
経済産業省は10月にも、次世代技術による地熱発電を2050年までに国内118地域で開発する方針を取りまとめる。日本の地熱資源量は世界3位と豊富な一方で、開発コストの高さなどから十分な活用が進んでいない。政府は技術開発支援などを進めて早期実用化につなげたい考えで、安定的に発電可能な再生可能エネルギーである地熱発電の拡大を目指す。
経産省は4月に電力会社や建設会社などの企業や団体が参加する官民協議会を立ち上げており、近く取りまとめる。地熱発電の現在の導入量は0.6ギガワットにとどまるが、取りまとめでは35~40年に約1.4ギガワット、41~50年に約6.3ギガワットの開発を目指すとした。
次世代技術は、マグマ上部の高温高圧の熱水から蒸気をつくり出して発電する「超臨界地熱」のほか、熱水のない場所でも発電可能で高温の地熱層に水を循環させて発電する「クローズドループ」や、人工的につくった地熱貯留層を活用して発電する「EGS」を想定。超臨界地熱は50年までに18地域、約3.6ギガワットを、クローズドループとEGSは50年までに100地域、約4.1ギガワットの開発を目指す。
具体的な工程表としては、次世代型地熱を30年までに国内で先行導入し、30年代早期の運転開始を目指す。そのため26年に調査のための掘削、28年に実証試験のための掘削を始める。発電コストは将来的に1キロワット時当たり12~19円と、液化天然ガス(LNG)による火力発電と同水準を目指す。
地熱発電を巡っては、政府が2月に閣議決定したエネルギー基本計画で、発電量に占める地熱の割合を23年度の0.3%から40年度に1~2%程度へ拡大する目標を掲げた。政府は今後、調査や開発を進めるための費用の補助などを検討し、官民による事業化を急ぐ方針だ。