SecurityOnlineは11月6日(現地時間)、「Beyond the App Store: iOS 26.2 Beta Teases Sideloading Support for Japan」において、Appleが11月5日に公開した「iOS 26.2 Beta」では日本のユーザー向けにサードパーティー製アプリストアの利用が許可されていることを伝えた。

AltStore PALやEpic Games Storeなどのアプリストアを追加し、そこからアプリをインストールできるようになっているという。

スマホソフトウェア競争促進法の影響か

AppleはiOSに対して同社が提供するApp Store以外からのアプリインストールを厳しく制限してきた。しかし、欧州連合(EU)で新しい規制が施行されたことにより、EU域内では現在はApp Store以外のアプリストアや認証済みアプリのインストールが可能になっている。

日本では、2024年6月に国会で「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律(スマホソフトウェア競争促進法)」が成立した。この法律では、スマートフォンの提供事業者に対して、サードパーティーのアプリストアと決済サービスプロバイダーの利用を許可することを義務づけている。また、公正取引委員会では2025年8月に、このスマホソフトウェア競争促進法に基づいてAppleやGoogleなどのプラットフォーム事業者が守るべき指針を定めたガイドライン「スマホソフトウェア競争促進法に関する指針」を発表している。

iOS 26.2ベータ版でアプリストアの規制が緩和されたのは、この新法に対処するためだと考えられる。スマホソフトウェア競争促進法は2025年12月19日に全面施行される。一方、Appleは12月中旬にiOS 26.2を正式リリースする予定となっている。

フォートナイトが日本のiOSユーザーの元に戻ってくる?

人気ゲーム「フォートナイト」を抱えるEpic Gamesでは、すでにAndroid向けに独自のアプリストアである「Epic Games Store」を提供しており、iOS向けにも2025年末までに日本で展開すると予告している。Epic Gamesは2020年までApp Store上でフォートナイトを提供していた。

しかし、独自のアプリ内決済システムを導入した結果、Appleから開発者ポリシーに違反していると判断され、フォートナイトはそれ以来App Storeから削除されたままとなっている。iOS 26.2でこのまま代替アプリストアが許可されることになれば、5年ぶりにフォートナイトが日本のiOSユーザーの元に戻ってくることになる。

フォートナイトの例でも明らかなように、ユーザー目線では、代替ストアを選べるようになればアプリ入手の選択肢が大きく広がるというメリットがある。しかし一方で、セキュリティや品質保証といった観点で注意すべき点も残る。代替ストアを許せば、Appleの審査を経ないアプリでもインストール可能になるため、悪意のあるアプリが混入する危険性は高まる。

また、有料アプリ用の決済窓口が増えることで、返金や解約の所在が分かりにくくなるというデメリットもある。ユーザーには、自分自身で信頼できる提供元を選ぶ判断力が求められる。