赤字 再稼働急ぐも地元理解は進まず

柏崎刈羽原発1基の再稼働で約1千億円の収支改善効果

 東京電力ホールディングスが10月30日に発表した2025年9月中間連結決算は、純損益が7123億円の赤字(前年同期は1895億円の黒字)だった。赤字幅は過去最大。11年の福島第1原発事故で溶け落ちた核燃料の取り出しなどで9000億円超の特別損失を計上したことが大きい。東電は「頼みの綱」の柏崎刈羽原発の再稼働を急ぐが、地元・新潟県の住民の理解は進んでいない。

 売上高は、競争激化による販売電力量の減少が響き、前年同期比6.1%減の3兆1502億円だった。一方、営業利益は9.1%増の2170億円。燃料価格の変動が電気料金に遅れて反映される「期ずれ」の差益に押し上げられた。

 福島第1原発事故が東電の経営に残した傷跡は深く、今後も廃炉・賠償費用が重くのし掛かる見通し。こうした状況の中で、同社が経営再建の柱と位置付けるのが柏崎刈羽原発の再稼働だ。

 柏崎刈羽原発では、福島第1原発事故を受けて原子炉全7基が停止している。東電は6、7号機の再稼働を目指しており、6号機はすでに準備を終えた。再稼働が実現できれば、代替の火力発電に使っている化石燃料の購入費用が削減できる。1基の再稼働で年約1000億円の収支改善効果があり、東電としては、何としても再稼働にこぎつけたいところ。

 東電の小早川智明社長は先月16日の新潟県議会委員会で、運転開始から35年以上が経過した1、2号機の廃炉と、県への1000億円の資金拠出を表明した。いずれも再稼働への理解を得るための「切り札」だ。

 ただ、地元新潟県の花角英世知事は県民の意向を確認するとしており、まだ同意は得られていない。県の調査では「東電が柏崎刈羽原発を運転することが心配だ」との回答割合が7割近くに上るなど、福島第一原発事故を起こした東電への不安は根強い。

 花角知事は再稼働の是非について、柏崎刈羽原発への視察や地元市町村長の意見、県民調査の結果を踏まえ「近いうちに考え方を示す」としている。知事の判断やいかに。

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